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「Web 3.0はクラウド向けプラットフォームが核になる」、米salesforceベニオフCEO

Tour de Force Tokyo基調講演

米salesforce.com会長兼CEOのマーク・ベニオフ氏
 株式会社セールスフォース・ドットコムは7月3日、プライベートカンファレンス「Tour de Force Tokyo」を開催。基調講演には、米salesforce.com会長兼CEOのマーク・ベニオフ氏が登壇し、同社サービスの特長と今後の展開などについて語った。

 ベニオフ氏は、SaaSの特長をあらためて紹介。「SaaSの最大の特長はマルチテナントモデルであること。これまでのアプリケーションはシングルテナント方式で運用されており、個別にハードウェアなどのリソースが必要。これに対して、マルチテナント方式はひとつのハードウェアを共有して利用している。結果的に環境にやさしいモデルだ」と、リソースの無駄がないのが利点と説明。

 費用面については、「SaaSでは、サブスクリプションモデルを採用している。シングルテナント方式の従来型のアプリケーションは、アプリケーションの構築費用が利用者に初期投資としてかかってくる。そして重要なのは、この費用はアプリケーションが成功しようが失敗しようが負担しなければいけないという点。これに対して、SaaSはそうしたリスクを負わなくていいのが特長だ」と、初期投資のリスクがまったくなくなるメリットを強調した。

 また、SaaSは企業の規模に関係なく利用できる点もメリットであると説明。「自社で開発し管理するシングルテナント方式のアプリケーションの場合、中小企業では使いたくても費用の面で使えなかった。しかし、SaaSは、そうした企業規模に関係なく、だれもが利用できる」と、中小企業でも大企業が使うアプリケーションをすぐに利用できる点を紹介した。


Force.comを利用することで、ユーザーはアプリケーション開発に集中
 ベニオフ氏はSaaSに続く次の戦略としてPaaS(Platform as a Service)を紹介。このPaaSとして同社が提供しているのがForce.com。Force.comはSaaSのプラットフォーム環境で、Force.comを利用することで誰もがSaaSを作れるというもの。

 「10年前にsalesforce.comを立ち上げたとき、CRMソフトを作ろうと発想した。それ自体はさほど難しいことではなかった。しかし、CRMソフトを作るために、ハードウェアのインフラを整備し、ソフトウェアのインフラを整備し、業務プロセスを整備し、可用性・バックアップといった環境を整えてから、はじめてCRMソフトの開発が行えた。アプリケーションが使いたいだけのユーザーにとっては非常に大変なことだ」と、従来の開発環境の問題点を指摘。「Force.comであれば、インターネットにさえ接続できれば、世界中どこからでも開発でき、すぐに展開できる。Force.comを利用すれば、ユーザーはアプリケーションに集中できる。それ以外のことはわれわれが行うからだ」と、メリットを紹介した。

 Force.comはJavaライクな言語を使って開発が行えるが、さまざまなツールも用意されている。そのうちのひとつが「Visualforce」。VisualforceはForce.comのUI開発環境で、自由にUIをデザインできるのが特長となっている。そのほか、開発者向けに「Development as a Service」も提供。このDevelopment as a Serviceは、APIやIDEといった開発者向けのツール・サービスを総称したもので、開発サイクルのすべてをクラウド上で行えるのが特長となっている。


UIを自由にデザインできるVisualforce 開発環境を提供するDevelopment as a Service

 基調講演には、Force.comでアプリケーションを開発したベンダー各社の代表も出席。会計アプリケーションや不動産情報管理、スマートフォンを活用した販売管理などの事例が紹介された。


アプリケーションはSaaSに、プラットフォームはPaaSに
 「Yahoo!やeBayといったインターネットアプリケーションにより、すべてのユーザーがインターネットにアクセスしたWeb 1.0。YouTubeやWikipediaによりすべてのユーザーがインターネットで情報発信を行うようになったWeb 2.0。このWeb 2.0の次の段階は、すべてのユーザーがインターネットで革新を実現できる時代だとみている。これを実現するには、Force.comといったPaaSが大きな役割を担うことになる」と述べ、「クラウドコンピューティング時代のアプリケーションはSaaSに、プラットフォームはPaaSになる」とした。



URL
  株式会社セールスフォース・ドットコム
  http://www.salesforce.com/jp/
  Tour de Force Tokyo
  http://www.salesforce.com/jp/events/crm-events/2008-07-03.jsp


( 福浦 一広 )
2008/07/03 14:45

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