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暗号化製品の概要
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システムエンジニアリング統括部、小今井裕部長
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新しい管理製品群の概要
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ブロケードコミュニケーションズシステムズ株式会社(以下、ブロケード)は10月9日、9月に米国で発表された暗号化製品や管理ツールに関する説明会を開催。製品の説明を行うとともに、米Brocadeによる米Foundry Networks買収の意図についても解説した。
9月22日(米国時間)に発表された製品は、大きく2つの分野に分かれる。そのうち1つが、暗号化スイッチ「Brocade Encryption Switch」だ。これは、ファブリックベースでデータをAES暗号化するものだが、ブロケードのシステムエンジニアリング統括部、小今井裕部長は、ファブリックベースで暗号化するメリットとして、「柔軟性と管理のしやすさ」を挙げる。
ファブリックベースのアプローチでは、デバイスに縛られないサービス提供が可能になるため、アプリケーションが必要とするサービスを柔軟に供給できるメリットがあり、これは暗号化でも同じ。さらに、Brocade Encryption Switchは、インライン設置の必要がないほか、最大96Gbpsの高い暗号化能力を持つので、必要に応じて拡張可能なスケーラビリティも確保されているという。
また、暗号化には暗号鍵の管理が付きものなのだが、ストレージデバイスごと、テープデバイスごとに暗号化するようなアプローチでは、デバイスごとに鍵管理が必要になり、管理負荷やコストが問題になってくる。しかしBrocade Encryption Switchを用いると、サードパーティの暗号鍵管理ソフトウェアと連携でき、「一元的な鍵管理を容易に行えるようになる点も大きい」(小今井氏)とした。
バックアップソフトは、シマンテックの「NetBackup 6.5」、IBMの「Tivoli Storage Manager 5.4」、EMCの「Legato Networker 7.3」といった製品をサポート。暗号化のニーズが高いテープとの連携を見据えると、バックアップソフトとの連携は必須になるため、今後も対応を拡充していくとした。
なお、暗号化製品はBrocade Encryption Switch以外に、バックボーンスイッチ「DCX」向けのモジュールとしても提供される。
一方の管理製品は、「Brocade Data Center Fabric Manager(DCFM)」が発表された。ブロケードではこれまで、旧ブロケードの流れをくむ「Fabric Manager」や旧マクデータ系の「Enterprise Fabric Connectivity Manager」などを、管理ツールとして提供してきた。しかし、「これから登場するさまざまなサービスを含めて統合管理していく必要があり、これまでの製品では、スケーラビリティやアーキテクチャの問題がある」(小今井氏)ことから、新たにDCFMを提供することにしたという。
DCFMのうち、フル機能版の「DCFM Enterprise」は、1サーバーで最大24ファブリック、9000ポートまでの大規模環境をエンドトゥエンドで管理可能。また、スイッチにバンドルされる中小規模向けの「DCFM Professional」では、DCXなどの大型機器に対応しないほか、パフォーマンスモニタリングがリアルタイムのみに限定されるなど、いくつかの機能が制限されているものの、1000ポートまでの環境を管理できる。これら以外には、ダイレクタやスイッチをグルーピングして、一括設定・管理する「Brocade Devices Ready to Manage」、HBA向けの「Host Connectivity Manager(HCM)」があるが、HCMはいずれDCFM本体へ取り込まれるとのことである。
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Foundryの買収によって、データセンターにおけるカバレッジをLAN側へ広げられる
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Foundryとの統合については、ネットワーク環境の変化に伴って「より広い環境への対応が必要になったため」(小今井氏)と説明。Ethernetの世界で実績を残しているFoundryと、Fibre Channelを広く手掛け、次世代インフラのConverged Enhanced Ethernet(CEE)についてもいち早く取り組んでいるBrocadeの統合で、多くのメリットが提供できるだろうとした。
また、買収したのがなぜFoundryだったのかという点については、「いち早く新しい技術に取り組むような、テクノロジーフォーカスな文化が似ているし、財務状況も健全だ」とコメント。さらに、「Foundryを好むユーザーには、ハイパフォーマンスを好むユーザーが多く、当社の今後のビジネス機会につながっていく」ことも理由として挙げた。
ただし小今井氏は、「CEEに関連する技術が欲しいから買収した」という見方は否定。「今後、Foundryの技術をCEEに入れることはあるかもしれない」としながらも、Brocadeは現状でも十分CEEに関する技術・ノウハウは持っており、Foundryの買収の目的はそれではないと述べている。
■ URL
ブロケードコミュニケーションズシステムズ株式会社
http://www.brocadejapan.com/
( 石井 一志 )
2008/10/09 16:32
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