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NEC、2008年度第1四半期は減収減益-PCは12.7%増の62万台出荷


小野隆男執行役員常務
 日本電気株式会社(NEC)は7月31日、2008年度第1四半期連結決算を発表した。

 売上高は前年同期比0.7%減の1兆12億円、営業利益は63.7%減の41億円、経常利益は13.4%減の71億円、当期純利益は50.0%減の5億円となった。

 NEC小野隆男執行役員常務は、「第1四半期は、ネットワークシステムやモバイルターミナルの開発投資が影響したこと、ネットワークシステムが下振れしたことで、営業利益は72億円の減少となったが、ITプロダクトや半導体が上振れし、目標を上回る実績となった。今期の目標に向け、着実なスタートを切れたと判断している」とコメントした。

 モバイル/パーソナルソリューションが順調に推移したほか、ITネットワーク、エレトロンデバイスが減少したという。

 また、「第1四半期には、成長戦略に向けた施策を遂行し、海外事業拡大のための提携およびM&Aを促進。携帯電話機の新機種拡大によって、第1四半期の目標である160万台の出荷を達成した」とした。

 海外事業における拡大戦略では、ネットクラッカー、OCC、Linecomの買収のほか、SAPグローバルコンピテンスセンターを開設し、「SAPとも関係を一歩進めるものとなった」と述べた。


第1四半期の実績と上期予測 セグメント別実績

IT/NWソリューション事業
 セグメント別では、IT/NWソリューションは、売上高が前年同期比1.3%減の5651億円、営業利益は50.6%減の77億円。開発費の増加、為替変動の影響などにより、減収減益となった。

 IT/NWソリューションのうち、ITサービス/SI分野の売上高は前年同期比2.8%増の1643億円。営業損益は約20億円の損失。「金融分野における投資予算削減の懸念があったものの、製造、公共などが順調に推移。SI革新による収益性改善努力の成果もあり、収益が改善している。IT投資意欲減速への不安感はなく、企業は競争が激しくなるなかで、IT投資を推進していく方向にあるだろう。ITサービス/SI分野における上期の営業利益は当初予想に比べて20億円増加の160億円を見込む」とした。上期の売上高は前年同期比3.6%増の3780億円を見込む。

 ITプロダクト分野の売上高は12.2%増の1250億円、営業利益は100億円。「価格低下圧力が継続するものの、メインフレームの更改需要による大型案件があり、サーバー、ストレージの販売増加が影響した。だが、第2四半期以降は、収益性の高い案件が第1四半期に集中したこと、戦略的開発投資を予定していることから、上期はマイナス10億円の営業損失になる」とした。上期の営業損失は、当初計画に比べて30億円の改善となる。また、上期の売上高は前年同期比4.9%増の2700億円を見込む。

 ネットワークシステム分野の売上高は10.7%減の2210億円、営業利益は前年同期比150億円減少の10億円。

 次世代ネットワーク(NGN)は、ネットワークソフトウェア、光トランスポート機器、ルータ/スイッチが売り上げ増となったものの、国内移動通信システムの設備投資が抑制されているほか、為替変動およびグローバルな競争の激化、価格下落の進行が影響したという。とくに海外では、パソリンクや3G基地局などの売り上げ減少が大きく影響した。上期には、営業利益で当初見通しに比べて50億円減額の260億円、上期売上高は前年同期比1.8%減の5050億円を見込む。

 社会インフラ分野は、売上高が1.9%増の548億円、営業損失は10億円マイナス。上期売上高は7.7%減の1270億円、営業利益はブレイクイーブンとした。

 なお、上期のIT/NWソリューションの売上高見通しは前年同期比0.5%増の1兆2800億円、営業利益は16.5%増の410億円としている。


モバイル/パーソナルソリューション事業
 一方、モバイル/パーソナルソリューション事業は、売上高が前年同期比7.1%増の2263億円、営業利益は39.6%減の58億円となった。

 モバイルターミナル分野の売上高は、前年同期比26.0%増の1058億円、営業利益は約50億円。

 「買い換え期間の長期化などにより、市場規模は縮小しているものの、当社の製品ラインアップを2機種から8機種へと拡大。ニーズの多様化にあわせた端末が高い評価を得たこと、ソフトバンクモバイル向けの製品投入を再開したことで、前年同期比3割増となる160万台を出荷した。なかでも、N906iμが高い評価を得ている。また、営業利益は予定通り。機能、薄さ、デザイン、使い勝手の部分から魅力的な端末を引き続き投入していく」とした。

 だが、第2四半期には、販売台数が140万台と鈍化すると見ているほか、開発費負担の増加などにより、上期の営業利益は60億円、売上高は26.3%増の1900億円を見込んでいる。

 パーソナルソリューション分野は、売上高が5.3%減の1205億円。営業利益は約10億円。PCの出荷台数は、12.7%増の62万台を出荷した。

 「国内PC事業は価格低下の影響があるものの、着実に収益を確保した。だが、海外PC事業の売り上げ減少、ホーム通信ターミナルの影響により、売り上げが落ち込んだ」とした。

 パーソナルソリューション分野の上期営業利益は、ブレイクイーブンを見込んでおり、第1四半期の約10億円の黒字から逆算すると、第2四半期は約10億円の赤字と見ている。

 小野執行役員常務は、「PCの出荷台数の減少が影響すると見ている。第2四半期はブレイクイーブンでいければいいと考えている」とした。

 モバイル/パーソナルソリューション事業全体の上期売上高見通しは、前年同期比6.9%増の4400億円、営業利益は25.9%減の60億円としている。


エレクトロンデバイス事業
 エレクトロンデバイス事業は、売上高が前年同期比4.1%減の1974億円、営業損失は前年同期から42億円改善ししたものの赤字脱却はならず、マイナス2億円の損失。そのうち、半導体分野の売上高は前年同期比4.2%減の1663億円、電子部品その他は3.7%減の311億円となった。



URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  2008年度 第1四半期連結決算概要
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0807/3101.html


( 大河原 克行 )
2008/08/01 00:00

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