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米Brocadeのマーケティングディレクター、マリオ・ブランディーニ氏
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FCoEとは?
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FCoEの最初の製品
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米Brocade Communications Systems(以下、Brocade)は6月26日(米国時間)、「FCoE(Fibre Channel over Ethernet)」についての製品ロードマップを明らかにした。
同社などが次世代のデータセンター向けネットワークとして推進しているFCoEは、FCのプロトコルを、Ethernetフレームを介して運ぶプロトコル。ただしここでいうEthernetは既存のEthernetではなく「Converged Enhanced Ethernet(CEE)」などと呼ばれる次世代Ethernetのことで、現在のEthernet機器はそのままでは使えない。では、なぜFCoEでは現存するEthernetを使わないのかといえば、それは、FCoEで必要とする要件を満たせないからだ。Brocadeのマーケティングディレクター、マリオ・ブランディーニ氏は、「ロスレス、高可用性、低遅延」といった要件を挙げ、「FCと同じだけの機能が確保されなければならず、LAN環境というよりも、コンピューティング環境が求められる」と説明する。
こうした特性を持つCEEは1つの要素だけで片付くものではないため、IETFやIEEE、ANSI INCITS T11といった標準化団体で標準化作業が進められており、「2009年前半に確定する見込み」(ブランディーニ氏)。従って、これを利用するFCoEも本格的に製品が市場投入されるのはまだまだ先になるが、Brocadeでは対応スイッチを規格がすべて固まる前の2008年末に先行リリースする予定で、「サーバー間の接続性を高め、ケーブル集約を実現する“トップオブラック”ソリューション」(同氏)として提供されるという。
また2009年にはHBAをリリースする予定で、これによって、サーバーとの接続性も提供できるようになる。FCoE(のインフラとなるCEE)では、サーバー同士の接続とサーバー・ストレージ間の接続を、同一のインターフェイスを用いて行える点もメリットとされており、これによってインターフェイスを統合するという選択肢もユーザーに提供できるようになる。さらに、1月に発表されたバックボーン製品「Brocade DCX」は、最初からFCoEを意識して設計された製品であり、現在はFC SANのバックボーンとして利用されるケースが多いというが、将来的にはFC SANとFCoEを統合したバックボーン、またサーバー間接続にも利用できるバックボーンとして、多目的に使えるようにする計画を当初から表明していた。
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FCoEが提供する価値
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ただしBrocadeでは、あくまでもFCoEは選択肢の1つと位置付け、FCの完全な代替とは考えていないとする。FCポートは現在、約2000万ポートのインストールベースがあり、FCストレージを含めた市場規模についても約500億ドルの巨大な市場がある。企業でも、これまでに多額の投資を行っているだけに抜本的な変更は不可能であり、すでに製品化された8Gbps FCや、次世代の16Gbps FCなど、新たな技術も次々登場してくる。こうした状況から、数年はFC SANがまだまだ主流であることはほぼ間違いないと見られているという。
しかしFCoEでは、今までと同じストレージ管理手法と管理ツールが利用できるほか、前述したように物理的なインターフェイスの数を削減できるメリットもあり、これを魅力的に感じるユーザーは、一定数いるだろう。またデータセンターには、ミッドレンジ以下を中心に、SANに接続されていないサーバーが全体の80%あり、「データセンターを効率化するためには、これらを効率的に統合する必要がある。そのためにはFCoEという選択肢を提供することは重要だと考えている」(ブランディーニ氏)という。
いずれにしても、まだ現実にない規格・製品の話であるため、FCoEというプロトコルが市場に受け入れられるかどうかはまだわからない。だが、ベンダーが主張するメリットが得られ、その結果ユーザーにとって有用な選択肢が増えるのであれば、敬遠し続けることが得策でないのは確か。CEEやFCoEについては、引き続き関心を払っていく必要がありそうだ。
■ URL
ブロケードコミュニケーションズシステムズ株式会社
http://www.brocadejapan.com/
( 石井 一志 )
2008/06/27 12:44
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