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今回の協業におけるポイント
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左から、日本IBMの諸富健二事業部長、アシストの大塚辰男取締役、日本オラクルの三澤智光統括本部長
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株式会社アシスト、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)、日本オラクル株式会社の3社は7月10日、日本オラクルのサーバー仮想化ソフトウェア「Oracle VM」を活用した仮想化ソリューション、およびITインフラ領域の提供で協業すると発表した。3社はもともと、Oracle RACなどの仮想化技術で、すでに多数の実績があるとのこと。今回、1台のサーバーを複数システムで利用するサーバー仮想化分野へ取り組みを広げ、同分野における顧客の選択肢を拡大するという。
協業の核となるOracle VMは、Xenハイパーバイザーベースのサーバー仮想化ソフトウェアで、日本では3月に発表された。基本的に製品は無償で利用でき、サポートが必要な顧客に対し、日本オラクルが有償のサービスメニューを提供するというビジネスモデルを採用している。同社では、性能面でもVMwareより優位だと主張してもいるが、それ以上にメリットとして強調されているのが、ワンストップでサポートを受けられる点。これは、Oracle Enterprise Linux、Oracle Database、Oracle Fusion Middleware、Oracle Applicationsといったさまざまな製品・サポートを一貫して提供している日本オラクルならではの強みであり、同社の常務執行役員 製品戦略統括本部 三澤智光統括本部長も、VMwareやHyper-Vといった他社の製品にはないメリットだと強調する。
そのOracle VMはこれまでも、デルなどから対応ソリューションが発表されていたが、今回の協業に伴って、日本IBMも新たにサポートを表明。x86サーバー製品「IBM System x」やブレードサーバー「IBM BladeCenter」、ストレージ製品「IBM System Storage」とOracle VMを組み合わせた検証を行っていくという。具体的な施設としては、「IBM-Oracleコンピテンシー・センター東京」、「Oracle GRID Center」、「アシスト市ヶ谷検証センター」の3カ所を利用し、基礎検証をOracle GIRD Centerで、カスタマーのニーズに基づいた検証を残りの2カ所で行う予定。まずは、日本オラクル製品で固めた場合の検証からスタートし、その後拡張も検討する。
また、日本オラクル・日本IBM製品を活用したITインフラ基盤の導入を促進するため、アシストを事務局として、「アシスト・IBM・オラクル仮想化アライアンス」を設立。「サービス、ストレージなどを組み合わせた場合のベストプラクティスをどんどん提供していく」とした。対象はISVやSIerで、アシストでは年内50社の参加を目指す。
一方、販売面では、各社がパートナーや顧客へ販売・サポートを提供する計画で、販売人員は3社あわせて100名、サポートは同じく30名の体制でスタートする。加えてアシストは、仮想化の導入支援サービスをメニュー化して提供するほか、日本IBMのハードウェアへあらかじめソフトウェアを入れ込んだ形での製品提供も予定しているとのこと。サービスメニューとしては、開発環境・テスト環境への仮想化導入支援や、エンタープライズ環境への仮想化導入支援、Oracle Database 11gの新機能を活用した仮想化導入支援、といったものを用意。アシストでは、年内に100案件以上の獲得を目標として挙げた。
なお日本IBM側では、今回の協業の持つ意味について、理事 モジュラーシステム事業部長 諸富健二氏が「System z/pなどで仮想化を長年提供してきた実績があり、これをIAの領域まで拡張すること。System x上での仮想化ソリューションでもエンタープライズシステムを実現できるようにする」と述べ、その意図を説明している。
■ URL
株式会社アシスト
http://www.ashisuto.co.jp/
日本アイ・ビー・エム株式会社
http://www.ibm.com/jp/
日本オラクル株式会社
http://www.oracle.co.jp/
ニュースリリース
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/info/news/1187244_1217.html
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( 石井 一志 )
2008/07/10 16:31
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