デル株式会社は、バックアップ環境の最適化や階層化ストレージの構築、災害対策の適正化など、企業のストレージ環境に関するアセスメントサービスを9月29日に発表した。これらのアセスメントサービスに共通するのが、ツールベースのコンサルティングアプローチを採用することで、短期間でサービスを完了できる点にある。
同サービスの背景について、米Dell、Global Infrastructure Consulting Services、Global Practice ExectiveのPaul Kaeley氏に、日本とアジア太平洋地域の現状について、米Dell、Storage Solutions、Dell Professional Services、Asia Pacific Japan、Practice LeadのChew Eng Lai氏、デル執行役員ソリューション・サービス・デリバリー本部長の諸原裕二氏に話を伺った。
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米Dell、Global Infrastructure Consulting Services、Global Practice ExectiveのPaul Kaeley氏
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―まず、今回発表された3つのアセスメントサービスについて教えていただけますか?
Kaeley氏
現在、企業のストレージ環境は大きく成長しています。これは企業が抱えるさまざまな情報の増加のほか、コンプライアンス関連などで、保管するデータが爆発的に増えているからです。IDCでは、ハードウェア・ソフトウェアの成長率を上回る12%の成長になると予測しています。
大きく成長するストレージ環境ですが、単純にハードウェアだけでは解決しきれないのが現状です。
今回提供するアセスメントサービスは、階層化ストレージの構築、災害対策の適正化、バックアップ環境の最適化の3つの分野にフォーカスしています。
階層化ストレージは、データの重要度に応じて3階層のストレージシステムに再配置することで、コスト削減を実現するものです。多くの企業は、ほとんどのデータを高性能で高価なティア1ストレージに保存しています。しかし、これではストレージを無駄に利用しています。アセスメントサービスにより、データのアクセス状況や属性などを元に、企業のニーズに応じたカテゴリー化を行うのが、階層化ストレージのアセスメントサービスです。
次の災害対策ですが、RPO(Recovery Point Objective:リカバリポイント目標)やRTO(Recovery Time Objective:リカバリタイム目標)にあわせた設計を実現するアセスメントサービスです。各データのアクセス状況をもとにアセスメントを行い、災害対策環境にかかるコスト削減を実現します。
最後のバックアップ環境の最適化ですが、データ保護要件にあわせたバックアップ環境を実現するアセスメントサービスです。実際のバックアップ状況や利用しているバックアップソフトから得られる情報をもとに、システムの最適化、サーバー統合など、多角的な分析を行います。
―これらのアセスメントサービスは、他社でもすでに提供されています。Dellならではの特長はあるのでしょうか?
Kaeley氏
DellはITのシンプル化を提唱しています。これらのアセスメントサービスも同様のアプローチをとっているのが最大の特長です。
従来型のアプローチでは、問題解決を人に依存しています。そのため、コンサルティング時間が増え、その分費用も増加しています。また、具体的・予測計測可能な成果に必ずしも結びつかないといった問題も発生しています。
Dellではこうした課題を解決するために、ツールを利用するアプローチをとっています。これは病院で利用されているMRIを、企業のITシステムで利用していると考えていただけるとわかりやすいでしょう。このMRIでITシステムをスキャンし、そこから発見された問題箇所をDellが持つインデックスに基づいてあるべき姿を定義します。そして、それぞれの問題箇所について明確な推奨事項と立証ポイントに基づいたソリューションを提示します。このアプローチにより、短期間かつ明確な結果を提示することができるのです。もちろん費用面でも明確化できます。
―短期間といいますが、どれくらいで実現するのでしょうか?
Kaeley氏
John Brown Publishingというイギリスの企業の例を紹介しましょう。同社は、ストレージ容量が足りない、バックアップのSLAを満たしていない、保管されているデータのタイプや保管場所がわからない、といった課題を抱えていました。これをツールベースのアセスメントを行い、インフラの確認からデータの重複状況などを分析しました。結果、新しいストレージソリューションにより、サーバーの設置面積の削減や、バックアップ速度の向上、アーカイブソリューションの導入といった対策につながりました。
この例の場合、すべてのプロジェクトを実行するのに30日以内で実現しました。
―1カ月ですか。非常に早いですね。
Kaeley氏
ええ、John Brown Publishingの担当者も驚いていました。とはいえ、実施前にワークショップを行っており、プロジェクトの進め方は説明していましたので、事前に予測はできたことです。担当者の方に伺ってみると、コンサルティングが入ることで費用の心配をされていたようですが、ほとんどかからなかったといっています。実際、オンサイトでの作業は5日間だけで済んでいますから。
―どのような企業でも、同じように短期間でアセスメントが完了するのでしょうか?
Kaeley氏
内容にもよりますが、われわれが手がけてきた中堅規模クラスであれば、短期間でのアセスメントは可能です。データ収集・標準化・ワークショップでの洗い出しといった作業は共通化していますから。
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デル執行役員ソリューション・サービス・デリバリー本部長の諸原裕二氏
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―今回、日本でアセスメントサービスを開始したわけですが、すでに利用企業はいるのでしょうか?
諸原氏
ツールベースのアセスメントは今回が初めてですので、まだ事例としては存在していません。ただ、ストレージ環境の再構築についてはニーズが高まっています。
反応が高いのが、階層化ストレージですね。というのも、実施したあとの投資効果がはっきりしているからです。災害対策に関しては、金融機関を中心にニーズが高まっています。
ストレージに関しては、各社ともコストがかかっているので、今後さらにニーズは高まるとおもいます。ハードウェアの面でみれば、ハイエンドからミッドレンジに落ちてきているといった状況ですね。ここでツールを利用している強みを生かしていきたいとおもいます。
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米Dell、Storage Solutions、Dell Professional Services、Asia Pacific Japan、Practice LeadのChew Eng Lai氏
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―アジア太平洋地域では、中国やインドといった成長市場がありますが、ストレージ分野ではどのような特長があるのでしょうか?
Chew氏
中国の例を見ますと、アプリケーションなどの分野で270%の成長をとげるなど、大きく伸びているのが特長です。その結果、ストレージ容量が予想以上に必要となっているのが現状です。実際、ユーザー自身が把握しきれないくらいのストレージの伸びが起こっています。そのため、アセスメントサービスのニーズは高まっています。
また、規制当局への対応の必要性からストレージ容量は拡大しています。こうした現状ですので、今後さらに投資は続いていくでしょう。
―今後、どのような分野のアセスメントサービスを提供される予定でしょうか?
Kaeley氏
2009年1月にアプリケーションと環境全体のアセスメントサービスを予定しています。CommvaultやOracle、SQL Server、Celerra VDM、ONStorなどをサポートします。また、ExchangeとVMwareに関するレポート機能を強化する予定です。
―ありがとうございました。
■ URL
デル株式会社
http://www.dell.com/jp/
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