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ベライゾンビジネスの新社長が方針説明、「日本市場で安心感を醸成する企業に」


職務執行者 社長の磯逸夫氏
 ベライゾンビジネス合同会社は8月28日、今後の戦略に関する記者説明会を開催。7日に職務執行者 社長への就任が発表された磯逸夫氏が、「当社では、コアとなる事業の上に、サービスのビルディングブロックを知財として組み込み始めた。これは、他社にはないユニークな部分だ」などと述べ、国内でのビジネス展開における今後の方向性を説明した。

 磯氏がまず述べたのは、「サービスのバックボーンを作りたい」ということ。「通信事業者は、往々にして拠点と拠点を結んで、以上、となりがち。自分たちは“土管屋”だから、という捨てぜりふも吐きかねない」とするが、Verizon Businessはセキュリティ事業者の米Cybertrustを買収するなど、サービスを視野に入れている点がほかの通信事業者と異なっているというのだ。磯氏はこれについてさらに、「16年のノウハウを持ったセキュリティ企業を買収したことで、当社はバックボーンを持ってセキュリティサービスを提供できる強みがある」と主張。グローバルなマネージドサービスビジネス提供を、他社と差別化できる強みとして展開する意向を示した。

 2つ目の強みとしては、日本発の多国籍企業へ、グローバルな支援を提供できる点を挙げる。「日本の製造業における売り上げの半分は海外から捻出(ねんしゅつ)されており、一般的な産業でも3割強が海外からのものだ」(磯氏)という現状では、グローバルレベルで同様のサービスが提供できるかどうか、は大きな問題。回線という意味では、Verizonと欧米で緊密に付き合っている日本企業も多いというが、グローバルなコンプライアンスまでを考えて、Verizon Businessと連携している企業はまだ少ないという。

 こうした現状について磯氏は、「設計データ、勘定系のデータなど多種多様なデータが国際通信されているが、それがきちんと管理されているか。国内ではしっかりしたポリシーを作っていても、人の出入りの激しい海外では、管理運営がしにくい」という点を指摘。旧Cybertrustのサービスも含めてグローバルに展開しているVerizon Businessならではの、明確な付加価値が提供できるとアピールした。

 グローバル展開ということでは、既存の顧客に対するサポートもきっちりと提供する。磯氏は、「一般に経営戦略という際には『攻め』の話が多いが、通信事業者はユニークで、守るべきところと攻めるべきところがはっきりとしている。手厚い支援サポートも事業戦略の柱の1つだ」とし、グローバルで一貫したサービスを、多国籍企業の多い既存顧客へ提供していく考えを強調。

 また、自社だけでは提供できないところについては、パートナリングでの補完を進めるという。磯氏は、「クラウドコンピューティングが、通信・情報業界に与える影響が大きいと考えている」とした上で、従来パートナーとしてきたネットワーク系企業だけでなく、SIerを含め、パートナーを開拓したい意向を示した。現在、国内企業では、ソフトバンクテレコムと回線の相互補完などの提携をしているが、それ以外の業種についても話をしており、今後提携を深めていく意向。こうした取り組み全般を通じて、「日本で重要なのは安心感であるので、これをしっかり醸成していきたい」と述べている。



URL
  ベライゾンビジネス合同会社
  http://www.verizonbusiness.com/jp/


( 石井 一志 )
2008/08/28 17:59

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