ソフトウェア・エー・ジー株式会社(以下、ソフトウェアAG)は6月12日、同社のアプリケーション・モダナイゼーション・ソリューションによるレガシー戦略についてプレス向けラウンドテーブルを開催した。今回のラウンドテーブルでは、同社が推進するレガシー戦略の狙いと概要、国内での事業展開、主力ソリューションの特徴などが説明された。
企業内で稼働しているメインフレーム(レガシーシステム)を刷新する際、それを廃棄して入れ替えるのではなく、モダナイゼーション(近代化)することで、既存のアプリケーションとデータ資産のビジネス価値の最大化を図るのが、同社の展開するレガシー戦略の狙い。
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独Software AG エンタープライズ・トランザクション・システム事業部 プロダクトストラテジー バイスプレジデントのギドー・ファルケンベルク氏
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独Software AG エンタープライズ・トランザクション・システム事業部 プロダクトストラテジー バイスプレジデントのギドー・ファルケンベルク氏は、「レガシーシステムをすべて入れ替える方法は、費用とリスクが非常に高い。あまり公表されていないが、多額の投資を行ったプロジェクトが失敗に終わったケースも少なくないのが実状。これに対して、モダナイゼーションの手法は、レガシーの資産を生かしながら、低コストでユーザーが使いやすいシステムを提供できるとともに、パッケージ製品との相互運用性も確保することができる」と説明する。さらに、「当社は、モダナイゼーション分野におけるリーディングベンダーであり、さまざまな業界に対して、包括的なモダナイゼーション・ソリューションを提供できる技術力を持っている。また、あらゆるメインフレームのプラットフォームに対応できるのも当社ソリューションの強み」と、その優位性を強調した。
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独Software AG アジアパシフィック&ジャパン シニアバイスプレジデントのジョン・オマリー氏
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日本市場では、2006年に日本法人を設立し、ビジネス展開を強化している。独Software AG アジアパシフィック&ジャパン シニアバイスプレジデントのジョン・オマリー氏は、「オーストラリアを中心とするアジアパシフィック市場が成長を続ける中で、2000年以降、日本市場の売り上げが伸び悩んでいた。こうした状況を改善し、市場活性化を図るために、日本法人の設立を決断した。設立後は、順調に規模を拡大しており、売り上げも、昨年度は前年比2倍の実績を達成することができた。将来のビジネス展望も明るいだろう」との期待を述べた。
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ソフトウェアAG 代表取締役社長の福島徹氏
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これを受け、ソフトウェアAG 代表取締役社長の福島徹氏は、「今年10月で日本法人を設立して丸2年になるが、ゼロからスタートして、現在では、昨秋に吸収合併したウェブメソッドのスタッフも含めて社員数50人弱まで成長している。今回のレガシー戦略では、世界でもトップクラスのメインフレーム大国である日本市場が重要な役割を果たすことは確実で、従来から蓄積してきたメインフレーム技術とウェブメソッドのSOA技術を日本のユーザーにどう提供していくかがカギになると考えている。その重点製品となるのが、アプリケーション・モダナイゼーション・スイートであり、既存ユーザーだけでなく新規ユーザーにも積極的に提案活動を行い、さらなる市場成長を目指していく」との考えを示した。
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Webブラウザ経由でのレガシーシステムへのアクセス
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メインフレームも連携させたSOAアーキテクチャ
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画面カスタマイズと操作手順のカプセル化
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同社の提供するアプリケーション・モダナイゼーション・スイートは、1)Web Edition、2)SQL Edition、3)SOA Edition、という3つの要素で構成されているのが特徴。まず、Web Editionでは、「webMethods ApplinX」により、ホスト画面を単純Web化し、Internet Explorerで表示・操作を可能にする。Web化にあたっては、ホスト画面と同じレイアウトのHTMLファイルを自動生成することで、任意の画面にカスタマイズすることもできる。また、ホストの一連の操作を記録し、カプセル化することにより、画面遷移するプログラムを簡単に再利用できるようになる。さらに、カプセル化したコンポーネントにSOAインターフェイスとwsdlを付加することで、SOAからの再利用とリアルタイムアクセスを実現する。
SQL Editionでは、「webMethods ConnecX Adapters」により、メインフレーム上のさまざまなデータソースを、SQLスタンダードとして開放する。対応データベースは、Adabas、VSAM、IMS、DB2など。これによって、メインフレームの知識がなくても、メインフレーム上のあらゆるデータにアクセス可能になり、意志決定とビジネスインテリジェンスの向上を図ることができる。
SOA Editionでは、メインフレーム上のビジネス・プロセスデータをWebサービス化し、ガバナンスまで対応する。具体的には、「webMethods ApplinX」でスクリーンベースの統合、「webMethods EntireX」でプログラムベースの統合を行い、「Adabas SQL/SOA Gateway」によってメインフレームのデータベースをSQLおよびSOAでアクセス可能にする。これにより、メインフレームの資産をすべてWebサービス化することができ、ビジネスプロセスの可視化、自動化、最適化を図ることが可能となる。
■ URL
ソフトウェア・エー・ジー株式会社
http://www.softwareag.com/jp/
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( 唐沢 正和 )
2008/06/12 18:15
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