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マイクロソフト、SQL Server 2008の早期実証プロジェクトの成果を公開


CQIで取り組んだ4つのシナリオ

米Microsoft SQL Serverデータベースエンジン開発部門ジェネラルマネージャーのクエンティン・クラーク氏
 マイクロソフト株式会社は8月26日、Microsoft SQL Server 2008の早期実証プロジェクト「Center of Quality Innovation(CQI)」の実証結果の無償公開を開始すると発表した。同日より、同社サイトにおいてダウンロード提供される。

 CQIは、ユーザーのSIプロジェクトを想定して策定したRFPに対して実証評価を行うプロジェクトで、2007年11月15日より実施してきたもの。同社のほか、日本電気株式会社(以下、NEC)、日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)、日本ユニシス株式会社が参加。コンプライアンスシナリオ、データウェアハウスシナリオ、サーバー統合シナリオ、旧バージョンからのアップグレード/移行シナリオ、の4つのシナリオの検証が行われた。

 今回のCQIの成果について、米Microsoft SQL Serverデータベースエンジン開発部門ジェネラルマネージャーのクエンティン・クラーク氏は、「CQIは、SQL Server 2008の品質向上への取り組みのひとつ。総検証時間は675000時間、450人月。動員技術者数は、約50名。実証テストケース数は、245ケース。検証されたSQL Server機能数は、80。検証に使用したデータ件数は、24億レコード。検証時に作成した技術文書は、2380ページと、大きな成果が出ている。このうち、ホワイトペーパーとして、700ページ以上を無償で公開。書籍としても12月に発刊を予定している」と紹介した。

 データウェアハウスシナリオは、NECが担当。成果について、NEC 第一コンピューターソフトウェア事業部 統括マネージャーの井上浩弓氏は、「検証に当たって、日常業務で使われるデータを使い、普通のサーバーを使い、SEに使わせるなど、お客さまが日常使う環境にこだわった。今回の検証では、データ圧縮機能による性能向上、開発ツールの操作性向上を確認」と説明。あわせて、同社製ソフトウェア7製品のSQL Server 2008対応も実施したことも発表した。


NEC 第一コンピューターソフトウェア事業部 統括マネージャーの井上浩弓氏 データウェアハウスシナリオの成果

 サーバー統合シナリオは、日本HPが担当。成果について、日本HP 執行役員テクニカルセールスサポート統括本部 統括本部長の山口浩直氏は、「サーバー統合手法の確立のほか、リソースの有効活用・性能傾向の把握を行った。これにより、障害時の動作といった運用手法の確立、リソースの有効的な活用方法の取得、NUMA環境での検証など実環境での性能傾向の把握、64ビット環境のメリットといったチューニングノウハウの取得といった成果ができた」と説明。あわせて、Itanium対応のSQL Server 2008をOEM出荷することも発表した。


日本HP 執行役員テクニカルセールスサポート統括本部 統括本部長の山口浩直氏 サーバー統合シナリオの成果

 旧バージョンからのアップグレード/移行シナリオは、日本ユニシスが担当。成果について、日本ユニシス 理事兼共通利用技術部 部長の福島康夫氏は、「SQL Server 2000およびSQL Server 2005からSQL Server 2008へ確実な移行方法を検証。SQL Server 2005からはスムーズな移行が可能なのを確認。SQL Server 2000の場合はアーキテクチャの変更があったため、手順の工夫が必要なことを確認した」と説明。すでに移行構築サービスの提供を行える状態になっていると述べた。


日本ユニシス 理事兼共通利用技術部 部長の福島康夫氏 旧バージョンからのアップグレード/移行シナリオの成果

 コンプライアンスシナリオは、マイクロソフトが担当。コンプライアンスシナリオの検証にユーザーとして参加した株式会社東芝セミコンダクター社 技術企画グループ 技術プラットフォーム構築担当グループ長の伊藤篤生氏は、「SQL Server 2008で自社が展開しているISMS活動を後押しする機能が入っていると確認。SQL Server 2008のほか、System Centerを組み合わせることで実現できた」と述べた。


業務執行役員サーバープラットフォームビジネス本部 本部長の五十嵐光喜氏
 同社業務執行役員サーバープラットフォームビジネス本部 本部長の五十嵐光喜氏は、「Windows Server 2008、Visual Studio 2008、そしてSQL Server 2008の発表にあたり、業界全体で取り組むインダストリーラウンチに力を入れてきた。CQIを中心とした取り組みは、SIのレディネスの根幹となるもの。ユーザーの利用シナリオに沿って、ディープに実証を行っており、膨大な検証時間で得られたノウハウをアウトプットできる点が大きな特長」と説明。「CQIの成果だけでなく、上位の技術情報なども、独自に書き下ろすなどしてドキュメント化し、技術者に提供する。これらにより、SQL Server 2008を安心して導入することができる」と、技術者に対して、最大限の支援を行っていると強調した。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3510
  SQL Server徹底検証シリーズ
  http://www.microsoft.com/japan/sql/bible/cqi.mspx

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( 福浦 一広 )
2008/08/26 14:12

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