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オフィス引っ越しビジネスにグリーンITで臨むCTC


 オフィスビルある限り、移転は続く。伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)では、いわばオフィスの引っ越しといったこのニーズに合わせ、グリーンITを実現する「ITFM(IT Facility Management)」と呼ぶオフィス移転・統合ソリューションを推進中だ。このソリューションの強みは、自ら3年前に体験した大がかりなオフィス引っ越しを経て学んだノウハウから編み出した点にある。その名に由来するITとファシリティマネジメントを巧みに融合させたこのソリューションの効果は、すでにユーザーサイドでも実証済みだ。


戦略的オフィス移転・統合ソリューションを推進

マネジメントサービス営業本部 サービス営業第3部 部長補佐(兼)ITFM営業課長の安木秀和氏
 CTCではいま、新たなグリーンITビジネスとして、戦略的オフィス移転・統合ソリューションと銘打ち「ITFM」をアピールしているところだ。CTCは3年前、16拠点に散在していたオフィスおよび3500人に及ぶ陣容を霞ヶ関本社2000名、九段下事業所1500名の2拠点に移転、統合した。ここで培ってきた豊富なノウハウを社外向けビジネスとして提供することにし、2005年にITFMソリューションを投入したのである。グリーンITをにらんで、いわば最新ITとファシリティコンサルティングを融合、マネジメントコントロールしようというものだ。

 近年、大規模なオフィスビルの建設が活発で、本社移転および統合を図る企業が増えている。「このとき重要なのが、情報システムの刷新やセキュリティ強化、社員間コミュニケーションの充実をゴールと定めて戦略的に取り組むこと。これでTCO削減やROI向上を実現、経営戦略の成功にたどりつける」と、同社マネジメントサービス営業本部 サービス営業第3部 部長補佐(兼)ITFM営業課長の安木秀和氏は、自社の大がかりな引っ越し体験をもとに語る。つまり、オフィス移転は単にロケーション移動にとどまらず、強力な経営戦略として生かすべき、というのである。

 しかし、CTCが目指すオフィス移転・統合ソリューションは、本当にビジネス市場として見込めるのだろうか。安木氏は「東京23区の賃貸オフィスビル成約面積を例にあげると、2005年度をピークに、2007年は少し地価や家賃の影響で約15%減と停滞したが、オフィス移転需要は2010年ごろまで十分期待できる」と市場規模を見込む。世にオフィスある限り、この市場は存在し続けるというのだ。現にCTCでは、ITFM関連でオフィス移転やグリーンIT絡みのサーバールーム構築、システム移設などを中心に、今年度売上高は前年度比3割増の約70億円を計画している。今後は、「名古屋や北九州も期待できそう」と読む。

 また、ITFM利用効果については、こんなケースがある。従業員数300人規模の企業で、現在地から東京と九州にオフィスを移転し新たにシステム環境も構築したところ、通常6カ月かかるところを3カ月で完了することができた。またコストも10%強節約。該当ユーザー企業の負担の大幅軽減に成功した、という。また別のユーザーでは、サーバールームのヒートアップに悩んでいた。そのサーバールームが入居するビルオーナーに相談したところ、数千万円に及ぶ高額の冷却設備が必要といわれた。しかし、ITFMで対応リサーチしてみたら、冷却設備は十分で、機器のレイアウトを変更して、ホットアイルとコールドアイルを確保するなどの対応で、当初の十分の一のコストですませたそうだ。


可視化・メニュー化でわかりやすく

プロダクトマーケティング室インフラソリューション推進部 ソリューション推進2課の野口浩氏
 ITFM導入の流れは、コンサルティングから設計、構築、保守と4つのフェーズがあり、具体的にはFMコンサルティングはじめ、セキュリティコンサルティング、オフィスデザイン、オフィス移転プロジェクトマネジメント、オフィスコンストラクション、オフィス移転、オフィス設備保守などにわたり、7つのサービスが用意されている。これらサービス提供に際してはさまざまな業務が発生するが、これら業務を実際に行うビル管理会社や内装会社、什器・家具メーカー、設備・通信会社、運用会社をとりまとめてワンストップのサービスを実現させる。

 一方、ITFMでは当然グリーンITソリューションを駆使することになる。同社プロダクトマーケティング室インフラソリューション推進部 ソリューション推進2課の野口浩氏は、「現在のグリーンITソリューションには何があって、実際導入する場合どのようなプライオリティによればいいのか、極めて分かりづらいのが実情」という。このため、CTCでは、IT関連製品、データセンター、ファシリティ関連の3つのアプローチから、ユーザーのために理解しやすいよう可視化、メニュー化の作業を急いでいるという。特にデータセンターは構築する場合とアウトソーシングの場合があり、後者については東京目白坂に最新鋭グリーンITによる施設を完成させ注目されている。

 野口氏は「グリーンITの目的や手段はまだ混とんとしている。だが、重要なのは、いま入手可能なソリューションを活用してユーザー環境での最適化に徹すること。その結果がとりもなおさずグリーンITの早期実現にほかならない」と、CTCのスタンスに確信を持つ。



URL
  伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
  http://www.ctc-g.co.jp/
  オフィス移転・統合ソリューション
  http://www.ctc-g.co.jp/solutions/itfm/


( 真実井 宣崇 )
2008/10/09 00:00

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