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「解析・洞察・知見でDWHの新たな価値を提供したい」-米Teradata CMO


 米NCRから独立して約1年、米Teradataはどのような方針で軌跡を描いてきたのか。また今後はどんなことに注力していくのか。ラスベガスで開催されたユーザーイベント「PARTNERS 2008」で、CMO(最高マーケティング責任者)のDarryl D.McDonald氏にインタビューを行った。


CMOのDarryl D.McDonald氏
―NCRから分社してから、マーケティングの観点から進展したこととは?

McDonald氏
 価格、性能、操作性が理解が広まったと思います。こんなに安くて良い、という顧客の声をよく耳にするようになりました。


―それは、どういう施策・製品によって広まったと思いますか?

McDonald氏
 ワールドワイドを通して3つの観点があると思います。まず、現場担当者の拡充。これにより顧客との接点が広がりました。次にポートフォリオの増加も挙げられます。製品の種類が増えたことで、さまざまなシーンで活用いただけるようになりました。また、パートナーとのエコシステムも浸透した結果だと思います。


―今回、新製品「Extreme Data Appliance 1550」を発表されました。既存製品が、全社でDWHを共用して戦術的な戦略策定を支援するEDW(Enterprise Data Warehouse)の実現を目指したものであるのに対し、新製品は若干毛色が異なるような気がしますが?

McDonald氏
 はい。既存製品はEDWを推進するため、大量のデータへ多数の人がアクセスすることを意識しています。一方のExtreme Data Appliance 1550は、大量のデータへ特定の少数のユーザーがアクセスする製品となっています。開発環境などでの利用に向いているといえるでしょう。


―そういった製品を投入する裏には、どういった意図があるのでしょうか?

McDonald氏
 最初にはっきりといえいたい点は、EDWの戦略は今後も継続するということ。パフォーマンスや消費電力を効率化した製品も投入し続けていきます。

 Extreme Data Appliance 1550を投入したのは、それとは別に、新しく出てきたデータタイプに対応するためです。例えば、メール・ブログ・Webアプリケーション・SNS・アンケートなど、企業における非構造型データはどんどん増えています。これらを長期保存して、解析するためのものがExtreme Data Appliance 1550。こうしたデータは、頻繁にアクセスするものではなく、いざというときに解析するものです。そのため、Extreme Data Appliance 1550では、実データ領域50PBという大容量を重視した製品となったわけです。


―メールを解析するとは、つまり何らかのリスクを回避するという意味ですか?

McDonald氏
 リスクへの対応もあるとは思いますが、それより当社で考えているのは、CRM戦略の一環としてです。CRM戦略ではユーザーの属性のほか、Webサイト上での行動特性なども重要になります。

 例えばWebサイトでダウンロードに時間がかかった、できなかったなど、ユーザーにとって何らかの不都合があって、メールでクレームが来たとします。Extreme Data Appliance 1550でこうしたクレーム対応が可能になると思います。

 また例えば、ある消費者が車を整備に出したとしますよね。その際のパーツ情報や修理情報などのほか、整備士が都度コメントを残して記録することができれば、それをベースに車の故障確率を事前に予測して、リコール対策が可能になるかもしれません。

 企業は製品の価格だけでは差別化することが難しくなり、今後はこういう点をフォローアップすることが、CRM戦略で重要になってきます。Extreme Data Appliance 1550では、そういうことを意図しています。


―今後の注力点はどこに置きますか?

 5カ年計画としては、Fortune 500などで最大のシェアを目指して、解析ではまちがいなくベストといえわれるように努力していきます。

 そのために今後も新製品を次々と投入していくほか、コンサルティングも強化していきます。先ほど申したように新しいデータタイプは今後も次々と出てくるでしょう。SNSの例のように、作成者と利用者の区別がつかなくなるほど、データは今後ますます柔軟に扱われるようになると思います。

 この状況が進めば、TVの番組表に従って与えられたプログラムを受動的に見る人は減り、インターネットなどを使って自分主導で選択するといったように、データへのアクセス、利用方法はどんどん変わっていくはずです。当社はこうした状況に「解析」「洞察」「知見」で新たな価値を提供できるようマーケティングを強化していきたいですね。

 もっと具体的にいええば、ただDWHを提供するだけでなく、どこにどうやってDWHを導入すればより解析力が強化できるか、そうしたDWHマネジメントなどに力を入れるつもりです。

 あと、注力点として忘れてはならないのが、SAS・SAP・Oracle・IBM・Microsoftなどとのパートナーシップです。相互にインテグレーションの親和性を高められるよう、今後も彼らとの関係を強めていくことが重要だと考えています。



URL
  米Teradata
  http://www.teradata.com/

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( 川島 弘之 )
2008/10/16 08:49

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