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ネットワンが「Project Neo Green」を投入-本格的にグリーンITビジネスを展開


Project Neo Greenのロゴマーク
 ネットワンシステムズ株式会社は10月22日、同社のお家芸ともいえるマルチベンダーインテグレーションで培ってきたIT技術・設備およびファシリティマネジメントのノウハウを結集させ、このほどグリーンITプロジェクト「Project Neo Green」を始動、ビジネスに向けた取り組みを本格化すると発表した。


グリーン・オブITとグリーン・バイIT両輪で

営業推進グループ ネットワークテクノロジー本部 研究開発部リサーチチームの杉本康則氏
 このプロジェクトは、これまでのデータセンターに加えてオフィスやサーバールームなど比較的小規模までをも対象としている。営業推進グループ ネットワークテクノロジー本部 研究開発部 リサーチチームの杉本康則氏は、「これまでもネットワークインテグレーションを通じて、各種ネットワーク機器のパフォーマンスや使用すべきインターフェイスなどの情報を検証し提示してきた。同様にグリーンITでも実際の利用形態を想定したうえで消費電力を測定しそれらの関連情報を提供していくことが重要と考えている」と、実践的な省電力化に対する同プロジェクトのスタンスを語る。同時にこのプロジェクトでは、仮想化技術によるサーバー統合など具体的な製品やソリューションの組み合わせ、あるいは空調やワイヤリング、機器レイアウトなどファシリティ面の改善なども含めて、現状分析やコンサルティングから改善提案、構築、効果の確認まで一貫したプロセスで総合的に環境負荷軽減をサポートする。

 こうした現状システムおよび環境を対象とした“グリーン・オブIT”に加えて、「たとえばTV会議などユニファイドコミュニケーション技術により、出張削減による交通機関でのCO2削減や移動時間の低減をはかるいわゆる“グリーン・バイIT”も前提にしている」と、杉本氏はProject Neo Greenのコンセプトを念押しする。


Project Neo Greenのアプローチ

 このプロジェクトでは、ユーザーのIT機器排熱および消費電力削減、温室効果ガス排出量削減に向けて以下の4つの視点に基づくアプローチで臨む。各視点には、具体的に多彩なソリューションが用意されているが、これらソリューションを支える各種ネットワーク機器等は、これまでの同社ビジネスで基本理念としてきた、よりユーザーの実環境に近いマルチベンダー環境が対象で、同社がコアコンピタンスと位置付けているものだ。

 第1が「見つけるグリーン」で、消費電力監視システムを導入、オフィスやサーバールームを機器・設備の両面から調査し、消費電力や排熱の問題点を明確にする。同時に調査結果による目標設定を支援する。具体的なソリューションに「サーバールームアセスメント」があり、既存のサーバールーム環境を、空調・電源・ワイヤリング・ゾーニングなどファシリティ面から調査しその能力を可視化し、運用変更などによってエネルギー改善を行う。

 第2が「選択するグリーン」で、独自の測定基準に基づくネットワーク機器の消費電力値をふまえたIT機器の選択や提案、そしてケーブルやラックなど設備面の材料の選択・提案を行う。100U相当のラックデザインを通常と同面積で実現し、通常のラック型サーバーと比較して40%のCRACコスト削減や20%の冷却コスト削減を期待できる「省電力省スペースサーバー」や、ケーブルラックなどをリサイクルしたり、リサイクル品の活用促進でエコロジーに貢献する「リサイクル材料」のほか、廃棄処分時の環境負荷を低減させる「ECO材料」、電力削減効果のある「IP電話の活用」などといったソリューションがある。

 第3が「創造するグリーン」で、これは機器・設備の両面からIT環境を効率化し、かつ環境負荷を低減する。サーバー仮想化でハード利用率を5~20倍に引き上げることによって台数を削減し電力の大量消費を抑制する「サーバー仮想化」や、既存PCのシンクライアント化やストレージ削減で消費電力を抑制し、また管理コストの最大40%削減を期待できるXen-DesktopやVMware VDIによるデスクトップ仮想化を実現する「シンクライアント」、3tera AppLogicで仮想データセンターを構築することでシステムや空調にかかわる消費電力を削減させる「クラウドコンピューティング」などのソリューションがある。

 第4が「見えるグリーン」で、各種機器や設備の省電力状況を“見える化”し、日々の運用や管理を効率化、グリーンITに向けた改善提案を行う。ラック単位で温度・湿度・電源を可視化しエネルギーや状況を把握、適切なハードウェアレイアウトで高効率や省スペースなどを期待可能な「環境監視」、物理的サーバーやポート、ラックなどを管理・監視することで労力削減および資産の有効活用などインフラ中心のデータベースを構築し効率的な管理や監視が可能な「インフラ資産管理」などのソリューションがある。


 杉本氏は「これら4つの視点の中でも第1と第4がキーポイント。まず、第1の各ユーザー環境の現状把握が重要。そこがあいまいだと第2、第3の対策や提案を講じられない。また第4は対応した後の効果をしっかり確認しなければならない。ここが不十分だと、たとえば当初気をつけていた電気を消すことや水道の蛇口を占めることなどが長続きしないのと同じ結果をまねく。ここでの可視化は効果を見えるようにするだけでなく、以後継続しているかどうかの情報を提供し続ける重要な役割もある」と強調する。

 ここで紹介した4つの視点に伴うソリューションはむろん一例にすぎず、加えて今後は、設備管理(BEMS)とIT機器管理(NMS)を統合した運用管理ソリューションなども予定しており、これらソリューションは広範にユーザーニーズにあわせて続々ラインアップされていくことになる。


改正省エネ法でオフィスやサーバールームまでが対象に

 実は、ネットワンではProject Neo Greenを始動するにあたり、国内でも最大規模と評される同社テクニカルセンターにて省電力化のトライアルを実施、およそ30%の電力削減を実証した、という。また、今年7月にはIT・エレクトロニクス技術による経済・社会活動の変革とこれを通じた地球温暖化対策をより具体化することを活動目的とした「グリーンIT推進協議会」に加入したほか、9月にはデータセンターおよびビジネスコンピューティングの省エネ化に取り組む世界規模のコンソーシアム「グリーン・グリッド」(The Green Grid Association)にも加入するなど、業界動向とも歩調をあわせた戦略で臨む。

 杉本氏は「省エネ法では、家電機器の消費電力基準を設けるトップランナー基準が適用されているが、ネットワーク機器に対しても適用が検討されている。そうなるとトップランナー基準にのっとったネットワーク機器を用いることになり同プロジェクトとしてもビジネス上強力な武器になるはず」と読んでいる。また2009年施行予定の改正省エネ法では、エネルギー管理義務対象が一定規模以上の工場・事業所単位から企業単位へと変更され、省エネ対策義務を負う施設が大幅に拡大するのではないかと見られている。同プロジェクトでも企業の省電力化を支援するために、データセンターはもとより、オフィスやサーバールームも対象に、ユーザーのIT環境の効率化および環境負荷の低減を両立させるため、全面的に支援していく。同プロジェクトへのこうした追い風のもと、いまネットワンは意欲的だ。



URL
  ネットワンシステムズ株式会社
  http://www.netone.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.netone.co.jp/newsrelease/2008/20081022.html


( 真実井 宣崇 )
2008/10/22 11:04

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