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シマンテック、VMware仮想化環境での最適なバックアップ手法を説明


ソリューション&プロダクトマーケティング部 リージョナルプロダクトマーケティングマネージャの浅野百絵果氏

仮想化環境が効率的に設計されていればいるほど、バックアップ処理に割けるリソースがないことになる
 株式会社シマンテックは6月20日、ストレージ関連の記者向け定例セミナーを開催。第3回目となる今回は、ソリューション&プロダクトマーケティング部 リージョナルプロダクトマーケティングマネージャの浅野百絵果氏が、サーバー仮想化環境での最適なバックアップ手法を説明した。

 サーバー仮想化環境でのバックアップにはさまざまな課題がつきまとうと浅野氏。1つ目が、「バックアップはI/Oリソースを多く消費するという問題だ」とした。サーバー仮想化はそもそも、サーバーをまとめ上げることで1台当たりのリソースをぎりぎりまで有効活用しようという考え方である。ということは理論的に、仮想化の設計が効率的であればあるほど、バックアップに割ける余分なリソースがないことになる。

 また、バックアップのクライアントソフトをどこに導入するかという問題もある。仮想化技術では、1台のサーバー上で複数のゲストOSが稼働することになる。このときクライアントソフトは、ゲストOSごとにインストールするのがいいのか、あるいは土台となる仮想化サービスコンソール上にインストールするのがいいのか。浅野氏によれば「どちらにしてもデメリットがあり、最適な手法にはなり得ない」というのだ。

 ゲストOSごとにバックアップする場合、物理マシン上でのバックアップと同様の手順で行えるほか、ファイル単位でリストアしたり、差分バックアップを取ったりできる。それがメリット。一方でこの場合の問題は、1台のサーバー上で複数のバックアップ処理を走らせることになる点が挙げられる。ただでさえ、統合したことでリソースに余裕のない仮想化環境では、オーバースペックを起こし、別の仮想マシンに影響を与える原因になりかねない。

 では、仮想化コンソール上にクライアントソフトを入れる場合はどうか。バックアップ処理は1つで済むので、I/Oリソースは節約できるメリットがある。一方で、仮想マシン全体でのバックアップになるため、ゲストOS上のファイル単位でリストアできないという点が問題となる。また、差分バックアップもできず、毎回、フルバックアップとなってしまうのも“頭痛のタネ”である。


VMware ESXのアーキテクチャ ゲストOSごとにクライアントソフトを導入する方法 サービスコンソール上にクライアントソフトを導入する方法

VCBフレームワークを活用した方法

VMwareに最適化されたバックアップ。真ん中が、シマンテックが提案するGRTを利用した方法。そのほか重複技術を使って、バックアップデータを削減するシンプルなアプローチも提案している
 「であるので、理想としては、一度のバックアップで、個々のファイルも仮想マシン全体もリストアできることが望ましい」と浅野氏は語る。そこで鍵となるのが、「VMware ESX 3.x」が提供する「VMware Cosolidated Backup(VCB)」というフレームワーク技術だ。

 VCBでは、仮想マシンが動くサーバーとは別にプロキシサーバーを設置し、仮想マシンのストレージを共有させる。その上でバックアップする際には、仮想マシンのイメージのスナップショットを作成し、そのイメージをプロキシサーバーにマウントする。バックアップ処理を仮想マシンが動くサーバーから切り離すことで、最低限の負荷でバックアップすることが可能になる。

 VCBにより、I/Oリソースの不足は気にせずに済む。また、ファイルレベルでも仮想マシン全体でもバックアップが行えるようになった。しかし、仮想マシン全体でバックアップを取った場合、それをファイル単位でリストアすることは依然できない。

 シマンテックではこの技術に着目し、さらに「NetBackup 6.5」に実装された「Granular Recovery Technology(GRT)」という技術を組み合わせることで、浅野氏のいう「理想」を実現した。

 GRTでは、VMDKファイル(ゲストOSそのものを定義しているファイル)をファイルレベルでマッピングし、カタログ化することが可能。一度のバックアップで、VMDKファイルと個々のファイルを保存し、インデックス化するようなものなので、仮想マシン全体をリストアすることもファイル単位でリストアすることも自由自在なのだという。また、VCBにより仮想マシンを操作することで、バックアップの一貫性が保証される。仮想マシンのホスト名を正しく認識し、ゲストOS上にNetBackupのクライアントは不要となるので、スマートなバックアップが可能になるとのことだ。

 浅野氏は「NetBakcup 6.5は、1)個別のファイルのバックアップとリストア、2)仮想マシン全体のバックアップとリストア、3)仮想マシン全体からの個別のファイルのリストアの3つが可能な、VMwareの仮想化環境に最適なバックアップソリューション」としてアピールしている。



URL
  株式会社シマンテック
  http://www.symantec.com/japan/

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( 川島 弘之 )
2008/06/20 18:20

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