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富士通、中期環境ビジョン「Green Policy 2020」を策定

2020年に国内3000万トンのCO2排出量を削減

Green Policy 2020のコンセプト

Green Policy 2020での3つの目標

富士通環境本部・高橋淳久本部長
 富士通株式会社は7月23日、中期環境ビジョン「Green Policy 2020」を策定。富士通グループのテクノロジー、ソリューションの提供により、2020年には、国内で年間約3000万トンのCO2排出量削減に貢献することを目指すとした。

 3000万トンのうち、450万トンをITそのものによる削減効果とし、2550万トンを、顧客のIT利活用によるITソリューション効果での削減とした。

 富士通では、グローバルにおいて、実質売上高CO2原単位を2010年度末までに、1990年度実績比で28%削減を目標にするとともに、国内事業所におけるエネルギー消費CO2排出量を、2010年度末までに、90年度実績の103万5000トン以下に抑制する計画を立てている。

 また、ソフト/サービス、ハードウェア、電子デバイスなどの各事業領域において、2020年における総合エネルギー効率で、世界トップレベルとなることを目指すほか、ビジネスと生物多様性イニシアチブのリーダーシップ宣言において掲げられた全項目について、2020年までに具体的な取り組みを行うという。

 これらの目標を達成するため、同社では、「エネルギー革新技術の開発」「お客さまのビジネスにおける省資源、省エネルギー化」など、顧客および社会全体の貢献に向けた13項目のテーマと、「事業活動の徹底した低炭素化など」の自らの改革におけるテーマとして5項目。生物多様性の保全に関して2項目のテーマを設定し、活動を推進していくという。

 「IT産業そのもののCO2排出量は、全産業全体のCO2排出量のうち、約2%にとどまっているが、視点を変えれば、ITは、あらゆる産業領域のCO2排出量の削減に向けて貢献ができる産業である。富士通は、テクノロジーソリューションの創造、国際社会を構成するさまざまな主体との協働、自らを低炭素型の企業活動へ変革する、というように『創造』『協働』『変革』をコンセプトに、環境に取り組んでいく」と、富士通の環境本部本部長である高橋淳久常務理事は語る。


環境行動コンセプト「Green Policy 21」

同社の環境行動計画の推移

第5期富士通環境行動計画の取り組み状況
 富士通では、環境行動コンセプト「Green Policy 21」を策定しており、環境に配慮した方向性を示す一方、1993年4月に第1期富士通環境行動計画を策定し、2007年度からは、すべてのフィールドで環境イノベーションを実現することを目指す、第5期富士通環境行動計画に取り組んでいる。第5期富士通環境行動計画では、「製品・サービスの環境価値向上」「リスクマネジメントの強化」「環境社会貢献」「ガバナンスの強化」「地球温暖化対策」を重点5分野とし、それにあわせて13のテーマを掲げている。

 「13項目については、最終年度である2009年度目標を、2007年度段階でほぼ達成している。唯一、資源再利用量15%向上、資源再利用率90%以上という指標に関しては、量をベースにしているため、軽薄化の流れのなかで到達しなかった。これに関しては、目標値の見直しを含めて対策を検討していく」とした。

 また、同計画のなかで掲げた2009年度にスーパーグリーン製品の比率を20%にするという目標については、2007年度の段階で18%に到達。当初目標の7%を大きく上回っている。「この項目に関しては、目標の引き上げを検討している」とした。

 さらに、顧客の環境負荷をITによって低減するGreen Policy Innovation活動を推進。2007年度から2010年度までに、ソフト、サービスによる「Green Policy Solution(ITソリューション)」で累計約630万トン、プラットフォーム、ネットワーク、電子デバイスなどによる「Green Policy Products(ITインフラ)」によって累計約76万トンの合計約700万トン以上のCO2排出量を削減を目指している。

 「2007年度目標では、ITインフラで約4万トン、ITソリューションで約50万トンの削減を目指していたが、実績では、それぞれ約6万トン、約68万トンと、インフラ、ソリューションともに目標を達成した」という。


 また、同社では、富士通の経営トップ層を委員長とし、富士通グループ内の各事業部門、管理部門の責任者など約15人で構成するローカーボン委員会を新設。ワーキンググループ活動を通じて、CO2排出量削減といった環境への取り組みを行うことを明らかにした。

 「国内約20カ所のデータセンターの改修や、新たにデータセンターを設置する場合には、太陽光電池を採用し、照明や空調用に、これらのエネルギーを利用するほか、さまざまな技術的観点を含めて、検討を進めていくことになる」とした。

 なお、富士通では、今年4月に、FUJITSU Wayで示した企業指針において、環境を盛り込み、事業方針においても、すべての事業領域において、地球環境保護ソリューションを提供することを掲げている。


社会・環境報告書
 一方、富士通グループの社会的側面、環境的側面に対する取り組みや成果を報告する「社会・環境報告書」をこのほど発行。このなかで、低炭素社会の実現、世界各地での地域に根ざした活動などについて紹介した。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2008/07/23-1.html
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2008/07/23.html
  Green Policy 2020
  http://jp.fujitsu.com/about/csr/eco/activities/vision/


( 大河原 克行 )
2008/07/23 14:54

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