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「AIRをLiveCycle普及のトリガーにする」アドビのエンタープライズRIA戦略


米Adobe SystemsビジネスプロダクティビティBU プロダクトストラテジ&テクニカルマーケティング担当ディレクターのブライアン・ウィック氏
 アドビシステムズ株式会社は7月16日、先日発表した「Adobe LiveCycle Enterprise Suite」の最新版「Adobe LiveCycle Enterprise Suite Update 1(以下、LiveCycle ES Update 1)」を中心に、同社のエンタープライズ市場に特化したRIA(リッチインターネットアプリケーション)戦略に関する説明会を開催した。

 LiveCycleについて、「FlashやPDFといった普及したアプリケーションをベースに、高度なワークフローでもわかりやすいユーザーインターフェイスを実現できる点。また、さまざまな開発ツールを提供しており、サーバーおよびサービスを提供しやすい環境を用意しているのが特長」(米Adobe SystemsビジネスプロダクティビティBU プロダクトストラテジ&テクニカルマーケティング担当ディレクターのブライアン・ウィック氏)と紹介。

 特に紙の書類や手作業による業務を削減したいと考える企業にとって有効なソリューションであると強調する。「プロセスの自動化は自社内で完結している分には対応しやすいが、顧客など外部を含めて実現しようとすると、とたんに困難になる。というのも、顧客が使っているPCもさまざまであり、なんらかの形で紙の書類を使わざるを得なかったりするためだ。特に、プロセスが複雑化してしまっては、使い勝手が悪いということで、結局人手を介した対応をせざるを得なくなってしまう。LiveCycleならば、RIAを利用できるため、こうした問題の解決が可能」(ウィック氏)と、プロセスの自動化に最適な製品群であると述べた。


LiveCycle ES Update 1で追加された2つのコンポーネント
 このLiveCycleの最新版が7月25日に発売されるLiveCycle ES Update 1だ。最新版では、「LiveCycle Content Services ES」「LiveCycle PDF Generator 3D ES」の2つのソリューションコンポーネントが新たに追加されている。

 LiveCycle Content Services ESは、LiveCycle初のECM(Enterprise Content Management)ソリューション。オープンソースのECMソフトを提供しているAlfresco Software社のECMソリューションの組み込み版を統合しており、ドキュメント管理やコンテンツの分類・検索、コンテンツのアーカイブなどが可能。「社内に存在するさまざまなソースを元にしてPDFを作成可能。また、変更に関してもLiveCycleで指定したフォルダにファイルをドラッグアンドドロップしたり、Microsoft Officeから変更するなど簡単な操作で行える」(ウィック氏)と紹介した。

 もう一つのLiveCycle PDF Generator 3D ESは、PDFの自動変換を行うLiveCycle PDF Generator ESの上位版という位置づけの製品で、3次元CADファイルのPDF変換に対応しているのが特長。3次元CADをはじめ、40種類以上のフォーマットから自動的にPDF文書を生成・統合することができる。


LiveCycle Content Services ES LiveCycle PDF Generator 3D ES

 また、LiveCycle ES Update 1では、Adobe AIRおよびAdobe Flex 3との機能統合が行われているのも大きな特長。これにより、AIRアプリケーションからLiveCycleのすべてのサービスを利用することができる。


エンタープライズ&デベロッパー部 部長の小島英揮氏

3つの注力マーケット
 このAIR連携を前面に出すことで、LiveCycle普及のトリガーにするというのが日本市場でのビジネス戦略。同社エンタープライズ&デベロッパー部 部長の小島英揮氏は、「日本でのAIRの認知度は非常に高い。すでに多くのアプリケーションも作られている。PDFソリューションにもAIRは使えるので、こうした点を訴求しながらLiveCycleの認知度・理解度を向上させていきたい」と説明。

 「特にAIRを中心としたエンタープライズRIA、LiveCycleが提供するDRMを利用した情報セキュリティ、SAPのフロントエンドソリューションとしての利用、の3つを注力マーケットとして展開する」(小島氏)と紹介。「これらを進める上で、パートナーとの協業は欠かせない。技術トレーニングを提供したり、共催セミナーを開催するなど、LiveCycle ESを扱えるパートナーの強化を図っていく」(小島氏)と、パートナーとの協業による提案・商談機会の向上も積極的に行うとした。

 なお同社では、LiveCycleの認知度向上を目的とした、LiveCycleの紹介ツール「LiveCycle on AIR」を公開することも発表。「LiveCycle on AIRはAIRで開発した紹介ツール。すべてのデモを1分間で体験できるようにしているのが特長で、PDFへの変換機能や、レポーティング機能、レター作成機能など、LiveCycleの機能を利用したデモが体験できる」(小島氏)と紹介した。




URL
  アドビシステムズ株式会社
  http://www.adobe.com/jp/
  製品情報
  http://www.adobe.com/jp/products/livecycle/

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  ・ アドビ、AIRアプリとの連携を強化した「LiveCycle ES」新版(2008/06/18)


( 福浦 一広 )
2008/07/16 17:07

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