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「NIerの強みを生かしてシステム領域へ取り組む」、ネットワンが事業戦略を説明


代表取締役社長の吉野孝行氏

NIerの役割が増大しているという
 ネットワンシステムズ株式会社(以下、ネットワン)は7月15日、事業戦略説明会を開催。6月に代表取締役社長に就任した吉野孝行氏が、「コアコンピタンスであるネットワーク技術を生かしながら、システム領域へ事業を拡大していく」ことを繰り返し述べた。

 ネットワンは創業以来20年の実績を持つネットワークインテグレータ(NIer)として知られているが、吉野社長が強調するのは、以前と今、そして将来とでは、NIerが手掛けるエリアが異なってくるという点だ。従来は、システムインテグレータ(SIer)が業務アプリケーションからOS、サーバー、ストレージといった領域を、そしてNIerがネットワークを担当するという形が一般的だった。しかし吉野氏は、「今では、SIerは業務アプリケーションの開発に大きく時間を費やしている。OS、システムの運用サポートは希薄化している」と指摘。逆に、各要素がネットワークと密接にかかわってくることから、NIerの担当領域がますます大きくなるだろうと主張する。

 ネットワンでも、こうした流れに対応すべく、スイッチやルータといった旧来からのネットワーク製品のみならず、サーバー、ストレージといったシステム製品、また仮想化、SOA(サービス指向アーキテクチャ)といった最新技術を含め、カバーする技術・製品の枠を従来よりも大きくとっているという。しかし、あくまでもコアコンピタンスがネットワークであるということは忘れずにいくという点も強調。「当社の特徴は製品単体の販売ではなく、これらを含めたプロビジョニングサービスをデータセンターで行うための、インテグレーションをすること。あわせて、エキスパートオペレーションセンターを付随することで、一貫した運用管理ができ、改善提案もしていける。これらが大きな特徴である」と述べた。


ネットワンのプロダクトポートフォリオ。スイッチ、ルータ以外にも広範に取り扱っている これらを活用して、NIerとしての強みを生かしたソリューションを提供する

クラウドコンピューティング

ユニファイドコミュニケーション
 また、特に注力する領域としては、クラウドコンピューティングとユニファイドコミュニケーションの2つを取り上げた。クラウドコンピューティングとは、分散してインターネット上に存在するさまざまなリソースをもとに、ユーザーへアプリケーションを提供するコンセプトのこと。吉野社長は、「欧米ではすでにクラウドコンピューティングによる利用効率の拡大が、大きなユーザーによって開始されており、資源の有効活用、お客さまの利便性を考えた環境が実現している。日本のキャリアや一般企業、官公庁などが今後、どのように効率を求めていくかというときに、欧米の事例が参考になるので、日本のニーズに対してそうした先行事例を届けていく」とした。

 一方のユニファイドコミュニケーションは、IP電話などの音声、ビデオ会議などの映像、IMといった複数の通信手段を組み合わせて、効率的なコミュニケーションを行おうというコンセプト。ネットワンではこれが、日本ではホワイトカラーの生産性を大きく寄与すると考え、昨年度、この分野を推進するための独立した本部を作ったとのことで、顧客の関心も高まっているという。具体的なソリューションとしては、シスコ製品や独自開発のソフトウェアを提供するほか、臨場感の高いビデオ会議システムの上級機、テレプレゼンスシステムについても力を入れていくとした。

 「クラウドコンピューティングや、そのアプリケーションの1つであるユニファイドコミュニケーションなどを提供するほか、データセンタービジネスにも力を入れる。従来のルータやスイッチはやらないのかといわれるが、当社のコアコンピテンシーはルータやスイッチにかかわる技術評価やインテグレーションであることは事実。その事業領域をもう一段上のサーバーやストレージ、それらの運用管理や仮想化といった領域に拡大し、次の世代に展開していく」(吉野社長)。



URL
  ネットワンシステムズ株式会社
  http://www.netone.co.jp/


( 石井 一志 )
2008/07/15 18:43

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