マイクロソフト株式会社は10月8日、新たなパートナー向け支援策として、セミナー型支援施策「Future Technology Days」を開始すると発表した。同日、東京・品川の品川プリンスホテルにおいて開催した「Microsoft Japan Partner Conference 2008」の席上、業務執行役員 パートナービジネス営業統括本部 中山泰宏統括本部長が明らかにした。
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業務執行役員 パートナービジネス営業統括本部 中山泰宏統括本部長
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Future Technology Daysの概要
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Future Technology Daysは、マイクロソフトが持つ製品やテクノロジーの方向性を紹介する「シンクアップセミナー」、最新の製品テクノロジーの理解を深め、パートナービジネスへと結びつける「ガイダンスセミナー1」、マイクロソフトの最新製品に関する互換性情報を提供し、パートナーが持つ製品との互換性を高める「ガイダンスセミナー2」から構成される。ここでは、Windows VistaやSilverlight、Windows Presentation Foundationなどの同社製品を対象に、クライアントユーザーエクスペリエンスを紹介するほか、2009年春以降には、次期Windows OSや、次世代開発環境およびフレームワークにも対象を広げることになる。
同社では、「マイクロソフトが提示する最新技術と、パートナーのビジネス現場との間に距離感があった。Future Technology Daysは、新たな技術を、どう日々のビジネスに直結させるかという観点から、日本独自の支援策として実施するものになる」と説明する。
シンクアップセミナーは半日、ガイダンスセミナーはそれぞれ1日ずつ行われる。
セミナー受講の対象となるのは、独立系ソフトベンダー(ISV)およびシステムインテグレータで、シンクアップセミナーでは、ITエンジニアのほか、技術採用権限者、マーケティング担当者、ビジネス意思決定者が、ガイダンスセミナーでは、ITエンジニアが対象となる。
11月6日の東京での開催を皮切りに、同社が支店を置く全国10カ所の主要都市において順次開催する予定で、年間50回以上、5000人以上の参加者を目指す。
さらに、同セミナーの映像や、セミナーで使用されたコンテンツにアクセスできるWebサイトの公開、ニュースレターの提供なども行う。
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パートナービジネスを議論するパートナーリーダーシップチームを設置
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パートナー支援強化策の3つの柱
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ソリューション開発や案件を支援する
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一方、中山統括本部長は、Microsoft Japan Partner Conference 2008の講演の中で、マイクロソフトのパートナー支援の考え方について説明した。
中山統括本部長は、講演の冒頭、「昨年のPartner Conferenceでは、One Microsoftによるコミュニケーションなどの強化、継続的に提供するMicrosoft Partner Programを展開することで、お客さま・パートナー第一主義とすることを掲げたが、今年もこの方針は変わらない。マイクロソフトは縦割りの組織だといわれるが、パートナー営業部門、製品などの部門を横断する形で、パートナービジネスを議論するパートナーリーダーシップチームを設置しており、パートナービジネスの各種プランニング、進ちょく確認、問題解決などにOne Microsoftとして取り組む。また、これまでのパートナープログラムは、市場の動向にマッチしていなかったり、わかりづらい分野構成になったりしていた。パートナー各社の強みを生かしたビジネスプランニングや、パートナー同士が協業できる支援体制の確立が不可欠。ソフト+サービスへの対応に向けて、2~3年をかけてパートナープログラムを変革していく」とした。
また、本年度のパートナー支援強化策としては、「ソリューションビジネスの推進」、「マイクロソフトの技術採用支援」、「スキルアップと満足度向上」の3点をあげ、「この3つの柱によって、パートナーとともにビジネスを発展させたい」とした。
ソリューションビジネスの推進では、ソリューション営業部門がパートナーと協業して、ソリューションプランを年間200本開発。これによって中堅・中小企業向け支援プログラムを強化していく姿勢を示した。
また、パートナー向けに、「Partner Advantage++」、「プロジェクト型コンサルティング」、「コンサルティングエクスプレス」の3つの有償サービスを提供。Partner Advantage++では、コンサルティングチームと技術支援チームとが一緒になってパートナーを支援。サービスメニュー企画の支援、TAMの駐在対応、各種プロアクティブサポートなどを提供することになる。さらに、プロジェクト型コンサルティングでは、要件定義から基本設計、概要設計の構築支援を行うというように個別プロジェクトの技術支援を実施。コンサルティングエクスプレスでは、マイクロソフトが持つコンサルタントの知識および提案をメニュー化し、これを展開するほか、コンサルティングパートナー育成制度、設計ガイドや各種フォームの提供も行っていく。
「これらによって、パートナー自身が、大規模なソリューション開発案件にも対応していけるようになる」(中山統括本部長)という。
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新たなコミュニティを11月上旬に発足
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パートナーのスキルアップと満足度向上を図る
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トレーニングを強化する
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加えて、中堅・中小企業向けには、新たなコミュニティを11月上旬に発足。Windows Server 2008の技術者育成支援、シナリオごとの提案支援、迅速なレスポンスによるオンライン技術サポートを提供することを明らかにした。
「認定パートナーに対しては、4時間以内に必ずレスポンスするといった技術サポートを用意。パートナーにとっては、案件あたりの収益性向上、特定シナリオの提案と導入による案件の短期展開、二次展開によるビジネス拡大などのメリットがある」(中山統括本部長)とした。
一方、マイクロソフト技術の採用支援では、年間約2万ページの日本語技術ドキュメントの提供、約5000人への開発技術セミナーの提供。イノベートオンプログラムやアクションパックWebソリューションキットの提供などによる開発支援プログラムの実施を予定している。
開発技術セミナーとしては、冒頭に触れたFuture Technology Daysを紹介した。
パートナーのスキルアップと満足度向上では、ウェブトレーニングの拡充とスクール型トレーニングの強化によって、年間1万8000人を対象とした無償トレーニングの機会を提供。営業担当者、技術担当者を対象に、Windows Server、Hyper-Vといった製品ごとのトレーニングコースを用意するほか、有償コースとして、応用実践型のトレーニングコースを用意する。
「MCPの資格を取得するのに、時間がかかりすぎ、優秀な技術者を長期間トレーニングに出せないという声があることから、速習パックを用意し、短期間で資格を取得できる支援も行う。これは12月までの期間限定で特別価格で提供する」(中山統括本部長)とした。
そのほか、9月からはパートナー向けのポータルサイトをリニューアル。わかりやすいナビゲーション環境や、検索の強化、コンテンツの充実を図り、パートナープログラム情報や、製品およびトレーニング情報の入手、販促資料のダウンロードを行いやすくした。
「ポータルサイトは、リニューアル前の3倍の利用数となっており、9月だけで1万件のダウンロード実績があった」という。
加えて、全パートナー向けのオンライン技術サポートとして用意している「オンラインテクニカルコミュニティ」では、より短時間での回答のほか、Windows Vistaに特化したコミュニティの追加や、ISVやWeb開発パートナー向けのコミュニティを追加した。
マイクロソフトは、こうしたパートナー向けの各種支援施策を大幅に強化することで、パートナーを通じたビジネスをさらに拡大させる考えだ。
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パートナー向けのポータルサイトをリニューアル
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オンラインテクニカルコミュニティの概要
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■ URL
マイクロソフト株式会社
http://www.microsoft.com/japan/
プレスリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3549
( 大河原 克行 )
2008/10/09 20:27
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