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VMwareが語る仮想化製品の正しい選び方、「仮想化でひとくくりにしないで」


 マイクロソフトのHyper-Vが6月30日に正式公開された。Windows Server 2008に標準で搭載されるサーバー仮想化製品であり、注目が集まっている。また、シトリックスもXenServerの最新版を発表。デルのサーバーにOEM提供するなど、活発な動きを見せている。そのほか、オラクルもOracle VMを投入するなど、サーバー仮想化分野が一気に活気づいてきた。そして、これらの企業が必ず比較対象にあげるのが、VMwareだ。サーバー仮想化市場はVMwareの独壇場であったが、他社の追い上げにVMwareはどう対応するのか。こうした点について、競合市場を担当する米VMware、APAC Competitive Marketing SpecialistのSteven Gross氏および米VMware、Director, Product MarketingのTimothy Stephan氏に話を伺った。


米VMware、APAC Competitive Marketing SpecialistのSteven Gross氏(左)と米VMware、Director, Product MarketingのTimothy Stephan氏(右)
―マイクロソフトがHyper-Vを正式公開したり、シトリックスがXenServer日本語版を発表するなど、サーバー仮想化製品が整いつつあります。

Gross氏
 まず理解していただきたいのは、仮想化がコモディティ化したと競合各社はいいますが、その考えにわれわれは賛同できません。

 コモディティ化といった場合、機能的にまったく同じでなければいけませんが、現実はそうではありません。仮想化でいえば、ハイパーバイザが根幹を担うものですが、VMwareと競合ではクオリティが違います。われわれの製品は10万以上の本番環境で実証された技術です。競合とは比較になりません。


―ハイパーバイザ方式など同じ仮想化機能を提供していると認識していますが、具体的にはどのような違いがありますか?

Gross氏
 まずHyper-VやXenは汎用OSの上でハイパーバイザを実行しています。マイクロソフトはHyper-Vをごく小さなプログラムであると説明していますが、ペアレントパーティションの重要性はあまり説明していません。実際には、ペアレントパーティションを通じてハイパーバイザが動作しており、ペアレントパーティションが落ちてしまうと、すべての仮想マシンに影響を与えます。

 VMwareの場合、汎用OSを使わず、独自ソリューションにフォーカスしています。これは非常に重要なことです。これにより、ホストあたりの実装密度を高めることにもつながっているのです。プラットフォームとしての安定性も高く、実際ユーザーの中には4年以上ノンストップで稼働している例もあります。

 また、VMware Insrastructureのように包括的な仮想化ソリューションを提供しています。この中には、仮想マシンを停止することなく物理サーバー間で移動できるVMotionといった機能を提供しています。

 そのほか、他社の仮想化製品はサポートしている範囲も制限があります。NICやメモリといったもののサポートも、まだまだ不十分です。


―他社のサーバー仮想化戦略をみると、まだ仮想化を使ったことがない中小企業などでの利用にフォーカスを当てています。

Gross氏
 われわれからいわせると、それはユーザーに間違ったメッセージを発信しています。XenServerはLinuxベースであるため、Linuxの知識がないと使えません。そのような製品を専任の担当者のいない企業で導入していいのでしょうか?

 Hyper-Vも同じです。Hyper-VはWindows Server 2008で動作しますが、マイクロソフトはServer Coreでの利用を推奨しています。このServer Coreもコマンドラインベースであり、初心者には扱いにくいものです。結果、Windows Server 2008のフルバージョンをペアレントパーティションで使わざるを得なくなります。これでは、セキュアな環境とはいえません。

Stephan氏
 はじめて仮想化を使うのであれば、VMware ESXiという便利な製品があります。ESXiはUSBメモリに収まるくらいコンパクトな製品で、サーバーベンダー各社から対応サーバーも出荷されています。これを利用すれば、インストールすることなく、すぐに仮想環境が使えます。


―サーバー統合程度の使い方であれば、VMwareが提供している高度な機能はいらないようにおもえます。

Gross氏
 物理サーバー1台ですべてが完結するのなら話は別ですが、実際はそんなことはありえません。また、中小企業だからこそサーバーで重要なシステムを稼働させているものです。複数の物理サーバーを使う場合、仮想マシンを柔軟に使えるソリューションが必要です。VMotionのように、物理サーバー間で仮想マシンを停止することなく移動できるというのは重要だとおもいます。

 マイクロソフトもマイグレーション機能を用意しているといっていますが、ライブマイグレーションという言い方からクイックマイグレーションという言い方にメッセージを変更してきています。仮想マシンを移動する際、2~3秒程度停止するからです。ですから、Hyper-Vではダウンタイムが発生します。1秒以下で実現しているわれわれからすれば、サービスのリスタートの有無は大きなことだとおもいますが。


―とはいえ、価格を比較すると、中小企業などではHyper-Vに引かれてしまうのではないでしょうか?

Gross氏
 仮想化のコストについて、さまざまな議論があります。他社はVMwareのライセンスが高いといいますが、必ずしもそうとはいえません。

 たとえば、16GBメモリを搭載した2WayサーバーでVMwareとHyper-Vを使ったとしましょう。OSにWindows Server 2008 Datacenter Editionを選択した場合、VMwareのライセンス分だけ導入時のコストは余分にかかります。Hyper-VはWindows Server 2008に含まれていますからね。これを根拠にVMwareは高いといわれています。

 しかし、仮想マシンの安定性という評価軸でみると話が変わってきます。Hyper-Vでは、仮想マシンを7台程度稼働させられますが、VMwareであれば15台程度を安定して稼働させることができます。倍以上の差がついているわけです。仮想マシンあたりのコストを比較すれば、どちらが費用対効果が高いか理解していただけるでしょう。

Stephan氏
 Hyper-Vを評価されるユーザーも増えていますが、まだまだ本番環境では使えないという判断をされているようです。その原因のひとつが、Hyper-Vの技術的な情報が公開されていないことにあります。

 マイクロソフトはWindows NTを投入する際、さまざまな技術情報を提供していました。しかし、Hyper-Vではそれがなされていません。マイクロソフトの製品だから安心、と思い込むのは非常に危険です。


―個人的にVMwareの敷居が高く感じるのが、試用の機会が少ないという点です。Hyper-VはWindows Server 2008があれば試せますし、XenServerもWebで手軽に試用版を入手できます。それに対して、VMwareは簡単には入手できない印象があります。

Gross氏
 日本市場の話でもあるので、(日本法人の)テクニカルアライアンスマネージャの名倉丈雄氏に答えていただきましょう。

名倉氏
 VMwareも資料請求をしていただければ、60日間の試用版を提供しています。あと、ハードウェアをお持ちでない方は、声をかけていただければ、弊社内にあるハードウェアを使って試していただくことも可能です。

 ハードウェアに関しては、これまで2ソケットサーバーのみをサポートしていましたが、今後1ソケットサーバーでも利用できる予定です。これでVMwareを試す環境も用意しやすくなるとおもいます。

Gross氏
 競合他社がさまざまなメッセージを発信していますが、惑わされないようにしてください。他社と比較していただければVMwareがなぜ選ばれてきているのか理解できるとおもいます。特にはじめてサーバー仮想化を行う場合、最初の選択が重要です。正しい選択をしていただきたいですね。



URL
  ヴイエムウェア株式会社
  http://www.vmware.com/jp/


( 福浦 一広 )
2008/07/04 00:00

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