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代表取締役社長の吉田仁志氏
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SAS Institute Japan株式会社は7月30日、2008年下期(2008年7~12月)のビジネス戦略に関する説明会を開催。同社代表取締役社長の吉田仁志氏より、これまでの取り組みと今後の展開に関して説明が行われた。
同社の親会社である米SAS Instituteは1975年創業のBIソフト・サービスのベンダー。これまでの業績について吉田氏は、「創業以来、毎年2ケタ成長を続けているのはSASくらいではないか。非公開企業なので、こうした事実はあまり知られていないが、ソフトウェアベンダーとしてみてもワールドワイドでトップクラスの企業」と説明。また、売上の4分の1をR&Dに投資し続けていることを紹介。「ソフトウェアの開発だけでなく、ソリューションの開発などに積極的に投資している」と述べた。
国内での業績も好調とのことで、この1年で新規案件で1.5倍、新規顧客数で1.8倍と大きな成長を実現。継続率も高く、アジア太平洋地域の成長を牽引する立場にあるとした。吉田氏は、「2006年9月に日本法人の社長に就任して行ってきたのが、ソリューション重視の営業戦略、経営課題に適合したソリューション提供、そしてシンプルな組織体制作りの3つ。派手な変革をしたわけではない」と、確実な業務改革により顧客獲得を実現したと説明する。
「SASの強みは、BIツールだけを売っているのではなく、プラットフォームとして提供している点。他社のBIツールは部分的な導入になっているが、SASは情報基盤として導入できる。これにより、さまざまなソリューションをプラットフォーム上に容易に導入できる」(吉田氏)と、BIツールではなくインテリジェンスソリューションとして提供していることが顧客のニーズにマッチしていると説明。
実際、ここ数年の間に起こった銀行の不良債権処理、銀行窓口での証券・保険商品の取り扱い開始といった経営課題にはSAS Event Based Marketingを投入。家電製品の品質問題に対してはSAS Service Intelligenceを、犯罪収益移転防止法改正に対してはSAS Anit-Money Launderingと、その時々の経営課題を解決するためのソリューションを提供してきている。
ただし、ソリューションそのものが多岐にわたってしまい、それに応じて組織も複雑化していたと吉田氏は指摘。これをシンプルなものにすることで、戦略のシンプル化、役割の明確化を実現。これが順調に進んだのが業績面でも貢献したと説明する。
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下期の重点ソリューション
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パートナービジネスを強化
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サスティナビリティへの取り組み強化
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下期もこうした基本的な活動方針を変えず、それぞれを強化すると説明。「業務ソリューション・業界特化ソリューションで重点ソリューションを定めて展開。また、さらなる市場展開を行う上で、パートナービジネスの強化も行う」と紹介。「パートナーに関しては、各パートナーが持つ専門性、課題解決力、開発・導入力、展開力などを生かした協業を行っていく」(吉田氏)とした。
そのほか、先日発表されたSAS Sustainability Managementをキーとした全社最適化への取り組みを強化することも発表。「7月9日に発表したが、幅広い業種の企業が関心を示していただいている。これまでのSASユーザーは、金融・通信・医薬といった業界が中心だったが、このSustainability Managementをきっかけに他の業界に対する取り組みにも力を入れていく」と、これまでリーチできていなかった業界にアプローチするきっかけとしてSustainability Managementを積極的に用いていくとした。
吉田氏は、「部門レベルでの見える化が進んでいるが、見える化から先を見通す力“予見力”が重要になってきている。予測的分析で強みを持っているのがSAS。SASならではの予見力を生かして、日本の産業の活性化をお手伝いしていきたい」と述べた。
■ URL
SAS Institute Japan株式会社
http://www.sas.com/offices/asiapacific/japan/
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( 福浦 一広 )
2008/07/30 15:29
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