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VMwareの次世代データセンター仮想化コンセプト「VDC-OS」を聞く


 米VMwareは9月15日(米国時間)、データセンターの次世代仮想化コンセプトとして「the Virtual Datacenter Operating System (以下、VDC-OS)」を発表した。データセンターそのものを仮想OSとして扱うことを目指したコンセプトだが、どのような要素により実現させようとしているのか。サーバー製品を担当する米VMwareプロダクトマーケティング ディレクターのボゴミル・バルカンスキー氏に話を伺った。


米VMwareプロダクトマーケティング ディレクターのボゴミル・バルカンスキー氏

VDC-OSの構成要素
―VDC-OSはコンセプトということですが、実際の製品はどのような構成になるのでしょうか?

バルカンスキー氏
 キーとなるのは、vService、vApp、そしてVMware Infrastructureです。ベースとなるVMware Infrastructureの主要な構成要素であるVMware ESX Serverでは、これまでのコンピュータ環境の仮想化に加えて、ネットワークの仮想化、ストレージの仮想化までを実現します。

 アプリケーション分野では、これまでも提供してきたHAのほか、新たにフォールトトレランス、データ復旧サービスなどを提供します。これらにより、さらに可用性の高い環境を実現します。

 セキュリティ面では、VMsafeを発表しています。このVMsafeは、ハイパーバイザにアクセス可能なAPIをセキュリティベンダーに公開することで、仮想マシン上のOSが起動する前に感染を感知することが可能になります。これはパートナー各社と協力して提供します。

 また、スケーラビリティの面では、Hot addという機能を用意します。このHot addは、仮想マシンに対して、CPUやメモリ、ネットワークなどをシームレスにリソースを割り当てる機能です。これにより、仮想マシンを停止することなく、リソースの拡張が可能です。


―VDC-OSという製品が出るわけではないのですね?

バルカンスキー氏
 そうです。VDC-OSはカテゴリーであり、コンセプトです。製品としては、VMware Infrastructureが存在します。


―ということは、次期バージョンのVMware Infrastructreを利用すれば、VDC-OSを利用していることになるのでしょうか?

バルカンスキー氏
 そうではありますが、VDC-OSを定義づけるのに重要な要素として、運用する企業に計画性があるかどうかという点があります。つまり、仮想環境を中心としたデータセンターをどのように運用するのか、それを計画していなければVDC-OSは実現できないことになります。

 VDC-OSでは、vCenter AppSpeedといったアプリケーションの状態に応じて自動的にリソースを割り当てる機能などが提供されます。こういった機能を使うためには、導入する企業がどのような方針でデータセンターを運用するのかといったものが必要条件になります。これがあれば、VDC-OSを機能させることができます。

 しかし、VMware Infrastructureの次期製品を利用すれば、いつでもVDC-OSを利用できるので、要件さえ満たせば利用可能になりますよ。


―VMware Infrastructureといえば、ESX Serverが主要な構成要素になります。次期ESX Serverでは、どのような機能強化が行われるのでしょうか?

バルカンスキー氏
 VMworldの明日の講演で明らかにする予定ですので、現時点では詳しくは説明できません。すでに発表している範囲で説明しますと、CPUコアのサポートを現在の4コアから8コアまで拡張します。また、仮想マシンでのメモリサポートも現在の64GBから256GBまで拡張します。スケーラビリティを意識したものになります。


―現在、VMware ESXiはESX Serverよりも遅れてリリースされていますが、次期バージョンでも同様にワンクッション置いてリリースされるのでしょうか?

バルカンスキー氏
 いえ、ESX Serverと同じタイミングでリリースします。待たせることはありません。


―ESXiはインストーラブルなスタンドアローン版だけが無償で提供されていますが、USBメモリからブート可能なバージョンを提供する予定はないのでしょうか?

バルカンスキー氏
 USBメモリでの提供は、基本的にはOEMベンダーが行っています。われわれが直接提供することは考えていません。


―今回発表された新製品の多くに、小文字のvが付けられていますね。ESX Serverの名称もvが付くものになるのでしょうか?

バルカンスキー氏
 VirtualCenterをvCenterに変えたように、vは仮想サービスに付けられるものです。小文字のvはわれわれのものです(笑)。ESX Serverの名称が変わるかどうかですが、ブランド名やバージョン番号については、まだ発表できる段階にはありません。なので、ESX Serverの名称が変わるかどうかについても説明できません。もちろん、可能性はあります。


―VDC-OSは2009年に実現するということですが、いつくらいになるのでしょうか? 来年の9月に開催されるVMworld 2009で製品発表をされても盛り上がらないとおもうのですが(笑)。

バルカンスキー氏
 時期については明らかにはできませんが、VMworld 2009ではその次の製品群のロードマップを発表する予定です。ですので、それまでにはリリースしていると考えてください。


―ありがとうございました。



URL
  米VMware
  http://www.vmware.com/
  VMworld 2008
  http://www.vmworld.com/

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  ・ 米VMwareが次世代製品群を発表-データセンター全体を仮想OS化(2008/09/17)


( 福浦 一広 )
2008/09/17 09:34

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