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NTT、米EnterpriseDBとPostgreSQLの普及促進で提携


左から、NTTの舘担当部長と木ノ原所長、米EnterpriseDBのAstor上級副社長とLussierチーフアーキテクト

PostgreSQLの同期レプリケーション

NTT社内へのPostgreSQL導入計画
 日本電信電話株式会社(以下、NTT)と米EnterpriseDBは10月7日、PostgreSQLの機能拡張と普及促進において、包括的なパートナーシップを締結したと発表した。NTTでは、この協業による信頼性強化などによって、社内システムへのPostgreSQL導入を促進し、コスト削減に役立てたい考えで、将来的には、SaaS事業者向けサービス基盤での利用など、社外への提供も目指すとしている。

 PostgreSQLはコミュニティ主導で開発されているオープンソースデータベース製品で、「1年1回のバージョンアップで、機能のアップデートが着実に進み、エンタープライズ向けの機能が充足してきた」(NTT オープンソースソフトウエアセンタ 木ノ原誠司所長)状況。NTTも2004年から参加して、さらなる信頼性、可用性の強化などに取り組んでおり、コミュニティの中心メンバーの30%をかかえるなど、PostgreSQL開発に大きく貢献しているEnterpriseDBとの協業も、その一環という。

 今回、両社ではまず、PostgreSQL開発コミュニティへの貢献活動などを通した機能開発で連携を強化する。具体的には、NTTオープンソフトウェアセンタが試作した「同期レプリケーション技術」を改良し、次期バージョン「PostgreSQL 8.4」での採用を目指してコミュニティへ提案していくとした。また、これを補完する技術として、EnterpriseDBが持つPostgreSQL向けの並列処理技術「GridSQL」を改良。同期レプリケーション技術とあわせて、大規模な分散データベース環境を実現するための検討、開発に共同で取り組むという。

 NTTでは、社内システムにおいてオープンソースソフトウェア(OSS)の採用を進め、コスト削減を図っているところ。データベースでは、新規導入や更新するシステムについては順次導入を検討し、新規・更新システムの約10%に導入しているという。今後は、新技術などの適用によっていっそうの信頼性・可用性の向上を図り、「ここ数年で導入率を25%まで拡大し、20~30億円のコスト削減を見込んでいる」(NTT オープンソースソフトウエアセンタ 舘剛司担当部長)とした。

 また、内部での採用拡大だけでなく外部への提供も計画しており、機能を向上させたPostgreSQLとその関連技術を、一般企業ユーザーに対しても展開していく意向。両社はまず、同期レプリケーション技術を利用した、高信頼システム構築に関するソリューションパッケージを検討・開発するほか、EnterpriseDBの商用パッケージ「Postgres Plus」に組み込んで提供する予定という。加えて、NTT事業会社の運用支援システムなどへのPostgreSQL導入にも取り組み、ノウハウを蓄積。これを活用して、企業ユーザーへのPostgreSQLとその関連技術導入に際した技術支援を提供する。

 なおNTTとEnterpriseDBでは、信頼関係をより強固にするために、NTTの100%子会社であるNTTインベストメント・パートナーズ株式会社からEnterpriseDBへ出資を行う。EnterpriseDBが実施している、1600万ドルの増資計画の一部として行われ、出資金額は非公開。今回の提携について、出資を受けるEnterpriseDBの共同創設者兼ビジネスデベロップメント担当上級副社長、Andy Astor氏は、「強固な商用データベースとして、日本市場、また日本以外でも導入を促進していきたい」とコメントしている。



URL
  日本電信電話株式会社
  http://www.ntt.co.jp/
  米EnterpriseDB
  http://www.enterprisedb.com/
  ニュースリリース
  http://www.ntt.co.jp/news/news08/0810/081007b.html


( 石井 一志 )
2008/10/07 17:18

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