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日立ソフト、保守サポートサイト「@Service24」を仮想化環境で提供へ

仮想化の効果を本番システムで実証

セキュリティサービス本部長の中村輝雄氏

仮想化環境での@Service24システム構成
 日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社(以下、日立ソフト)は8月28日、既存の本番システムをアプリケーションや構成に一切変更を加えることなく、仮想化環境に移行したと発表した。「仮想化が本番環境に耐え、多くのメリットを生み出すことを証明した事例」(セキュリティサービス本部長の中村輝雄氏)として紹介。これに伴い、仮想化環境を提供する「SecureOnline」のサービスを強化するとした。

 物理サーバー上で稼働していた保守サポートサイト「@Service24」を、ハードウェアの老朽化という理由から、SecureOnlineの仮想化環境に移行。この際、「既存のシステム構成に一切変更を加えていない」(同氏)点を強調。10台の物理サーバー上のシステムを、デュアルコアのXeon 5160×2、16GBメモリ、VMware ESX Serverを搭載したサーバーブレード2台に集約。10個のVMを稼働させ、仮想化環境上に@Service24を再現させることで、多くのベネフィットを生み出すことに成功したとした。

中村氏によると「物理サーバーの台数は5分の1に。ネットワーク機器やケーブルも減ったことで、これまで@Service24に利用していた42Uラックの占有スペースを6分の1に削減。総消費電力も5割強減らすことができた」という。

 また、仮想化による技術的な効果にも言及。「仮想化のメリットは、物理環境よりもシステムの構成変更が容易になる点。VMでは、仮想マシンごとにCPUやメモリを動的に割り当てることが可能だが、そうした効果も問題なく得られた」(同氏)とした。また、複数のVMがI/Oを共有することで発生すると問題視されているボトルネックに関しても、「本番環境を移行した今回の事例でも、当社のほかのプロジェクトからも、I/Oが遅くなるということはあまりなかった」とコメント。「仮想化は思った以上によくできている。世間で言われるほど、この問題は影響が小さいのでは」とした。

 これに伴い、SecureOnlineのサービス内容を強化する意向。「本番環境に仮想化を利用することに腰が引ける顧客も多く、これまではSecureOnlineは開発環境向けに提供してきた。そのため、今や必須となっているロードバランシング機能なども実装していなかったのだが、今回@Service24を移行したことで同機能が必要となったため、F5ジャパンのBIG-IPを導入した」(同氏)。

 また負荷分散のほか、データベースのクラスタリングも実現した。「従来、クラスタリングを実現するミドルウェアは、複数のサーバーが物理ストレージを共有する必要があったため、完全な仮想化環境では実現できなかった」と、仮想化環境下のクラスタリングの課題を指摘した中村氏は、これを克服するため、サイオステクノロジーの「LifeKeeper」を採用したと語った。

 中村氏は「これにより、SecureOnlineを本番環境として提供する準備が整った。まずは自社の本番システムを仮想化環境に移すことで、腰の引ける顧客に安心感を与え、開発環境のみを対象としていたSecureOnlineの適用範囲を拡大したい。本番環境としてSecureOnlineを利用してもらえれば、案件としてもボリュームアップする。これにより事業の拡大を図りたい」と意欲を述べている。



URL
  日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社
  http://www.hitachi-sk.co.jp/
  ニュースリリース
  http://hitachisoft.jp/news/news520.html


( 川島 弘之 )
2008/08/28 17:25

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