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代表執行役 執行役専務の中村豊明氏
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株式会社日立製作所(以下、日立)は7月31日、2008年度(2009年3月期)の第1四半期連結決算を発表した。それによると、売上高は前年同期比3%増の2兆5434億円、営業利益は同217%増の776億円、税引前利益は同97%増の836億円。当期純利益(損失)は前年同期のマイナス136億円から451億円改善し、315億円の黒字に転じている。
情報通信システムは、売上高が前年同期比7%増の5936億円、営業利益が前年から318億円改善した235億円の黒字。ソフト/サービスでは、ソフトがミドルウェアを中心に伸長したほか、サービスも金融機関向けを中心としたSI、アウトソーシング事業が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回った。また通信ネットワークやATMの伸長、ディスクアレイサブシステムの堅調な推移などにより、ハードウェアの売上高も拡大している。
情報通信システムにおける内訳は、ソフトウェア/サービスの売上高が、前年同期比9%増の2700億円。そのうち、ソフトウェアが同3%増の381億円、サービスが同10%増の2319億円。ハードウェアの売上高は同6%増の3236億円で、さらに細かく見ると、ストレージは同1%減の1942億円、サーバー(汎用機とUNIXサーバーなど)が同8%増の206億円、PC(ビジネスPCとPCサーバーなど)が同1%増の112億円、通信ネットワークが同37%増の350億円となっている。
なお、日立GSTの手がけるHDD事業は、売上高こそ前年同期比3%減の1469億円と前年割れしたものの、営業利益は247億円改善した67億円の黒字で、3四半期連続で黒字化した。「昨年から出てきた製品が顧客から高い評価をいただき、大容量の3.5型などで需要があった。今年後半も何とか黒字をキープできると思っているが、大手2社に比べると営業利益率が1けた低いので、今後さらに業績を改善したい」(代表執行役 執行役専務の中村豊明氏)。
HDD事業を除いたストレージソリューション事業の売上高は、前年同期比2%増の850億円。中村氏は、「ディスクアレイサブシステムは、容量あたりの単価は下がっているが量としては増えていくだろう。特に内部統制やディザスタリカバリのようなバックアップ用途は今後日本でも広がると見ており、期待している。また、強かったハイエンドだけでなく、ミドルクラスでも管理ソフトを強化していて、シェアを少しずつあげていく」とした。
電子デバイスは、売上高が前年同期比2%減の2845億円、営業利益は同4%減の96億円。ディスプレイは中小型IPS液晶の需要増によって増収になったが、日立ハイテクノロジーズにおける半導体関連製造装置の需要減、シンガポールの半導体製造子会社売却の影響で、事業全体では減収減益になっている。
デジタルメディア・民生機器は、売上高が前年同期比7%減の3355億円、営業損益は86億円改善したものの、マイナス138億円の赤字。空調機器や生活家電は伸長したものの、薄型テレビの価格下落、プロジェクションテレビ事業とコンシューマPC事業の縮小・撤退といった影響があり、減収になった。営業利益は赤字ではあるものの、構造改革と原価低減を進めたほか、白物の増益で赤字幅が縮小したという。
このほか、電力・産業システムは、売上高が前年同期比12%増の8178億円、営業利益が同7%増の262億円。高機能材料は、売上高が同1%減の4556億円、営業利益が同25%増の360億円。物流およびサービスが、売上高が同1%減の2922億円、営業利益が同38%増の39億円。金融サービスは、売上高が同15%減の924億円、営業利益が同5%増の64億円となった。
なお、原材料の価格高騰が進んでいる影響は日立にも及んでおり、現在値上げの交渉を受けているというが、決着は2008年度第2四半期以降にシフトしているため、今期への影響は少なかったとのこと。逆に次期以降は影響をその分も含めて影響を被るが、交渉の妥結時期や先行きが不透明なため、上期・通年とも見通しは変更しないとしている。
■ URL
株式会社日立製作所
http://www.hitachi.co.jp/
ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2008/07/0731.html
( 石井 一志 )
2008/08/01 00:00
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