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マイクロソフトが環境への取り組みを紹介-ソフトウェアによる問題解決を推進


米Microsoft最高環境戦略責任者のロブ・バーナード氏

エネルギーの効率向上に向けた3つの戦略
 マイクロソフト株式会社は10月7日、米Microsoft最高環境戦略責任者のロブ・バーナード氏の来日にあわせ、同社の環境に対する取り組みに関する説明会を開催した。

 バーナード氏はまず、Microsoftが約1年前より環境への取り組みを開始したことを紹介。「多国籍企業としてどのようなことが行えるかを検討し、ソフトウェアを活用することで社会のイノベーションを実現すること、そしてわれわれ自身がどうやって模範を示すことができるかといった方針を策定した」と述べた。

 この背景には、10億人以上のユーザーと42万5000社のパートナー企業を持っている同社の世界規模での活動があるとバーナード氏は説明する。「たとえば、われわれのソフトウェアを搭載した機器のエネルギー消費量を2%削減するだけで、大きなインパクトを与えることが可能だ。これを実現するために、Microsoftはソフトウェアによる技術革新を行い、そしてパートナーと連携して実行することが重要」と、ソフトウェアを核にパートナー企業と共に行動する重要性を強調した。

 具体的な事例としては、Windows Vistaに搭載されているハイブリッドスリープ機能を紹介。「この機能を利用することで、スリープ中の消費電力を3Wまで下げることができる」(バーナード氏)とした。この数値は、PCの稼働時間を週5日、1日あたり10時間とした場合、年間760.14kWhの節減量になり、1年間で0.5トンのCO2排出削減効果に相当するとしている。

 サーバー分野では、Hyper-Vといった仮想化技術によるエネルギー効率の向上を実現していると紹介。「ハードウェアの性能向上とあわせると、3年前と比べて同じ処理能力を実現するのにエネルギーの必要量を半減することができた。データセンターという側面では、こうした技術的な取り組みのほか、利用者自身が電力消費量を把握するといった行動パターンを変化することで、環境対応が行える」(バーナード氏)と述べた。

 また、同社自身での環境対策への取り組み事例も紹介。本社のあるシアトルでは、車での通勤を削減することを目的にシャトルバスの運行を開始。これにより、1週間で45万キロ相当の走行距離の削減を実現したとしている。そのほか、在宅勤務を増やしたり、在宅勤務ができない社員向けにシアトル市内にモバイル環境を用意したタッチダウンオフィスを設置するなど、無駄な移動を削減する活動を行っていることを紹介した。

 「ソフトウェアの配布形態もパッケージを利用するのではなく、インターネットを利用した配布も行っている。企業向けでは、デジタルバイチョイスという形態を実現しており、これにより何千万枚ものCD/DVDといったメディアを削減している」(バーナード氏)とした。

 業界活動では、データセンターの消費電力削減を推進するGreen Grid Consortiumや、PCの商品電力削減を目指すClimate Savers Computing Initiativeに参加するなど、他社と協力した活動も積極的に行っていると紹介した。


業務執行役員 社長室室長の冨沢高明氏
 国内での取り組みについて、業務執行役員 社長室室長の冨沢高明氏は、「7月に発表した中期経営方針において、環境に配慮した企業活動の推進を掲げて取り組んでいる。サーバー分野では、富士通と共同で富士通Hyper-V仮想化センターを設立することで、仮想化提案を通じて環境対策を推進している。今後もパートナーと共に啓もう活動を実施していく」と述べた。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/


( 福浦 一広 )
2008/10/07 13:35

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