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代表取締役共同社長の吉田和正氏
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インテルのTick Tock開発モデル
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Nehalem次世代のマイクロアーキテクチャの特徴
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インテル株式会社は9月10日、クライアント製品に関するインテルの取り組みを説明する「IAプレス・ミーティング」を開催した。
冒頭、同社代表取締役共同社長の吉田和正氏はインテルアーキテクチャ(IA)が目指す方向として、「パーソナルコンピューティングからモバイルコンピューティングへとフォーカスし、さらに組み込み市場へと進んでいこうとしている。さらに、大容量データを高速にやりとりする技術を開発し、“Nehalem”として提供する準備が着々進んでいる」と新しい領域へ積極的に進出する意向を明確にした。
その上で、まず本筋であるマイクロプロセッサの進化について言及。2008年第4四半期に、予定通り45nmベースのマイクロアーキテクチャを用いたNehalemを投入する。
2009年にはNehalemマイクロアーキテクチャを採用した32nmの「Westmere(開発コード名)」、2010年には次世代のアーキテクチャーを搭載した32nmの「Sandy Bridge(開発コード名)」、さらに2011年、2012年までのマイクロプロセッサが開発されているとした。
Nehalemの詳細については、先日米国で開催された「Intel Developer Forum」で説明されたが、電力効率の向上を実現するハイパースレッディングテクノロジー、インテルとしては第2世代となる仮想化技術、ダイナミックパワー管理を実現するターボモード、全世代の最大3倍のメモリ帯域幅を実現し、QuickPathインターコネクトによりクラス最高水準のメモリ帯域幅を実現などの特徴を持っている。
吉田共同社長は、「コンシューマユーザーからハイエンドエンタープライズユーザーが求める処理までを、効率よく処理するテクノロジー。現行製品からの切り替えには時間がかかるだろうが、ストリーミングを使ったメディア系アプリケーションなど新世代アプリケーションが増えれば、移行のスピードは加速することになるだろう」と、Nehalem登場によってアプリケーション自身も大きく変ぼうする可能性があると示唆する。
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Nehalemファミリー製品
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組み込み向けIAプロセッサ
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インテルメディアプロセッサーCE3100
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現在発表されているNehalemファミリーは、サーバー/ワークステーション領域のものとしては、高性能サーバー用「Nehalem-EP(開発コード名)」、拡張型サーバー向け「Nehalem-EX(同)」、ハイエンドデスクトップPC向け「Core i7」、メインストリーム・クライアント向け「Lynnfield(同)」、「Havendale(同)」、薄く軽いノートブックPC向け「Clarksfield(同)」、「Auburndale(同)」。
「日本企業のビジネス効率化を大幅に加速させるパワーを持った製品がそろったので、アプリケーションやインフラ側の整備が進めば、高性能クライアントへのニーズが一気に増すことになるだろう。ノートブックPCでも始めてクアッドコア搭載の製品が登場し、よりパワーのいる処理がノートでも可能となる」(吉田共同社長)。
また、インテルでは戦略的に組み込み市場へのアプローチを強化する。組み込み市場向けビジネスはすでに10数年前から開始しているものの、大きな成果を残しているとはいえない状況となっている。
この状況を打破する背景として、「ネットワークを介したアプリケーション連携を行う機器が増加し、高集積、低電力アーキテクチャーへのニーズが高まり、インテルのアーキテクチャが評価されるようになってきた。これは、標準的なアプリケーション開発ツールが必要というニーズにも合致している」(吉田共同社長)ためだと説明する。
組み込み市場向け戦略製品として、車載用コンピュータなど向けのSoC製品「EP80579」、デジタル家電向けのメディアプロセッサ「CE3100」を投入する。
「EP80579は今年投入予定で、すべての機能を取り込んだSoCながら基板面積を45%程度縮小し、消費電力を34%削減し、より小さく、より低い消費電力で、高性能化をはかった製品。CE3100は今月から量産出荷を開始し、1チップでフルHDをサポートし、新しいデジタル家電のプラットフォームとすることを目指している」(吉田共同社長)
インテルでは現在はパソコンと携帯電話で全世界に約20億台あるネットワーク機器が、2015年までには150億台まで拡大すると予測。この市場に向け、今後、研究者向けメインフレーム、サーバー/PC、携帯電話、組み込み機器すべてをターゲットとしていく計画で、「メーカーからは統一化され、安定感あるプラットフォームがあれば歓迎するという声をもらっている」(吉田共同社長)とIAのさらなる領域拡大を進める。
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Larrabeeビジュアル・コンピューティングのためのアーキテクチャ
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新しいCentrino 2プロセッサテクノロジー
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インテルSATA SSD
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ビジュアル・コンピューティング向け戦略としては、IAのプログラム機能と、高度なパラレリズムをもったGPUの両方を備えた「Larrabee」を投入する。Larrabeeの詳細は現時点では明らかにされていないものの、「ソフトウェア環境、ISV支援などを進めて、2009年には新しいユーザー体験を提供する」(吉田共同社長)という。
WiMAXについては、米国ボルチモア市で9月からしょうようサービスが開始され、日本ではインテルも出資するUQコミュニケーションズが2009年2月に試験サービスを開始することを発表している。
「通信インフラと、われわれが提供するNehalemのように重いアプリケーションを動かすテクノロジーが同じタイミングで登場し、ユーザーの環境は大きく変わっていくだろう」(吉田共同社長)
ノートPCの動向については、インテル技術本部 技術部長の土岐英秋氏が説明を行った。
ノートPCの新プラットフォーム「Centrino 2」が7月に発表されたが、Celeron搭載機、Centrino搭載機、Centrino 2搭載機の3台を並べ、アプリケーション、Blu-rayディスクの再生を行い、電力効率を比較するデモンストレーションを実施。Centrino 2搭載機がパワー的な優位性を持ちながら電力効率が高いことをアピールした。
新しいCentrino 2テクノロジーとしては、超薄型軽量ノートPC向け製品と、モバイルクアッドコア製品が登場する。これは、パッケージ面積を従来の58%に、容積を68%に縮小したSmall Form Factor(SFF)プラットフォーム製品となる。
また、SATA SSD製品のサンプル出荷が開始されたが、「ご存じのようにノートPCはデスクトップに比べHDDアクセスのスピードが遅く、いくらプロセッサ側の処理速度を向上させても、I/O側のスピードをあげなければ抜本的な高速化は実現できないという課題を抱えている。これを解決する方法のひとつとしてSSDを提供した」(土岐氏)と説明した。
マーケティング戦略については、技術本部長の江田麻季子氏が説明を担当。9月11日から、「ノートブックPCにもっと自由を!」をテーマにした新しいテレビコマーシャルを開始する。
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インテルAtomプロセッサ
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最近大きな話題を集めているネットブックに搭載されるAtomプロセッサについても言及。Atomは、インテルにとって最小のプロセッサで、消費電力も低く、PC以外の機器でもフルインターネット利用ができる。
ただし、「あくまでもAtom搭載機はフルPCではない。これまでPCを使っていなかった人がインターネット利用のために、また2台目、3台目といった利用には適しているが、フルPCの機能を期待して購入すると期待を裏切られることになる。この点はメディアの皆さんもエンドユーザーの皆さんに訴えてほしい」(江田氏)とアピールした。
ネットブックは、台湾メーカー、米国のメーカーが製品を投入する一方、日本メーカーの製品はいまだに登場していない。この点について「インテルとしてはうんぬんいう立場ではない」(吉田共同社長)としながらも、「技術には今実現していることをより安くというアプローチと、新しいことを実現していくという2つの側面があり、日本のメーカーさんは新しいことを実現するという点にプライオリティを置かれており、インテルとしてもこのフォーカスを大きくずらすことはないようにしていきたい」(吉田共同社長)と話した。
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インテルAtomプロセッサ市場の広がり
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インテルAtomプロセッサ搭載製品のカテゴリ
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■ URL
インテル株式会社
http://www.intel.co.jp/
( 三浦 優子 )
2008/09/10 16:39
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