Enterprise Watch
最新ニュース

マイクロソフト、パートナーカンファレンスを開催-522社1000人に対し事業方針を説明


 マイクロソフト株式会社は10月8日、東京・品川の品川プリンスホテルにおいて、Microsoft Japan Partner Conference 2008を開催した。同カンファレンスは、マイクロソフトのビジネスパートナーを対象に、毎年開催しているもので、全国から522社1000人が参加。午後3時30分から行われたキーノートセッションでは、代表執行役社長の樋口泰行氏が、「どんな考え方で、日本のマイクロソフトを経営しているのかをお話ししたい」として、マイクロソフトのビジョンや方針、日本における展開などについて説明した。


代表執行役社長の樋口泰行氏

樋口社長の示した経営方針
 プレゼンテーションで示した資料は、「社内向けに作った資料を、あえて使って説明したい」として、2008年7月に行われた同社社員向けの方針説明での資料を使用。「今後3年間のキーワードは、『地に足のついた革新による確実な成長軌道の実現』。外資系企業は、四半期ごとの数字を追い、短期的な施策に終始する傾向が強いが、日本の地において、正しいことを行い、ビジネスを伸ばし、パートナーとも親和性を持ち、信用され、期待される会社になる」などとして、長期的視点からビジネスを拡大していく姿勢を見せた。

 また、「最高のイノベーションを市場に届けるソリューションセリング体制」、「コンシューマ統合戦略の推進」、「売上成長エンジンの徹底強化」、「基幹事業の強化」、「お客様の不満をバネにした施策」、「優秀なリーダー人材の育成」を具体的なテーマに挙げ、次のように語った。

 「マイクロソフトは、ソフトの可能性を信じて、ソフト専業企業として成長してきた会社。この姿勢はこれからも変わらない。ビル・ゲイツも、毎週1回、マイクロソフトでソフトウェアの開発構想や方向性について、意見を出している。コンシューマ戦略については、これまでPCを中心に発展してきたが、PCの進化にはクラウドによる付加価値が不可欠であること、モバイルがPCに限りなく近いファンクションを持ちはじめたことなどをとらえ、PCとモバイルとクラウドが連携することが必要だと考えた」とした。

 また、「お客さまの間からは、品質に問題がある、技術資料が足りない、ライセンスが複雑であるという3点が大きな不満になっている」と指摘。「品質の改善については、チーフ・クオリティ・オフィサーを設置したこと、製品に関してはRTMまでの段階での品質を高めること、製品出荷ではガイドを守り品質を担保すること、トラブルが発生した時にいかに早く対応するかといった点に力を注いでいる。バグは減少しており、深刻なトラブルも発生していない。また、技術資料に関しては、特に販売した後のトラブルシューティングの技術資料が足りないとの指摘がある。現在、2万ページ分の技術資料の翻訳に取り組んでおり、これまでに1万ページの翻訳が完了し、これをWebで閲覧できるようにした。このWebサイトは想定した2倍のアクセス数に達している。今後残りの1万ページの翻訳に取り組む考えで、これで一応の技術資料が調う段階に達する。そして、ライセンスが複雑であるという点では、できるだけ簡単にする努力をしているものの、限界がある。コールセンターの人員を1.5倍に増やして、説明資料をそろえ、コミュニケーションを密にすることに取り組んでいる」と語った。


マイクロソフト社員のビジネス規範
 さらに、樋口社長は、「これも社内向けの資料」としながら、マイクロソフト社員のビジネス行動規範と書かれたスライドを示し、「お客様第一主義」、「組織間連携とコラボレーションマインド」、「最短距離でのビジネス遂行」、「戦略実行インパクトの最大化」、「執念とパッションをベースにしたハートフルなオペレーション」について説明。「マイクロソフトの社員はあっさりしているといわれるが、粘っこく、執念を持って、パートナー、お客さまと接することが重要。Windowsは、基幹システムに対する信頼感がないという印象があるが、UNIXに近い信頼性やメインフレーム並みのダウンタイムであるという声もいただいている。基幹システムとして活用してもらうための体制、信頼性、マインドも出来てきた。日本のマイクロソフトを、より高い視点、より広いスコープで、日本の市場にあった体制で運営してきたい」とした。


エンタープライズビジネス担当の平野拓也執行役常務
 樋口社長に続いて、エンタープライズビジネス担当の平野拓也執行役常務が登壇。「マイクロソフト製品によるエンタープライズビジネスが推進できる環境を作ることが優先。サーバー、ソリューションを提供することで、安心して仕事をしてもらえる環境を作ることが責務。デスクトップビジネスから、ソリューションビジネスへと広がることで、ビジネスチャンスが増え、パートナーとの協業関係も強化されなくてはならないが、この点では十分な責務を果たしているとはいえなかった。パートナーにビジネスを拡大してもらうために、マイクロソフトはどういうリソースを提供できるのかを示したい」と切り出した。

 その中で、平野執行役常務は、「ソリューションビジネス協業の展開」、「マイクロソフトのサービス部門とパートナーとの連携強化」、「システムインテグレーション力強化の支援」の3点をあげた。

 ソリューションビジネス協業の展開では、ソリューションプランの共同策定を掲げ、「ソリューションプランは昨年に比べて、40%増となる200本作り、ビジネスの成果、リソースの提供といった期待値を、明確なものとして提供したい」とした。また、サービス部門とパートナーとの連携強化では、2年前には200人だったエンタープライズ向けコンサルタントを、現在は400人体制へと倍増。さらに要員を増やしていく考えを示した。さらにシステムインテグレーション力強化の支援では、「パートナー各社には、技術者の育成をお願いしたい。マイクロソフトは、それに向けた積極的な技術者育成支援をしていく」と語った。


ゼネラルビジネス担当の窪田大介執行役専務

窪田執行役専務が示した5つの方針
 続いて、ゼネラルビジネス担当の窪田大介執行役専務がプレゼンテーションを行い、5つの方針を示した。

 1つ目に掲げた「主要企業向けテレセールス部隊の構築」では、7月1日付けで新設した60人のセールスチームにより、PCのインストール台数が500台以上の7000社のユーザー企業をノミネート。電話や直接訪問を通じて、案件を創出し、これをパートナーと一緒に提案する仕組みを構築したという。

 2つ目の「中小企業向けダイレクトマーケティング活動の強化」では、キャラバンバスを全国各地に走らせた2007年までの取り組みから、効率性の高いマーケティング手法に転換。「Webやサーチエンジン、ダイレクトメールを活用した活動を行っていく」とした。

 3つ目の「パッケージ製品販売の再活性化」では、「当社の昨年の実績を見ると、3分の1近くがパッケージ販売。SQLでも半分がパッケージという実績だった。ライセンス販売にシフトする点は変わらないが、パッケージ販売にもチャンスがある。パッケージ販売専門の組織を作った」という。

 4つ目の「ソリューション専門営業部隊の構築」としては、7月から、14人体制での専門組織を設置したことを明らかにし、「ソリューションに関するパートナーからの専門的な、高いレベルの要求にも応じることができる体制を確立し、それぞれのソリューションに対応していくことができるようになる」とした。

 最後に、「東京・首都圏の営業活動強化」を挙げ、「現在、北海道から九州まで全国10か所の支店を開設し、万全の体制となっているが、ビジネスの50%を占める首都圏でのカバレッジが落ちている。11番目の支店として、東京支店を20人体制で開設した。一緒にやってほしい案件や、お客さまのもとに一緒に出向いてほしい案件があれば言ってほしい」などとした。

 窪田執行役専務は、「市場は厳しい状況にあるが、マイクロソフトにはまだまだ成長するチャンスがある。パートナーと一緒に盛り上げていきたい」と締めくくった。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/


( 大河原 克行 )
2008/10/09 00:01

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.