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マイクロソフト、Tech・Ed 2008を開催-ITエンジニア重視を強調


 マイクロソフト株式会社主催の技術者向けカンファレンス「Microsoft Tech・Ed 2008 Yokohama」が8月26日から4日間、横浜市のパシフィコ横浜で開催されている。初日には、同社代表執行役社長の樋口泰行氏および米Microsoft SQL Server データベースエンジン開発部門ジェネラルマネージャのクエンティン・クラーク氏が登壇し、「ITエンジニアはヒーローになる ~Dynamic ITによるITイノベーションの実現~」と題した基調講演が行われた。


代表執行役社長の樋口泰行氏

ITエンジニアに対する支援策
 樋口氏はまず、日本で開催されるTech・Edが14回目を迎えたと紹介。「技術者は開発などで中に閉じこもりがちで、外部の刺激を受ける機会は少ない。このTech・Edでいい刺激を受けていただきたい」と、技術畑出身である自身の経験も踏まえて、技術者・開発者にとってのTech・Edの意義を強調した。

 また、同社がITエンジニアを重視していることをあらためて説明。「ITエンジニアの方々からは、日本語の技術資料が少ないことや、製品の品質の問題、複雑なライセンスなどに不満の声をいただいている。こうした不満を解決するため、技術資料の日本語化を進めている。過去6カ月間で1万ページの翻訳を行っており、さらに今後10カ月で1万ページを追加で日本語化していく。また、問題解決に役立つサービスの提供のほか、エンジニア支援活動を実施している。そのほか、製品の品質に関しては、品質検証体制を構築して取り組んでおり、これは米本社の評価基準にも加えられるほどの成果を出している。ライセンスに関しては、ライセンスアドバイザの日本語化のほか、コールセンターの人員を拡充するなどの対策を行っている」と、積極的に取り組んでいると紹介。「マイクロソフトは、技術者・開発者を非常に重視している。それは、ITの革新を現実化するのが技術者・開発者であるから」と、ITエンジニア重視の姿勢を示した。

 そのほか、クラウドコンピューティングやさまざまなデバイスによるネットワークアクセス環境が整うなど、現在のITのトレンドを紹介。樋口氏は、こうしたITのトレンドをとらえて製品開発を心がけているのがマイクロソフトであると述べた。「製品の開発には莫大な費用がかかる。マクロでトレンドをとらえて、開発することが重要。仮想化のHyper-Vや、新しいユーザーエクスペリエンスを実現するSilverlight、Visual Studioによる開発環境の提供などにより、こうしたトレンドに対応している。そして、これらの延長にあるのが、Dynamic IT」と、同社が力を入れる次世代IT基盤を紹介した。


米Microsoft SQL Server データベースエンジン開発部門ジェネラルマネージャーのクエンティン・クラーク氏
 次に登壇したクラーク氏は、Dynamic ITを実現する同社製品を紹介。Dynamic ITについて、クラーク氏は「基本的なITがコストセンターであるとすれば、Dynamic ITは戦略的な資産となるもの。次世代のデータセンターとアプリケーションによりDynamic ITは構成される」と説明。データセンターで求められるものについては、「従来の物理環境から仮想環境への移行が重要なポイントとなる。これにより、モデルとポリシーによる管理を実現でき、可用性・セキュリティの高いデータセンターを実現できる」とした。アプリケーションに関しては、「オンプレミス(自社運用)型・クラウド型のアプリケーションが中心になる。互いに連携・結合・サービス活用しながら利用することになるだろう」と述べた。「とはいえ、これらを実現するためには、やはり人が重要になる。われわれはツールを提供することで問題解決を実現している」と、こちらでも開発者を重視する姿勢を示した。

 基調講演では、「ぐるめっと.com」という架空の企業を例に、同社のテクノロジーを利用することで得られる新しいユーザーエクスペリエンスを紹介。Silverlightを利用したリッチなUIのほか、SQL Server 2008で新たにサポートされた空間データ型を利用した地図検索システムなどを紹介。企業サイトへのアクセス管理に、SQL Server 2008のBI機能を利用するなどのデモが行われた。


Dynamic ITの構成要素となる次世代データセンターと次世代アプリケーション Dynamic ITによりITプロ、開発者、エンドユーザーの生産性を向上 Dynamic ITが実現するイノベーションの数々

東芝セミコンダクター社 技術企画グループ技術プラットフォーム構築担当グループ長の伊藤篤生氏
 基調講演には、株式会社東芝セミコンダクター社がSQL Server 2008の早期導入企業として登壇。同社技術企画グループ技術プラットフォーム構築担当グループ長の伊藤篤生氏は、「もともとSQL Server 2005を利用しており、十分満足していたのだが、SQL Server 2008で搭載されたセキュリティ機能に関心を持ち、早期導入プログラムに参加した。セキュリティ機能に関心を持ったのは、ISO27001に取り組んでいたためで、特権管理に、SQL Server 2008の監査機能とSystem Center Operations Managerが有効だった。変更管理に関しては、SQL Server 2008のポリシー管理とSystem Center Configration Managerが有効だった。そのほか、事業継続管理では、SQL Server 2008の暗号化とSystem Center Data Protection Manager、System Center Virtual Machine Managerが有効だった」と述べた。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  Microsoft Tech・Ed 2008 Yokohama
  http://www.microsoft.com/japan/teched/


( 福浦 一広 )
2008/08/26 16:24

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