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SAPジャパン、製造業向けソリューションへの取り組みを説明


製造業の課題

カスタマーイノベーションセンター担当部長、木下史朗氏

SAP Manufacturing Foundationで予定する強化の方向性
 SAPジャパン株式会社は9月2日、製造業向けソリューションの提供に関する説明会を開催した。

 現在の製造業の環境においては、生産計画の短期化が進み、日単位・時間単位での需給調整が求められるほか、消費者のニーズの変化に対し柔軟に対応するための適応力も、あわせて求められるようになったという。また、現場でできる改善活動は、すでに多くの部分に手が付けられており、「文化の異なる部門・拠点間の連携といった、今まで困難だった課題だけが残っている状況」(カスタマーイノベーションセンター担当部長、木下史朗氏)とのこと。従って、「壁を越えるところに発想を移していかないと、企業間競争に勝てない」(同氏)という。

 こうした状況にある企業を支援するべく、SAPジャパンでも、生産状況を可視化する「SAP xMII(現SAP MII)」を提供。ERPなどの本社業務と生産現場をつなげられるようにしてきた。今後はさらに、コラボレーション機能を充実させるほか、アプリケーションプラットフォーム「NetWeaver」の持ついいところをSAP MIIへ取り入れた、SAP Manufacturing Foundationへ進化させ、さまざまな技術者が参加できる基盤にしていくとのこと。

 具体的にはまず、RFID、バーコードの入力といった、現場の予期しないリアルタイムイベントをトリガーとした自動処理機能を追加する。また、NetWeaverとの統合によって、SAP Visual Composer、Web Dynpro、Javaなどのスキルを持った開発者がこの分野へ参画可能になるという。一方、コラボレーション機能強化という点では、ベンダー間、工場・プラント間でコードを定義し、共通コード、共通インターフェイスなどを整備。SOAを実現可能な基盤作りを進める。

 SAPジャパンは、ERP製品や SAP MIIのほかにもサプライチェーン計画製品「SAP APO」、取引先との連携を図る「SAP Supply Network Collaboration」、イベント管理製品「SAP Event Management」などを包括的に提供できる強みを持っている。しかしそうはいっても、「各社各様に持っているビジネスプロセス、ロジックとの連携は必須」(インダストリー/ソリューション戦略本部 産業機械建設エンジニアリング産業担当部長、見學悟氏)。そうした場合に、「SOAにおいて、実際にSAP製品をサービスとして使える仕組みが提供されており、独自のロジックと組み合わせられる点は、当社の強みだろう」(同氏)とした。

 「当社の製品には生産分野向けソリューションがない、弱い、と思われてきてしまったようだが、実はそうではないことをお伝えしたい。また、パッケージに合わせるならSAPがよくても、業務に合わせるなら他社製がいい、という誤解も解いていきたい」(見學氏)。


インダストリー/ソリューション戦略本部 産業機械建設エンジニアリング産業担当部長、見學悟氏 SAP製品が持つ柔軟性についても周知していきたいという


URL
  SAPジャパン株式会社
  http://www.sap.com/jp/


( 石井 一志 )
2008/09/02 15:06

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