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コンサルティング&インテグレーション統括本部 ソリューション戦略本部 ソリューション戦略二部の内田恵部長
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HP DCTフレームワーク
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HP DCCサービスの概要
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日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は10月3日、企業のデータセンター最適化を支援する「HP データセンター・トランスフォーメーション・ポートフォリオ(以下、HP DCTポートフォリオ)」に関する最新情報報告会を開催した。
HP DCTポートフォリオは、6月にローンチしたサービスで、データセンターの最適化を図るため、戦略策定から設計、移行、運用、継続的改善までをトータルに支援するもの。具体的には、データセンターの最適な統合を支援する「HP データセンター・コンソリデーション・サービス(HP DCCサービス)」、ITインフラの仮想化を支援する「HP データセンター・バーチャライゼーション・サービス(HP DCVサービス)」、ファシリティの設計・施行を行う「HP クリティカル・ファシリティ・サービス」など、豊富なサービスがラインアップされている。
昨今、データセンター最適化の必要性が盛んに叫ばれているが、もちろんやみくもに進めてよい話ではない。コンサルティング&インテグレーション統括本部 ソリューション戦略本部 ソリューション戦略二部の内田恵部長によると、「事業部ごとにサイロ化されたITシステムを理路整然とするためには、ガバナンスの基根本的なITの見直しが必要となる。また検討要素は多岐にわたり、それらを網羅的にとらえる視野が必要になる」という。
内田氏は、これら検討要素を1つの輪として思考することが重要だと指摘する。「顧客に多いのは、最終目標はおぼろげにある一方で、どこから始めていいのか、その方法論に悩むケース。どこから、ではなく、全体を網羅的に検討することで、新たな発想が生まれることや相互関連性が明確になることが多々ある」。
とはいえ、方法論をしっかりと持っている顧客は一部だ。特に日本では、「データセンター最適化を検討しながら、具体的なプランを持っていないところが残念ながら多い」(内田氏)という。
そこでHP DCTポートフォリオでは、コンサルタントとの対話により、ロードマップや方向性を作成するワークショップも提供されている。製品の説明は含まず、顧客の目標に沿った検討ポイントをナビゲートする半日程度の参加型ワークショップで、10個に細分化されたデータセンター最適化を成功させるためのファクタについて、あれこれと議論することができる。
ここでもHPのデータセンター統合の経験が生かされており、内田氏も「10個のファクタは通常であれば、1つに1週間ほどかかる。それを同ワークショップでは3~4時間で学べる。この期間の短さが最大の特徴で、10週間分のパフォーマンスを半日で実現できるものと理解いただきたい」と自信を見せる。
「このワークショップで、短期間であげられる確実な成果が明らかになるとともに、方針が明確になるため、実際にプロジェクトを走らせる際に経営層への説得材料を得られるのがベネフィット」(同氏)。
6月にローンチして以来、案件も順調に増えているという。データセンターを移行するにあたって、顧客ごとに現況が異なる。そのため、提供するサービスの内容には差があるが、すでに国内で12件の成約につながった案件がある(6月以前からの案件も含まれるが)という。
その1つが、ヤマハ発動機。二輪車の製造・販売を期間事業に位置付ける同社では、グローバル戦略を後押しするIT基盤を強化するため、2016年を目標としたデータセンター最適化を進めている。システム運用を世界の数カ所に集約するほか、それを実現するため、日本リージョンにおけるサーバー・ストレージの標準化と統合を進めているという。
日本HPは、ヤマハ発動機の資産のグループ分けから標準化方針の策定、将来像や実行計画の作成などを手掛けた。現在プロジェクトは中期計画へと移行しており、今後のシステムインテグレーションについても日本HPが全面的にサポートすることになっている。
また海外では、アルカテルとルーセントの合併時に発生した混乱から、アルカテル・ルーセントを救ったのも、今回のソリューションサービス群だったという。
「当時、合併により同社ではデータセンターの数が急にふくれあがり、1100台もの老朽化したサーバーに保守能力は許容範囲を超え、災害対策も十分でない、すべてがちぐはぐな状況になっていた。同社自身、このときの混乱を“Perfect Storm(ひどい嵐)”と呼んでいたほどだった」(コンサルティング・インテグレーション統括本部の森浩徳氏)。
この状況からアルカテル・ルーセントはHPとともに、統合、テクノロジの刷新、事業継続計画などを実施。データセンター数やサーバー数を低減するなどで、かじ取りのコントロールを取り戻すことができたという。
内田氏は「数年前なら理解されずに頭をひねられていたHP DCTポートフォリオのサービスも、夢物語ではなくなっている。実際に提供し効果をあげる中で、当社としても新たなノウハウを蓄積し、これをさらに顧客へ提供するような段階に入っている」と、サービスの現実性を強調。「それは、買収などにより着実に製品・サービスの種類を増やしてきた結果。ガートナーでも、こうしたデータセンター関連のサービスを、コンサルから実装まで包括的に提供できているのはIBMとHPだけと報告している」とした上で、「これからヤマハ発動機のように紹介できる事例も増えてくるだろう。そうすればデータセンター最適化に関するより具体的なイメージを顧客に伝えられるようになると思う。期待してほしい」とまとめた。
■ URL
日本ヒューレット・パッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/
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・ 日本HP、事業部横断でデータセンターの変革を支援する「HP DCTポートフォリオ」(2008/06/02)
( 川島 弘之 )
2008/10/03 16:02
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