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ターボリナックス、Windows混在環境でのSSO実現へ-年内にもβ版投入

Red Hatとの接続も視野に

代表取締役社長の矢野広一氏
 ターボリナックス株式会社は、同社が開発しているTurbolinuxとWindowsとの混在環境において、シングルサインオン(SSO)が可能なモジュールを、年内にもβ版として配布できる予定であることを明らかにした。

 同社の矢野広一社長が、本誌のインタビューに対して明らかにしたもの。年明けには、各種ツール群も整備した形でもβ版の提供を開始し、その後、製品出荷を予定しているとした。

 これは、2007年10月に、マイクロソフトとの包括契約に基づいた成果によるもの。同提携の発表の際、WindowsとLinuxの双方のシステムに対して、1つの証明書でログインできるSSOソリューションの開発を明らかにしており、これにより、Active Directory(AD)の管理下において、Turbolinux製品へのSSOを実現できるようになる。

 「IT管理者は、Active Directoryによって、Turbolinux環境のアプリケーションの管理が可能になり、ユーザーは、パスワードを再入力せずに、Turbolinuxが稼働しているアプリケーションを利用できる。管理者およびユーザーに対して、大きなベネフィットを提供できる」(矢野社長)としている。

 また、「日本のユーザーに活用してもらうためには、GUI環境のツールの整備が不可欠。すでに骨格はできているが、こうしたツール群の整備が重要な要素」として、エンジニアおよびユーザーが容易に活用できる環境整備にも余念がない。

 さらに、矢野社長は、「Red HatをはじめとするほかのLinuxに対しても、同様の機能を提供できるツールの開発も検討している」として、製品版にこの機能を追加する予定であるほか、今後、独立したツールとして投入することも検討していくという。

 これにより、Windowsと多くのLinuxとの間でのSSOが可能になり、混在環境での利用が促進されることになる。

 同様の機能を実現しているものに、フリーソフトウェアのSambaがあるが、「Samba 3.2からは、GPL v3に移行しており、マイクロソフトでは、GPL v3を保護しないとの声明を出している。ユーザーにとっては、リスクが増大することになり、マイクロソフトとの提携によって開発した当社製品の重要性がより高まってくる」(矢野社長)としている。

 ターボリナックスでは、マイクロソフトとの包括契約において、「相互運用性の向上」「研究開発分野における連携」「知的財産の保証」「デスクトップ分野における協調の拡大」の4項目についての協業を発表。これまでに、Open XML-ODFファイルフォーマット変換ツール開発プロジェクトでの協力や、Windows Mediaコンテンツ再生ソフトおよびLive Searchを、ターボリナックス製品へ搭載するといった取り組みを行ってきた。

 また、ターボリナックスの上海の開発拠点と、マイクロソフトの技術拠点の連動などによる協力体制を敷いてきた。

 「シングルサインオンに関しては、11月には、中国および日本のマイクロソフトの拠点を利用して、検証を行う予定。これまでは日本で先行して投入してきたが、中国で開発を進めていること、中国において、WindowsとLinuxの混在環境が広がっていることを背景に、日中同時での投入も視野に入れている」(矢野社長)としている。



URL
  ターボリナックス株式会社
  http://www.turbolinux.co.jp/

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  ・ 米Microsoftとターボリナックス、相互運用性向上など包括的な協業契約(2007/10/23)


( 大河原 克行 )
2008/09/22 15:15

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