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シスコ、FCoEベースの仮想環境構築トライアルを業界各社と共同で実施


参加各社の代表も出席して成果を発表

システム構成図
 シスコシステムズ合同会社は10月9日、業界各社と共同でユニファイドファブリックによる仮想環境を構築し、相互運用性の検証トライアルを実施したと発表した。あわせて、同社東京本社内にデモンストレーション環境を整備したことも発表した。

 ユニファイドファブリックは、ストレージネットワークで用いられているファイバチャネルをEthernetに統合することで、データセンターにある機器の接続を10Gigabit Ethernet(GbE)で行うもの。ユニファイドファブリックでは、FCoE(Fibre Channel over Ethernet)やCisco Data Center Ethernetなどのプロトコルが利用されている。製品としては、Cisco Nexus 5000シリーズなどが発表されている。

 今回の検証トライアルに参加したのは、EMCジャパン株式会社、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、インテル株式会社、Emulex Corporation、デル株式会社、ネットアップ株式会社、ネットワンシステムズ株式会社、日本電気株式会社、日本ヒューレット・パッカード株式会社、富士通株式会社、ヴイエムウェア株式会社、Q-Logic Corporationの12社。

 今回発表されたユニファイドファブリックによる仮想環境では、FCoEを中心に環境が構築されている。FCoE関連では、Emulex、QLogic、インテルの各社FCoE CNAを搭載したIBM、NEC、デル、富士通の各社サーバーとCisco Nexus 5020をFCoEで接続。SANストレージ側は、EMC、NEC、HP、富士通の各社ストレージをファイバチャネルSANスイッチ「Cisco MDS 9222i」経由でCisco Nexus 5020に接続している。VMwareの管理系サーバーは、10GbEで接続している。この環境下で、FC SANに直接接続しているVMware ESXからFCoE接続しているVMware ESXにVMotionで仮想マシンの移動を行うなど、相互運用性の検証が行われている。


検証で用いられた各社の製品 FC SANに直接接続しているESX(上)と、FCoEで接続しているESX(下) 配線を見ると、FCoE接続の下部のESXがシンプルな構成になっているのが一目で理解できる

シスコ社長兼最高経営責任者のエザード・オーバービーク氏
 今回の取り組みについて、同社社長兼最高経営責任者のエザード・オーバービーク氏は、「ビジネスモデルの進化に伴い、データセンターにかかる負荷は増大している。シスコでは、Web 2.0に基づいたサービス主導型のデータセンターを“Data Center 3.0”と提唱しているが、これを実現するには仮想化技術が重要になる。また、1社で実現できるものではなく、パートナー各社の協力も不可欠だ。今回、国内にFCoEの実証環境を用意することで、相互接続性の検証が行えるのは重要なこと」と、次世代データセンターを実機で確認できる場を提供する意義を強調した。


ヴイエムウェア代表取締役社長の三木泰雄氏
 仮想環境を提供するヴイエムウェア代表取締役社長の三木泰雄氏は、「サーバー仮想化技術は、まずテストや開発環境などでサーバー1台で使われ始めた。その後、本番環境でも使われるようになり、複数台のサーバーとストレージでの運用が一般化した。さらに大規模で利用されるようになると、ネットワークとの協調に注目が集まってきた」と、仮想化が本格化すればするほどストレージ・ネットワークとの関係が重要になると紹介。「特にVMotionなどの機能を利用するとネットワークの帯域が必要になるため、FCoEといった技術で効率化することが重要になる」と、仮想化の本格利用にとって今回の取り組みが重要な位置づけにあるとした。



URL
  シスコシステムズ合同会社
  http://www.cisco.com/jp/


( 福浦 一広 )
2008/10/09 15:29

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