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3分の1の企業が災害対策のRTOを達成できず、シマンテック調査


 株式会社シマンテックは10月22日、災害対策(ディザスタリカバリ)に関する調査結果を発表した。全世界を対象に実施した4回目の同調査によると、3分の1の企業が復旧目標時間(RTO:Recovery Time Objective)を達成できていないことが明らかになった。また、仮想化技術の導入により多くの企業が、災害対策計画の見直しに迫られているという。

 回答を平均すると、アプリケーションの56%がミッションクリティカルとみなされており、2007年の36%から大幅に増加。こうしたことからアプリケーションの可用性を維持することが難しくなっており、サーバー容量の増加や仮想化への移行など何らかの方法を検討することが必要となっているという。

 こうした状況で災害対策の意識も広まり、調査対象の3分の1が何らかの対策を実施。その一方で、役員の関与が減少していることが分かった。2007年の調査では回答者の55%が、災害対策委員会にCIOやIT責任者が参加していると答えたのに対し、2008年の調査では、その割合が全世界で33%まで低下している。シマンテックでは、今後も災害対策の重要性が変わることはなく、役員がかかわることで災害対策の成功率が向上することも明らかになっていることから、この調査結果は憂慮すべき傾向ととらえる。

 災害対策計画の見直し理由としては、世界中で半数以上(55%)、北米では64%もの回答者が「仮想化」を挙げた。利点の多い新技術が災害対策を進める上では障害になっているという。理由は、「物理環境向けのプロセスは仮想環境では機能しないこともあるため、仮想環境内のアプリケーションやデータに対する災害対策プロセスが困難になっている。また仮想環境の災害対策ツールが、企業用途に求められるレベルの保護機能に達していないため」(シマンテック)という。

 調査結果では、企業の仮想サーバーの35%が依然として災害対策計画に組み込まれておらず、仮想システムを含んでシステム全体をバックアップしていると答えたのはわずか37%のみだった。

 また、復旧時間の世界平均は9.54時間で、3分の1がRTOを達成できていないことが明らかになった。自社の主要なデータセンターを破壊するような大災害が起きた場合に、1日以内に基本業務を復旧できると答えたのは31%、12時間以内に復旧できると答えたのは3%のみで、約半数(47%)は通常業務を100%回復するためには丸1週間かかると答えている。

 この背景にはテスト不足がある。企業の約47%がさまざまな理由から、災害対策テストを1回/年かそれ以下の頻度でしか実施できていないという。具体的な理由としては、人員不足(39%)、従業員の業務の中断(39%)、予算の問題(37%)、顧客への影響(32%)などが挙がっており、21%が災害対策テストが売り上げと収益に影響を及ぼす可能性があると回答しているとのこと。



URL
  株式会社シマンテック
  http://www.symantec.com/ja/jp/
  ニュースリリース
  http://www.symantec.com/ja/jp/about/news/release/article.jsp?prid=20081022_01


( 川島 弘之 )
2008/10/22 17:36

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