Enterprise Watch
最新ニュース

「“日本化”したセキュリティ製品で販売拡大を目指す」、ウォッチガード本富社長


代表取締役社長の本富顕弘氏
 セキュリティアプライアンスの専業ベンダーである米WatchGuardは、1999年にIPOをしたものの、その後業績が低迷。2006年にプライベートファンドによって再生されたという経緯がある。その後のビジネスは順調で、2008年には新経営陣も就任し反撃への体制を整えているとのこと。国内法人のウォッチガード・テクノロジーズ・ジャパン株式会社(以下、ウォッチガード)でも、2008年の5月に本富顕弘氏を代表取締役社長へ迎え、国内ビジネスの再整理に乗り出した。その本富社長に、ビジネスの進ちょくを聞いた。

 ウォッチガードは、2000年に日本法人を設立しているが、本富氏によれば、米本社での経営陣入れ替わりに伴い、国内のビジネスも新しいフェーズにシフトしたところだという。これまでも、10社ほどの1次代理店を通じて、多くのリセラー(2次代理店)が存在し、同社の製品を扱っていたものの、本富社長は「ただ扱ってもらうだけでは意味がない」との点を強調。アクティブな各地域に根ざした地場の販売店や、文教市場など業種・業界に特化した販売店など、アクティブなリセラーの数を増やしたいとの考えを再三アピールする。

 しかし、パートナーは黙っていて増えるものではない。そこで、同社は新たにマーケティング担当者を採用し、国内市場向けのセールスツールを日本独自で提供できるようにしたほか、地道に地方を回り、パートナーと一緒になってマーケティング活動を行っているという。さらにパートナーに対しては、「課題を解決するソリューション」としての売り方を提案している。本富社長はこのような、ソリューションを前面に出す理由を、「UTMという言葉は、ITの世界ではかなり一般化したように思えても、中小企業では、まだ半分は知られていない。こういった市場に対して、UTMという言葉を認知してもらおうとするよりも、困っていることが何かを聞いて、それを解決できる手段があると紹介する方が、はるかに効率がよい」と説明する。

 例えば、WatchGuardアプライアンスは米Commtouchの迷惑メール(スパム)対策機能を搭載できるが、中小企業であっても、スパムの処理に困っている企業は一定数存在する。こういったところに、スパム対策のソリューションとしてアプライアンスを紹介できれば、それは立派なソリューションとして通用するのだという。別の面では、従業員のWeb利用をきちんとコントロールしたいという企業に対して、URLフィルタリング機能をアピールすることもできる。このように、実際の利用シーンを想定したソリューションとしての提供をすることで、パートナーにとっても売りやすい製品になるという。


小規模向け製品の「Firebox X Edge e-Series」
 これ以外に、競合との差別化に繋がる機能として、本富社長は「セキュリティの可視化」を挙げる。「競合でもモニタリング機能は提供しているが、基本的に別売り。当社ではアプライアンス自体の価格が安い上、すべての製品でモニタリングツールを無償提供している」とした本富氏は、続けて「『先週はこういった攻撃から企業ネットワークを守りました』といったレポートが出せるので、経営陣に導入効果を示せ、安心感が提供できる」とアピールした。

 また製品別の販売戦略では、これまでビジネスの約7割を占めていたという中位機種「Firebox X Core」だけでなく、小規模向けの「Firebox X Edge」、大規模向けの「Firebox X Peak」といった各製品の販売割合を伸ばしたい意向。本富社長は、特に、「競合が、ターゲットにする企業規模を大きめにシフトさせる中、Edgeでナンバーワンになりたい」(本富社長)との意気込みを示す。同社ではこれを実現させるため、小規模企業だけではなく、小規模拠点を多数展開する企業などもターゲットとして販売を進める考えで、そういった顧客を抱えるパートナーとも協業を進めている。

 一方、米本社側でも、日本に対して投資を積極的に行う体制にあるという。マーケティング職やサポート担当といった人材の採用もその1つだが、製品面でも、UIやマニュアルの日本語への翻訳だけではなく、「日本からの要求に基づいた、独自の機能を搭載してくれている」(本富社長)というのだ。実際に、アプライアンス用OSの次期バージョンでは、NTT東西のフレッツシリーズなどで利用されるPPPoE+Unnumbered環境をサポートするとともに、透過的な設置を可能にするトランスペアレントモードにも対応。あわせて、国内では要求の厳しい品質についても、新経営陣になってからはかなり向上したとのことで、このように、日本のニーズを的確に積み上げ、本当の意味での「日本化」を実現している点も同社の強みだという。

 「UTMとして統合されている強みに加え、“見えるファイアウォール”としてのアピールが可能。しかも、導入や運用、管理がしやすい、パートナーにとっても売りやすい製品を提供できる」(本富社長)。



URL
  ウォッチガード・テクノロジーズ・ジャパン株式会社
  http://www.watchguard.co.jp/


( 石井 一志 )
2008/09/26 10:47

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.