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IT管理の一元化から自動化まで実現-System Centerに注力するマイクロソフト


 仮想化環境が一般的になるに伴い、多くのサーバーをいかに効率的に管理するかがシステム管理者の課題となってきた。こうした課題を解決するのがシステム運用管理製品だ。マイクロソフトの場合、System Centerブランドの管理製品を複数提供しており、Windows Serverを効率的に管理するためには必須の製品群となってきている。今回、このSystem Centerおよびセキュリティ製品「Forefront」の責任者である米Microsoft マネージメントアンドソリューションディビジョン、ジェネラルマネージャのブラッド・アンダーソン氏に、System Center・Forefrontの製品戦略などを伺った。


米Microsoft マネージメントアンドソリューションディビジョン、ジェネラルマネージャのブラッド・アンダーソン氏
―System Centerは、多くの製品で構成されています。しかし、利用者から見るとどれを買えばいいのかがわかりにくいようにおもわれます。「System Center」といった単一製品に将来的にする予定はないのでしょうか。

アンダーソン氏
 わかりやすいものになるよう、System Center Server Management Suiteというスイート製品を用意しています。EnterpriseとStandardの2つがあり、このスイート製品を購入していただければ、IT資産管理ツールの「System Center Configuration Manager」、運用管理ツールの「System Center Operations Manager」、バックアップ管理ツールの「System Center Data Protection Manager」、仮想マシン管理ツールの「System Center Virtual Machine Manager」を利用できます。

 また、データセンターの管理、クライアントの管理など、目的別にパッケージを購入することも可能です。いろいろあってわかりにくいかもしれませんが、Server Management SuiteとエンタープライズCALさえ購入していただければ、利用できます。


―ユーザー側ではすでに管理製品を使っている場合もあります。そうした環境でSystem Centerを使うとなると、マイクロソフトの製品で一元化しなければいけないということですか?

アンダーソン氏
 もちろん、われわれとしてはマイクロソフト製品で一元化していただければありがたいのですが、混在環境で利用していただくことも可能です。あくまでも、お客さまの選択にまかせています。はっきりしているのは、われわれはWindowsをどこよりもよく理解しているということです。これはWindows管理製品としてのわれわれの強みといえます。

 また、利用者の視点に立てば、シングルコンソールを必要としているのは明らかです。OEMパートナーの管理ツールとはコネクタを用意することで連携が可能です。こうしたコネクタを利用することで、System Centerのコンソールを利用するメリットも生まれてきます。


―現状のSystem Centerは管理機能は用意されていますが、自動化を支援する機能は用意されるのでしょうか? たとえば、仮想化環境上でのコンフィグレーションを自動化する機能などはどうですか?

アンダーソン氏
 仮想化に関しては、これまではコンソリデーションが中心でした。これからは、ポリシーベースでの自動化という使われ方に進んでいくでしょう。System Center Virtual Machine Managerの次期版であるSystem Center Virtual Machine Manager 2008では、イベントやポリシーに応じてダイナミックな割り当てを実現する機能などを提供します。

 サーバーの仮想化を利用している企業は10%程度と、まだまだ若い市場です。われわれとしては、Hyper-Vのような仮想化のハイパーバイザだけでなく、管理・セキュリティを含めて提供しています。


―サーバーやデータセンターのモデル化や適切なナレッジ化が必要になるとおもいますが、System Centerにはなにが不足しているのでしょうか?

アンダーソン氏
 不足しているものはありません。現状のSystem Centerでも十分なモデリング機能を提供しています。あえていえば、内部開発用のツールをモデリングするものをさらに提供する必要はあるでしょう。また、使い勝手のいいモデリングツールを提供することも重要です。

 あとはパートナーエコシステムの拡大も重要です。より多くのパートナーからマネジメントパックやコンフィグレーションパックを提供していただくことで、モデルの数を増やせるようになるからです。


―ユーザーが作った独自アプリケーションはSystem Centerで管理することができるのですか?

アンダーソン氏
 Visual Studioでアプリケーションを開発すれば、管理も含めることは可能です。開発者がコードを開発する際、自動的にマネジメントパックが作れるものも用意されています。Visual Studioでモデル化し、System Center側でそれを展開するといったことも、今後可能になります。

 とはいえ、現時点ではSystem Centerを意識した方法でプログラミングする必要がありますので、われわれとしては、コンポーネントなどを提供することで開発者をコーチングすることは重要だと考えています。


―セキュリティ製品群のForefrontは、次期バージョンでネットワークエッジからアプリケーションサーバー、デスクトップまでを一元的に管理できるようになるとアナウンスされています。しかし、現状では、System CenterからはForefrontは管理できません。将来的には、両者は統合されるのでしょうか?

アンダーソン氏
 はい。各製品のリリースごとに統合を進めていく予定です。というのも、企業内では、IT管理とセキュリティ管理は同じ担当者が行っているからです。われわれは、数年前からインフラは1つにしていこうと決めて行動しています。これは、コストの面でも、効率の面でも有利になるからです。


―マイクロソフトでは4つの仮想化(サーバー、デスクトップ、アプリケーション、プレゼンテーション)を用意していますが、System Centerでそれらを管理できるようにするのでしょうか?

アンダーソン氏
 もちろんです。新しいSystem Centerではポリシーベースで管理する機能が強化されています。つまり、アクセスしたデバイスの種類・場所を判断し、ポリシーにあわせて適切なアクセス方法を提供するのです。これはユーザー中心型コンピューティングというもので、仮想化は大きな役割を担っています。

 2012年までに3分の1がインターネット世代になるといわれています。また、ノートPCの比率も高まってきています。こうした世代が企業に入ってきた場合、すべてのデバイスで生産性を高めたいと考えるでしょう。


―仮想化といえば、Kidaroの買収はデスクトップ仮想化を大きく変化しそうですね。Kidaroが与える影響について説明していただけますか。

アンダーソン氏
 Kidaroは、今年の3月に買収した会社で、仮想マシンをバックグランドで動作させ、アプリケーションをデスクトップの一部のように表示する技術を持っています。現在提供しているVirtual PCは、利用者のデスクトップを分離してしまうため、アプリケーションの互換性を考えて導入した場合でも、ユーザーに混乱を与えてしまっています。しかし、Kidaroを使うことで、ユーザーはVirtual PCを意識することなく、アプリケーションだけを利用できるようになるのです。

 このKidaroベースの仮想化製品は、Microsoft Operations Packで提供する予定です。


―Windows 7に標準搭載されるのではないですか?

アンダーソン氏
 そうなるとうれしいですね。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/


( 福浦 一広 )
2008/09/26 10:46

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