NEC、米NetCrackerを3億ドルで買収－海外キャリア向け事業を強化

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NEC、米NetCrackerを3億ドルで買収－海外キャリア向け事業を強化

NEC代表取締役執行役員社長の矢野薫氏（右）とNetCracker社長兼CEOのアンドリュー・ファインバーグ氏

　日本電気株式会社（NEC）は6月27日、米NetCracker Technology（以下、NetCracker）を買収すると発表した。買収金額は約3億ドルで、9月に買収完了する予定。今回の買収により、NetCrackerはNECの100％子会社となる。

　NetCrackerは、1993年に設立された通信サービス事業者向け運用支援システムに関する製品・サービスを提供する企業。Webベースのサービス導入自動化ツールを保有しており、欧米を中心にグローバルに展開している。

　運用支援システムは、通信サービス事業者がサービスを提供する上で、経営資源の効率化を図るためのシステム。具体的には、固定電話や携帯電話、データ通信、といったさまざまなサービスがIPネットワークで提供されるようになると、通信サービス事業者側で多種多様なサービスメニューや課金体系が発生するが、運用支援サービスはこうした新サービスにいち早く対応するためのシステム。NetCrackerは、この運用支援システムのうち、Webベースのサービス導入支援（サービス内容の設定から受注、販売状況までを管理・運用する導入支援システム）の領域で強みがある。


NetCrackerのポジショニング	アジア以外の各国で展開	運用支援システム市場の成長予測。アジア地域での成長が見込まれている

NEC代表取締役執行役員社長の矢野薫氏

　今回の買収に関して、同社代表取締役執行役員社長の矢野薫氏は、「通信サービス事業者向けとして、モバイルやブロードバンド機器などのネットワークインフラをベースに、サービスプラットフォーム、サービスアプリケーション、経営システムといった4層構造のポートフォリオが存在。国内では4層すべてをカバーできているが、海外ではネットワークインフラ中心で、上位レイヤはカバーできていない。経営システム事業を早急に立ち上げることが、今回のNetCracker買収の最大の目的」と説明。「通信サービス事業者向けの国内市場は成熟しているが、海外はアジアを中心にまだまだ成長している。また、NGNに関してはこれから立ち上がる新しい市場。インフラ中心の海外事業を上位レイヤにまで伸ばしていくことが成長戦略に不可欠」とし、海外のリソースを今後強化する考えを示した。

NetCracker社長兼CEOのアンドリュー・ファインバーグ氏

　NetCracker社長兼CEOのアンドリュー・ファインバーグ氏は、「通信サービス事業者は、真のサービスプロバイダへの転身が求められている。新しいコンテンツをいち早く提供し、これらにより収益を上げられる事業者のみが勝ち組として生き残ることができる」と、通信サービス事業者にとって、困難な状況になっていると指摘。「NetCrackerは、サービスプロバイダへの転身を支援するためのソリューションを提供している」と、同社の強みを紹介。

　今回の買収について、ファインバーグ氏は「われわれはNECと（IT・ネットワークに関して）ビジョンを分かち合っており、今回の合併は大きな出来事。NECファミリになることをうれしくおもっている」とコメントした。

　矢野氏は、「NetCrackerを完全子会社化するが、ブランドや現経営陣はそのまま維持する。NetCrackerが持つ開発陣との連携により、NECの製品力の強化につなげたい。また、NetCrackerの持つルートを通じて国内・海外でクロスセリングも行っていく。現在、キャリア向けの売上のうち、海外は37％程度。それを40％以上に高めていく。今後5年間で、NECおよびNetCrackerをあわせて、2000億円の新規ビジネスを見込んでいる」と説明。「ITおよびネットワークビジネスのグローバルリーダーを目指す」とした。


買収によるシナジー	IT・ネットワーク領域でのグローバルビジネスを拡大	今後5年間で2000億円のビジネスを見込む

■ ＵＲＬ
　日本電気株式会社
　 http://www.nec.co.jp/
　米NetCracker Technology
　 http://www.netcracker.com/
　プレスリリース
　 http://www.nec.co.jp/press/ja/0806/2704.html

（福浦一広）
2008/06/27 18:36

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