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BMOビジネスプランニンググループ ライセンスマーケティングスペシャリスト、山下典子氏
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マイクロソフト株式会社は10月1日、企業向けの新ライセンスプログラム「マイクロソフト セレクトプラス」(以下、セレクトプラス)を発表した。PC保有台数250台以上の企業を対象としたライセンスで、従来の「セレクト」の後継という位置付けになる。
マイクロソフトでは中・大規模企業向けに、「セレクト」「エンタープライズアグリーメント」「エンタープライズサブスクリプションアグリーメント」といったライセンスプログラムを提供しているが、セレクトプラスはこのうち、セレクトを置き換えるもの。同社がセレクトに関する顧客の声を調査したところ、「契約をもっと柔軟にしたい」「管理面が煩雑」といった声があったという。こうした場合、これまでは既存ライセンスプログラムの範囲内で一部を変更することなど対応してきたが、「今回はお客さま中心の購入形態へ変えていこうということで、新しいライセンスプログラムを提供することにした」(BMOビジネスプランニンググループ ライセンスマーケティングスペシャリスト、山下典子氏)。
ポイントは大きく3つ。1つ目の「複雑さの軽減」では、3年だったセレクトの契約期間を無期限(SAなど一部を除く)にあらためたほか、事前の見積もりを行わなくても、製品ごとに設定された購入ポイントに応じて、自動的に価格レベルを決定できるようにした。従来のセレクトの場合は、初回購入前に、今後3年間で購入するソフトウェアの見積もり(どれだけの製品を、いくつ購入するのか)を行い、それによって価格レベルを決定しなければならなかったため、購入までの作業が煩雑。また、見積もりから実際の購入数がずれた場合の調整も煩雑になってしまっていた。
そこで、セレクトプラスでは、製品ごとに設定された購入ポイントを積み上げて合計値を算出し、その多寡によって価格ランクが設定されるよう、仕組みを単純化。事前のポイント見積もり作業を廃して、ユーザーやパートナーの負担を軽減したのだという。また追加でライセンスを購入する場合、年間の累計ポイント数が必要ポイントを満たせば、次回発注からは価格ランクが自動的に引き上がるように改善されている。例えば、価格ランクBのユーザーがライセンスを追加購入し、ポイントが10000を超えると、次からは自動的にランクCの価格で購入できるようになる。
あわせてセレクトプラスでは最小購入ポイント数も、セレクトの1500ポイント(3年、製品群ごと)から500ポイント(1年、製品群ごと)に引き下げられ、導入のハードルが低くなった。これらの点について、山下氏は「ライセンスの有効期限がなくなったため、更新の手間が省けるほか、価格レベルが随時適用されるので、顧客は(変更が反映された)メリットのある価格で購入できる」とアピールしている。
2つ目のポイントは、「管理形態の簡素化」。セレクトでは、契約会社ごとに1つの契約番号のみが提供されていたことから、親会社と関連会社で別々に管理しようとすると、契約も別々に行うしかなかったという。もちろん、個々にセレクトの最小ポイントを満たさなくては、そもそも契約することができない。
しかしセレクトプラスでは、主要契約会社(例えば親会社)に発行する契約番号のほかに、関連会社へ子ID(PCN:パーソナルカスタマーナンバー)を発行。これを用いて、会社ごとなどの細かな単位で管理を行えるようになった。もちろん、主要契約会社から子IDを含めた全体の利用状況を把握することもできるほか、セレクトプラスの価格ランク計算は全体で行われるので、これまでよりもボリュームディスカウントの恩恵を受けやすくなっているとのこと。
最後のポイントは、「SA(ソフトウェアアシュアランス)から得られる価値の増大」。アップグレード特典などを提供する保守プログラム「SA」の初回発注分については、発注の時期によらず36カ月の有効期間が保証されるようになった。
このようにセレクトプラスはセレクトと比べてメリットが大きいため、マイクロソフトとしては、「新規顧客ならびに契約満了時の既存顧客には、セレクトプラスを積極的に進める」(山下氏)という。ただし、急に切り替えができない企業が存在することも考慮し、セレクトは引き続き提供するとした。
■ URL
マイクロソフト株式会社
http://www.microsoft.com/japan/
プレスリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3539
( 石井 一志 )
2008/10/01 11:44
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