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代表執行役社長の樋口泰行氏
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2009年度から2011年度の経営方針
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マイクロソフト株式会社は7月1日、2009年度の経営方針記者説明会を開催。同社代表執行役社長の樋口泰行氏より、中期経営方針を含む今後の取り組みに関する説明が行われた。
樋口氏はまず、同社を取り巻く経営環境について説明を行った。「われわれはコンシューマおよび企業向けのビジネスを手がけているが、企業においてITが企業戦略に欠かせない存在になっているのは重要なこと。そのためにも経営陣のITリテラシーを高めることが求められている。また、コスト意識の高まりや企業再編といった環境の変化もある。クラウドコンピュータといったインターネットを介したIT利用にも注目が集まっている」と、同社の役割が重要になっていると強調。「市場全体を見ると、景気の不透明感が高まっている。また、環境意識もここにきて一気に高まっている。ITが環境へ貢献できる度合いは高い。われわれとしても仮想化などで対応していく」とした。
コンシューマに関しては、「PCですべてが完結する時代から、さまざまなデバイスからIPで接続できる時代になってきている。われわれもPCだけにフォーカスしていては不十分」と述べ、新たにコンシューマー&オンライン事業部を新設し、コンシューマ戦略を統合的に行っていく考えを示した。
こうした市場環境に対応する新しい中期経営方針として、“「地に足のついた」革新による確実な成長軌道の実現”を掲げた。「地に足のついたとあらためて宣言すると、これまではそうではなかったのかと指摘をされるが、決してそういう意味ではない。しかし、これまでは新製品ができても市場に投入するだけで、どう使えばいいかといった提案はほとんどされていなかった」と述べ、顧客視点に立った製品提案ができる体制作りを行うと宣言。
「日本企業ではメインフレームが使われているが、メンテナンスやコストといった課題が存在する。こうした顧客に対して、Windowsプラットフォームを基幹業務で利用するメリットを正しく伝えていく」とし、ソリューションビジネスをさらに拡大する考えを示した。これを実現する上でも、顧客およびパートナーの満足度を高めることが重要と樋口氏は説明する。「品質面では、昨年から展開している品質向上活動を継続して実施していく。この活動は本社にも影響を与えており、価値基準のひとつに品質が上げられるほどになった」とした。
前社長のダレン・ヒューストン氏が進めていたPlan-Jについては、「Plan-Jという名前は今後使わないが、日本市場への投資は継続して行う。それに加えて、環境に配慮した企業活動を行っていく」と、新たに環境配慮型の企業活動を重視する考えであることを明らかにした。
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2009年度の注力分野
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2009年度については、「中期経営方針と重なる部分が多くなるが、ソリューションビジネスを拡大するためにも、パートナーが大きなカギを握ることになるので、パートナーとの連携強化を図っていく。また、ソフトウェア+サービスを戦略的に推進していく。もちろん、Hyper-VやSQL Server 2008といった新製品の導入支援も確実に行っていく」と、最新のイノベーションを市場に的確に届ける体制作りを行うと説明。
また、営業体制の抜本改革にも手をつけると紹介。「これまでは努力をしなくても売れていた。しかし、今後は売る力を身につけないと成長はできない。マーケティングも同様。自己満足に終わるマーケティングではなく、営業に直結するマーケティングが必要だ」と、営業の底力をアップさせていくとした。
そのほか、Windows・Officeといった基幹事業の強化、顧客満足度の向上および不満を元にした品質向上、リーダー人材の育成、などに注力すると紹介した。
前社長のヒューストン氏との経営方針の違いについては、「基本的には大きな違いはなく、ヒューストン氏が築き上げた基盤をさらに推進するのが私の役割。ただし、日本人社長として、パートナーや現場との関係を高めていけると考えており、よりダイナミックなアクションは行えるのではないか」と、日本人社長として、コミュニケーションを高めた活動を強化する考えを示した。
■ URL
マイクロソフト株式会社
http://www.microsoft.com/japan/
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