Enterprise Watch
最新ニュース

「45nm・マルチコアで企業のCO2削減に貢献」、インテルのエコ活動


代表取締役共同社長の吉田和正氏
 インテル株式会社は6月26日、エンタープライズ分野の取り組みに関する記者向けの「インテル・デジタル・エンタープライズ・アップデート・ミーティング」を開催。関心が高まりつつあるエコロジー関連の取り組みなどを説明した。

 同社のエコロジーへの取り組みについて、同社代表取締役共同社長の吉田和正氏は、「インテルの企業活動において排出されるCO2をみてみると、製品の製造で排出するCO2が390万トンなのに対して、出荷した製品が、購入された企業において排出するCO2が1630万トンとなっている。社会貢献するためには、電力効率の優れた製品を出荷することが重要」と説明。これを実現するためにも、45nmプロセス製品や省電力プラットフォームを今後も推進するとした。


マーケティング本部デジタル・エンタープライズ・グループ統括部長の徳永貴士氏
 サーバー分野では、プラットフォームあたりの消費電力を維持しながら、マルチコア化によるパフォーマンス向上、および電力効率を実現している例を紹介。「Xeonプロセッサでみてみると、2004年のシングルコアXeonと比べ、45nmプロセスのクアッドコアXeonで消費電力あたりのパフォーマンスを8倍まで向上した。また、システム全体のパフォーマンスを評価するSPECpower+でのベンチマーク結果を見ると、45nmプロセスのXeonがトップ10を占めるという成績となっている」(同社マーケティング本部デジタル・エンタープライズ・グループ統括部長の徳永貴士氏)と、電力効率の高いプラットフォームを実現していると説明した。


クアッドコアXeonにより最大8倍まで電力効率を向上 SPECpower+のトップ10をXeonで独占

 また、システム全体を有効活用するものとして仮想化にも注目。「インテルVTなどでハードウェア側から仮想化を支援しているが、今後は仮想マシンのライブマイグレーションを支援するFlexMigrationのほか、ネットワークやI/Oなども支える技術を提供する。これにより、サーバー統合といった使い方だけでなく、耐障害性・利用効率向上といった仮想環境の本番活用を促進する」(徳永氏)と、仮想化によるシステムの有効活用を積極的に支援する考えをあらためて示した。

 サーバー分野の今後の取り組みに関しては、「2008年後半に投入を予定しているMP向けのDunnington(開発コード)は、45nm High-kプロセスで6コアのXeonプロセッサ。現行のXeon 7300番台とソケット互換を実現しており、FlexMigrationを搭載した製品になる。次期マイクロアーキテクチャのNehalem(開発コード)、次期ItaniumのTukwila(開発コード)についても年内の投入を予定している」(徳永氏)と、ミッションクリティカル分野からエントリーまで幅広い分野で電力効率の高い製品を投入するとした。


次期Xeon MPのDunnington 次期ItaniumのTukwila

マーケティング本部ビジネス・クライアント・マーケティング部長の廣田洋一氏
 クライアント分野では、vProの優位性をアピール。「Celeron搭載PCなどを使うことがエコっぽいとおもわれる方がいるようだが、実際はvProテクノロジーを搭載したPCの方がエコには有効」(同社マーケティング本部ビジネス・クライアント・マーケティング部長の廣田洋一氏)と紹介。ベンチマーク結果を見ると、アイドル時の消費電力のほか、パフォーマンスが向上することによる処理時間の短縮化が消費電力の削減につながると説明する。

 vPro自体のパフォーマンスも向上しており、「2006年と2007年のvProを比べると、パフォーマンスは30%向上しながらも、アイドル時の消費電力をプロセッサで60%、チップセットで55%削減している」と、vProテクノロジーそのものも大きく進化していると説明。「2008年に発表するvProでは、CIRAと呼ばれるクライアント主導リモートアクセス機能を搭載。CIRAは、クライアント側からヘルプボタンを押すことで、リモートでサポートが得られる基礎技術。もうひとつは、ワイヤレス環境での運用管理を実現する機能。ノートPCがスリープ状態でも対応可能になる」(廣田氏)と述べた。


IT関連の消費電力では、クライアントPCが4割を占める Celeron・PentiumとvProを比べると、アイドル時の消費電力や作業時の電力あたりの性能でvProが高い成績に vProのロードマップ

マーケティング本部エンベデット製品マーケティング・マネージャーの金哲也氏
 組み込み分野においてもエコロジーは重要なキーワードとなっているようだ。「既存の組み込み向け製品は、低消費電力でのパフォーマンス不足が発生していた。また、組み込み製品にさまざまな機能が求められるあまり、開発期間の長期化といった問題も発生している」(同社マーケティング本部エンベデット製品マーケティング・マネージャーの金哲也氏)と指摘。これをIAプラットフォームに置き換えることで、「低消費電力ながらも高いパフォーマンスで利用可能。また、x86ベースのソフトウェアリソースが利用可能になるため、開発にあたってのエンジニアの確保のほか、ミドルウェアやドライバなどが多数入手できる。その結果、開発期間の短縮化も実現できる」と、同社として組み込み市場に積極的に取り組む考えを示した。

 その中でも中核となるのが、Atomプロセッサ。「Atomは超低消費電力を実現したプロセッサ。組み込みで求められるファンレスやスモールフォームファクタに対応し、さらにHDビデオといった機能も提供できる。Atomにより、車載インフォテインメント製品やポータブルPOSターミナル、医療関連ターミナル、デジタルサイネージ、インダストリアル関連製品など、市場を拡大する」(金氏)とした。


XeonからAtomまで幅広い分野の組み込みに対応 Atom投入により組み込み分野の市場を拡大 Atomの適用分野


URL
  インテル株式会社
  http://www.intel.co.jp/


( 福浦 一広 )
2008/06/26 17:09

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.