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バッファロー、TolapaiベースのWindows Storage Server試作品

IDF 2008レポート

 米国サンフランシスコで開催されている米Intelの開発者向けセミナー「Intel Developer Forum(IDF)2008」において、株式会社バッファローがWindows Storage Serverの試作品を展示している。このストレージサーバーは、Intelが先日発表したIAプロセッサを搭載した組み込み用SoC(System on Chip)「EP80579」(開発コード名:Tolapai)を利用したモノだ。

 IDFの会場でバッファローの事業本部市場開発事業部NASマーケティンググループリーダーの松崎真也氏に試作品に関して話を伺った。


バッファロー事業本部市場開発事業部NASマーケティンググループリーダーの松崎真也氏
松崎氏
 まず、最初に断っておきたいのは、明日にでもバッファローがEP80579を使ったストレージサーバーを発売するわけではないということです。こういった製品をテストしているというアナウンスをかねてIDFに出展しました。個人的には、来年には何らかの形にしたいと思っています。


―バッファローでは、TeraStationなど、すでにNAS製品は発売されています。今回、EP80579とWindows Storage Serverの組み合わせで製品を開発しようと思ったのはなぜですか?

松崎氏
 おかげざまで、TeraStationは好調ですが、お客さまの声を聞いてみると、Active Direcoryときちんと連携できるNASがほしいという声が大きいことに気がつきました。Windows Server 2008がリリースされ、中小企業でもActive Directoryを導入した環境に変化してきているようです。Active Directoryを導入する大きな理由としては、セキュリティの強化ということからのようです。

 このため、Active Directoryにきちんと対応したNASを作るには、同じWindows OSを使うWindows Storage Serverが最適だったんです。必然的に、Windows Storage Serverを動かすにはIAプロセッサが必要です。このとき、ちょうどIntelから組み込み機器用のSoCとしてEP80579がリリースされることを聞き、試作品を作ってみた次第です。

 EP80579は、Pentium MのCPUコア、周辺チップセット、HDDインターフェイス、ネットワークインターフェイスなどを1チップ化しているため、Windowsベースの製品を企画するにはぴったりのチップでした。


TeraStation Proの筐体にEP80579を搭載したボードを内蔵した試作品。ケースの上にあるのは、グラフィックカード。本当は、筐体の中に収めてデモする予定だったが、開発がずれ込み、グラフィックカードを中に入れるスペースがとれなくなったので、仕方なく外に出している。IDFでのデモは、ぎりぎりのタイミングだったようだ
―この製品構成で、発売にこぎ着けそうですか?

松崎氏
 まずは、マーケットニーズがあるかどうかをきちんと把握する必要があると思います。まあ、マーケットはあるから、試作品まで作ったわけですが(笑)。今までのお客さまの声を聞いた中ではいけると思っています。ただし、EP80579とWindows Storage Server 2003 R2という組み合わせは、考える必要があると思っています。ちょうど、ハードウェアとOSの切り替わり時期になるため、このままでの試作品でいいかどうか、悩んでいます。

 今年後半には、ストレージサーバーもWindows Server 2008ベースに変更します。また、EP80579も、CPUコアにAtomプロセッサを利用した次世代製品のロードマップも見えています。このあたりが、このまま製品化するかどうか大きな問題になる部分です。

 私たちのお客さまは、OSは古くても安定したモノを、ハードウェアは最新のモノをという方々が多いので、このあたりの製品構成は難しいですね。


―今後、既存のNAS製品もEP80579に変えていくのですか?

松崎氏
 そういうことにはならないと思います。現在のNASやiSCSI製品は、Marvellのチップを使っていますが、このプロセッサの上にいろいろなソフトウェアをバッファロー自身で開発しているため、すぐに一から再開発という具合にはいきません。実際、現在のNASやiSCSIのバージョンアップ製品としてMarvellの新しいプロセッサを使った製品を企画しています。

 このチップは、以前のモノに比べると、相当高いパフォーマンスを持つので、今までRAID 5を使うと遅くなるとお叱りを受けていましたが、もうそういったお叱りは受けないようになると確信しています。


―今回展示されている試作品は、発売されるとすればどういった位置づけになるのですか?

松崎氏
 先ほどお話ししたように、Acitve Directoryのセキュリティ機能に対応したNASという位置づけです。このため、既存のTeraStationの上位版という価格帯になると思います。ただ、バッファローが発売するのだから、今までのように高額なストレージサーバーにはならないと思います。ほどほどの性能で、使い勝手がよく、中小企業でも購入しやすい価格帯というのがポリシーですから。


―Pentium MコアのEP80579でパフォーマンス的には満足がいくような製品になりますか?

松崎氏
 現在、各種のベンチマークなどを動かして、評価している最中です。評価中の感触からいけば、遅くて使いモノにならないということはありません。超高速なNASというわけでありませんが、中小企業が社内で利用するには十分な性能を持っていると思います。このあたりは、価格とパフォーマンスのバランスをどう考えるかですね。

 こういったことがあるので、来年の後半に新しい組み込み用のSoCがリリースされることがわかっているので、今のまま製品化するのが難しいんです。われわれのお客さまは、新しいハードウェアには、非常に敏感です。今のまま製品化して、半年で新チップがでて、また新たなモデルを作らなければならないのは、われわれも開発が大変ですし、お客さまにとってもご迷惑をかけることになります。このあたりをどうすればいいのか、プランニングしている最中です。



URL
  Intel Developer Forum
  http://www.intel.co.jp/idf/
  株式会社バッファロー
  http://buffalo.jp/


( 山本 雅史 )
2008/08/22 14:59

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