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「Microsoftは追いかけているだけ、正直気にしていない」米VMwareマリッツCEO


 今年で5回目となる米VMware主催の仮想化関連イベント「VMworld 2008」。今回は過去最大となる1万4000人以上の参加者を集め、展示会場では米Microsoftや米Citrixがブースを出すなど、大きな盛り上がりを見せている。今回、アジア太平洋地域のプレスを対象に、VMworld 2008の会場において同社社長兼CEOのポール・マリッツ氏へのQ&Aセッションを実施。同社の戦略や今後の方向性に関して話を伺った。


米VMware社長兼CEOのポール・マリッツ氏
―7月にVMwareのCEOに就任されましたが、今回の交代の理由を教えていただけますか。

マリッツ氏
 前CEOとの個人的な比較は控えさせてください。はっきりしているのは、VMwareに求められている戦略が変化したということです。私に対して求められているのは、仮想化市場での優位性を維持するのはもちろん、VMwareを成熟した会社に発展させることです。

 トップが変わるときには、大きな変化が起こるものです。VMwareには有能な人材がたくさんいます。そうした人材を生かして、挑戦する環境を作ることも私の役割です。社員の不安感はありません。


―成熟した会社に発展させるとのことですが、これまでは英語圏向けの取り組みが中心でした。英語圏以外の地域に対する取り組みはどのようになるのでしょうか?

マリッツ氏
 成長という面でみると、英語圏以外の地域に大きな機会があるとみています。実際、BRICsといった成長の早い市場に対しては、マネジメントを強化するなど積極的に取り組んでいます。


―サーバー仮想化では、米MicrosoftもHyper-Vを投入しています。これに対するVMwareの取り組みについて教えてください。

マリッツ氏
 Microsoftは、ライブマイグレーションの機能を2010年にも提供するというビジョンを先週発表していますね。しかし、これはビジョンであり具体的なものではありません。また、この機能はVMwareですでに実装済みのもので、あとを追いかけてきているのにすぎません。われわれは新しい機能を投入することで、Microsoftではできない分野にまで参入しています。正直あまり気にはしていません。

 Microsoftと競争するというのは、非常に難しいことです。資金の面だけをみても、Microsoftは潤沢ですが、われわれは失敗すると取り返しがつきません。しかし、VMwareは顧客のニーズをとらえており、それに対して業界とともに対応しています。十分勝算はあります。


―Hyper-Vを無償で提供するなど、MicrosoftはVMware製品が高いとアピールしています。価格戦略を見直す予定はありますか?

マリッツ氏
 現時点ではありません。われわれもVMware ESXiを無償で提供しており、これまでいわれていたハイパーバイザで商売する企業から脱皮しています。われわれはハイパーバイザではなく、その周辺の製品群で戦っています。


―これからの5年、どのような戦略をもっているのでしょうか?

マリッツ氏
 環境への取り組みを宣言しています。仮想化だけでなく、われわれは環境を意識した企業となっていきます。実際、仮想化によりサーバーを統合することで消費電力の削減などを実現しています。今後はフレームワークを提供するなど、多くの方のニーズに応えるような取り組みを行っていきます。

 また、クラウドコンピューティングやデスクトップの仮想化にも力を入れていきます。



URL
  米VMware
  http://www.vmware.com/

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( 福浦 一広 )
2008/09/18 07:39

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