Enterprise Watch
最新ニュース

マイクロソフト、オンラインサービスのβ版を披露-2009年前半には正式サービス開始へ


 マイクロソフト株式会社は10月8日、イベント「Microsoft Japan Partner Conference 2008」の中で、Microsoft Online Servicesの概要について説明した。


Microsoft Online Servicesの管理者画面。統合的に管理できるようなっている
 Microsoft Online Servicesは、11月に北米市場向けに正式サービスを開始するオンライン型サービス。Exchange、SharePoint、Office Communicatorなどをオンラインで提供することになる。

 マイクロソフト ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン執行役常務は、「日本では来年前半のサービス開始を目指して準備を進めている。現在、β版によるテストを行っており、日本で必要とされるサービスレベルで提供できるように改良を加えている」と語った。

 また、佐分利執行役常務は、「まずグループウェアからサービス導入を図る予定。大規模企業においては約90%が自社運用、中規模企業では約60%が自社運用、そして、小規模企業は約20%が自社運用となっているのが現状。しかし、グループウェアは、大規模企業から小規模企業まで規模を問わずにカスタマイズ要求が少ない領域であり、展開がしやすい。北米や欧州では、かなりの大きな企業でも、β版によるグループウェアのテスト導入がはじまっている。また、小規模企業ではPOP3の範囲でしか活用していないという例が多く、グループウェアのリッチな機能を提案できるチャンスにもなる。幅広い企業に対して、オンライン型サービスを提供できるだろう」などとした。

 佐分利執行役常務は、プレゼンテーションにおいて、β版(英語版)の管理者画面およびユーザー画面のデモンストレーションを行い、その容易性を訴えた。


マイクロソフト ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン執行役常務 管理対象となるユーザーのプロファイルを一覧表示 ユーザー設定の画面

使用するメールボックスの容量まで細かく設定できる ユーザー側の画面。通常にOutlookを使用しているのと変わらない。ユーザーはオンラインサービスを意識せずに利用できる Webメール環境でも利用できるようになっている

ソフト+サービス事業では、ビジネスチャンスの拡大が期待できるという
 佐分利執行役常務は、「ソフト+サービス事業を考えれば、70%が新規の顧客であり、新たなビジネスチャンスが広がると考えられる。また、既存のシステムに加えた追加提案が可能なサービスともいえ、導入コンサルティングや移行/統合サービス提案、ほかのオンラインサービスへのアタッチによる収益拡大が見込める。さらに、販売にかかわる時間を短縮することで、商談件数を増やすことができ、遠隔サポートによって効率化が図られ、約40%のコスト削減が可能になる」などと、Microsoft Online Servicesのメリットを訴えた。

 同社では、「今後数カ月以内に、日本での展開に関して別途説明する機会を設ける。その場で、パートナー向けの施策も公表していく」とし、Microsoft Online Servicesの普及に向けて、パートナービジネスによる展開を前提としていることを示した。


マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の大場章弘執行役

マイクロソフトのサービスプラットフォーム
 一方、デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の大場章弘執行役は、同社が取り組むクラウドコンピューティングについて説明。「サーバー環境で提供してきたインフラ、開発プラットフォーム、アプリケーション/サービスといった3つの領域に関して、クラウドでも同様の環境を提供する」とし、同社のクラウド環境における基本的な考え方を示した。

 インフラとなるファウンデーションサービスでは、ストレージ、仮想化、システム管理という領域を定義。「これらの構成要素はマイクロソフトが大規模データセンターでの運用や、何10億というユーザーに活用されている、実績に裏付けられたものを活用したものともいえ、サーバー環境と同じく安心して使えるものだといえる」とした。

 また、開発プラットフォームでは、「.NETプラットフォームのアプリケーション開発手法を採用したものであり、.NET相当の機能に加えて、Live機能をAPIとして提供できる。これにより、コンシューマ向けに提供されているLive機能を企業のアプリケーションの中で、自らのサービスとして活用できるようになる。USENでは、すでにMS MessengerをAPIに組み込んで、GyaOの動画サービスの中に、USENのサービスとしてIMを活用している。こうしたことが頻繁に行われるようになる」とした。

 サービス領域においては、コンシューマユーザーやIT部門を持たないような中小企業などが活用するLiveサービス、エンタープライズ利用を想定したOnlineサービスのほか、サードパーティアプリケーションやソリューションによるサービス展開を視野に入れており、「クラウドの世界においても、パートナー企業がサービス展開できる環境が構築される」などと語った。

 大場執行役は、「マイクロソフトが目指すソフトウェア+サービスでは、PC、デバイスからウェブに広がるシームレスなユーザーエクスペリエンス、クラウドを中核としたマルチデバイス間の情報同期・共有のほか、デバイス、サーバー、そしてクラウドにまたがるプラットフォームと統合開発環境の確立が重視されることになる。既存のソフトウェア資産と技術と、先進的なクラウドサービスを柔軟に組み合わせることで、付加価値の高い次世代システムを構築できる」などとした。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/


( 大河原 克行 )
2008/10/09 00:02

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.