Enterprise Watch
最新ニュース

日本HP、ミッションクリティカル・サポート・センターを公開

24時間体制で基幹システムの障害に迅速に対応

ミッションクリティカル・サポート・センターがある日本HP八王子事業所
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は、同社八王子事業所内に設置している「ミッションクリティカル・サポート・センター」を公開した。

 同センターは、日本HPが提供する最上位の保守サービスのひとつである「クリティカル・サービス」の拠点だ。

 基幹業務システムの障害が発生した際に、専門で対応するエンジニアとして、100人以上のMCS専任エンジニアが24時間365日体制で対応。さらに、現場のアカウントサポートエンジニア(ASE)や、プロアクティブサポートを行うエンジニアなどを含めると、500人以上が同サービスを担当しているという。

 八王子事業所内には、一般保守を行うレスポンスセンターも入居しているが、基幹業務システムへの対応を行うミッションクリティカル・サポート・センターは、専門知識を有したエンジニアで構成される最高峰のサポート部隊に位置づけられる。


同事業所4階にあるミッションクリティカルサポートセンター。突き当たりがミッションクリティカル・モニタールーム、両側にミッションクリティカルルーム ミッションクリティカル・モニタールーム ミッションクリティカル・モニタールームの入口。入室できる人はMCS専任エンジニアなど決まった人数に限定されている

専任エンジニアが24時間365日体制で対応

 ユーザーのもとでシステム障害が発生した際には、八王子事業所9階に設置されたMCSのエンタープライズ・レスポンスセンターに障害発生の連絡が入り、そこで、MCS専任エンジニアが対応することになる。

 同センターからは、リモートツールを活用して、ユーザーのシステムにアクセス。システム障害の原因究明を行うほか、現場のCEなどと連携して、迅速に復旧作業を行うという仕組みになっている。

 顧客が持つシステムについては、ASEが作成したCOP(顧客運用環境プロファイル)によって、システム構成、サーバーやストレージが設置されている場所や構成パーツ、直近のコール内容、過去の障害対応履歴などが確認できる。MCS専任エンジニアは、COPをもとに的確な障害対策プランを立案するとともに、障害復旧に必要なパーツを指示するなど、迅速な対応が可能になるのが特徴だ。ここには、顧客ごとに設定されている重大障害の定義についても明記されており、障害内容と定義とを照らし合わせた形での対応も行われる。


ミッションクリティカル・サポート・センターの3つのリソース リモートアクセスツール、COP、遠隔コミュニケーションツールによりミッションクリティカルサポートを実現 各リソースの関連と役割

 COPは、MCS専任エンジニアのほか、現場のASEには担当顧客の情報だけを開示しているが、それ以外の同社社員は閲覧することはできない。

 また、パーツに関しては、クリティカル・サービスを契約している顧客については、専用の保守用パーツを一般在庫とは別に確保しており、これも迅速に復旧を行う仕組みのひとつとなっている。

 「一部のユーザーに対しては、最上位のサポートとして、特定顧客のための部品を用意している場合もある」という。


COPには顧客のシステムに関するデータが蓄積。この情報を活用して、迅速に解決策を探る リモートでの障害復旧を行うにはいくつもの認証が必要。まずは、スマートキーでの認証が必要になる

重大障害時には緊急サポートチームを編成

 一方、重大な障害が発生した際には、緊急サポートチームが編成されることになる。

 MCSには、社内認定性度で一定以上のスキルを持ったMCS専任エンジニアに加え、重大な障害が発生した際に緊急サポートチームを結成し、システムの復旧作業全般の統括・管理を行う復旧専任マネージャーがいる。

 復旧専任マネージャーの号令のもと、召集された緊急サポートチームのエンジニアは、八王子事業所4階に設置されたミッションクリティカル・ルームに集まり、そこで、チームとして復旧作業に当たることになる。

 ここでは、復旧専任マネージャーをリーダーに、MCS専任エンジニアのほか、データベースやネットワークなどの技術に精通したエキスパート・エンジニアも召集。また、製品開発部門に在籍するプロダクト・スペシャリストも同チームに召集される。


ミッションクリティカルルーム ミッションクリティカルルームでは、カンファレンス用ツールなども活用して音声での情報共有化も図る

日本HPテクノロジーサービス統括本部サービスビジネス開発本部サービスビジネス開発一部・市川辰明担当マネージャ
 「開発部門の場合は、基本的には米国などの海外に拠点が置かれているため、海外のプロダクト・スペシャリストとも情報共有を行いながら、対策を進めることになる」(日本HPテクノロジーサービス統括本部サービスビジネス開発本部サービスビジネス開発一部・市川辰明担当マネージャ)という。

 これらのプロダクト・スペシャリストとは、遠隔コミュニケシーョンツールを活用して情報を共有。日本のMCSのほか、米国、英国、フランス、ドイツ、中国などに設置された全世界のMCSとも連携を図っている。

 ミッションクリティカル・ルームは、4階フロアに2つ用意されている。また、同様の役割を行う部屋として、ミッションクリティカル・モニタールームが1部屋用意されている。

 これらの部屋では、大型のスクリーンが配置され、そこにCOPの情報や、復旧に必要とされる情報が表示される。エンジニアの机の上には、電話やPCとともに、音声会議が可能なシステムが導入されており、これを利用して、エンジニア同士が情報を共有することになる。

 ミッションクリティカル・ルームが利用されるのは、週に数回程度だという。

 「ミッションクリティカル・サポートセンターには、洗練されたサポートファシリティ、最上のサポートを提供できる専任エンジニアによるエキスパート人員、迅速な情報共有と問題解決を図るツール、という3つのリソースがある。これらのリソースを最適に配置することで、迅速な障害復旧と、顧客の安定したシステム運用を可能としている」(日本HPテクノロジーサービス統括本部サポートデリバリ本部グローバルソリューションセンタ本部ミッションクリティカルサポート三部・木本和彦部長)という。


契約実績は4年で4倍に拡大

 日本HPでは、顧客のシステムをサポートするメニューとして、サポートプラス、サポートプラス24、プライオリティサポートの3種類の標準サポート加えて、事前予防を行うことを目的としたプロアクティブ24のほか、これらを含む基幹業務システム向けのミッションクリティカル・サポートとして、クリティカル・サービス、ミッションクリティカル・パートナーシップを用意している。

 クリティカルサービスでは、高度なプロアクティブ・サービスと最優先のリアクティブサービスを組み合わせて、顧客のIT環境の可用性目標の達成を実現することを目指している。


同社のサポート・ポートフォリオ クリティカルサービス

日本HP執行役員テクノロジーサービス統括本部・津村伸武統括本部長
 日本HP執行役員テクノロジーサービス統括本部・津村伸武統括本部長は、「いかにシステム運用を安定させるかとともに、適切な投資コストによる、適正な可用性の実現という点で、顧客の要求に応えるサービスを提供しているのが日本HPのサービス事業の特徴」とする。

 同社では、毎年、クリティカル・サービスおよびミッションクリティカル・パートナーシップによる契約数が増加していることを明らかにしており、「過去4年間で4倍に成長している。日本HPにおける、すべての保守サービスの売り上げの約3分の1を占めている」(市川辰明担当マネージャ)としている。

 もともと通信系が多かった同契約だが、最近では金融系に加えて、製造系、流通系などにも契約の幅が広がっているという。

 津村統括本部長は、「企業においては、技術が求められたITの世界から、いかにビジネスの成果を導き出すかを求めるビジネステクロジーの世界に入っている。それを実現するためには、障害によるビジネスコストへの影響を最小限にとどめるなど、柔軟なサポートオペレーションで、ビジネスそのものを守る必要がある。HPの強みのひとつにグローバルにサービスを提供する能力があげられる。4000人を超える日本のサービスプロフェッショナルに加えて、全世界6万5000人にのぼるサービスプロフェッショナルがいる。HPは、よりよいビジネス判断のための情報提供を行うビジネス・インフォメーション・オプティマイゼーション、インフラの徹底した管理による企業リストの低減を実現するビジネス・テクノロジー・オプティマイゼーション、ビジネスにさらなる貢献をしながらITコストを削減するアダプティブ・インフラストラクチャの観点から貢献していく」とした。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/


( 大河原 克行 )
2008/06/12 11:40

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.