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サイバーテック代表取締役社長の橋元賢次氏
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株式会社サイバーテックは10月22日、XMLおよびXMLデータベースにフォーカスしたプライベートイベント「NeoCoreサミット2008」を開催。「第1回 XMLサミット ~第一人者が語る、XMLは本当に使えるのか?」と題したパネルディスカッションが行われた。
パネリストとして、インフォテリア株式会社 代表取締役社長の平野洋一郎氏、株式会社東京証券取引所(以下、東証) 上場部 上場会社担当 課長の吉田幸司氏、マイクロソフト株式会社 システムテクノロジー統括本部 インフォメーションワーカープラットフォーム本部 本部長の佐藤邦久氏、株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクターの小川浩氏の4氏が登壇した。モデレータはサイバーテック代表取締役社長の橋元賢次氏。
■ 上場会社の情報公開やOfficeでも使われるXML
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東京証券取引所 上場部 上場会社担当 課長の吉田幸司氏
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マイクロソフト、システムテクノロジー統括本部 インフォメーションワーカープラットフォーム本部 本部長の佐藤邦久氏
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吉田氏は東京証券取引所(東証)において、XBRLを用いた適時開示を担当。「XBRLは、財務情報の配信に特化したXMLベースの言語。東証では、全国の証券取引所の上場会社の開示情報を閲覧できるサービスとしてTDnetを提供しているが、このTDnetにおいてXBRLは上場企業の情報公開で利用されている」と説明。「このTDnetは7月のリニューアルで、上場企業の財務情報公開でXBRLを義務化した。全上場企業の財務情報をXBRLで提出しているのは、日本が世界に先駆けている」と、上場企業の開示情報の裏側でXMLが活用されていることを紹介した。
XMLが使われている事例としては、マイクロソフトのOffice 2007が有名だ。マイクロソフトでは、独自のファイル形式を用いていたOffice文書ファイルで、Office 2007よりXMLベースの「Office Open XML」フォーマットを採用した。佐藤氏は、「Officeの枠を乗り越えて利用されるフォーマットになっている」と紹介するように、Office Open XMLはISO/IECの標準規格として採択されている。「Office Open XMLを採用したことで、レガシーシステムとの連携を模索したり、バックエンドにあるBizTalk ServerやXMLデータベースと連携した運用などの案件も増えている。今は、さまざまなXMLをどのように表現するかといった課題にも取り組んでいる」と、マイクロソフトとしても積極的にXMLに取り組んでいるとした。
■ 標準フォーマットに最適なXML
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モディファイ CEO兼クリエイティブディレクターの小川浩氏
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インフォテリア 代表取締役社長の平野洋一郎氏
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ではなぜXMLが各分野で使われているのか。XMLベースのフォーマット「RSS」を事業の核にしている小川氏は、「XMLは、データとデータがコミュニケートするのに使われているフォーマット。柔軟性があるため、さまざまな場面で使われている」と説明した。また、XMLを標準フォーマットとして利用することの重要性も強調。「情報発信を行うのに、標準フォーマットは大切なもの。これがないと互いに情報を交換できないからだ。東証でのXBRLの事例が興味深いのは、世界に先駆けて標準フォーマットとして採用した点にある」と、標準化がXMLというフォーマットを理解する手助けになることを紹介した。
これを受け、平野氏からは、「日本の企業は国内で守っていればなんとかなった時代から、国際的に対応しないといけない時代に入っている。そうした中で、XMLによる標準化は、業界そのものの標準化につながる。XML活用により、企業は国際対応にもつながっていく」と、XMLへの理解が必要との認識を示した。平野氏は、XMLの黎明(れいめい)期よりXMLベースのソフトウェアを開発してきており、XMLの伝道師的な存在だ。「98年に創業したが、最初の3年間は自社製品よりもXMLそのものの普及活動を行っていた」と紹介。OfficeがXMLを標準フォーマットに採用したことについても、「(標準化という観点から)XMLを使うことは予想されたこと。私から見れば、10年かかってやっと実現したという印象だ」と、辛口のコメントもあった。
■ XMLが生み出す将来の価値とは?
このXML、今後どのような価値を生み出すのだろうか。平野氏は、「XMLは、当初RosettaNet(電子商取引の標準化団体)の受発注のように、渡したらそれで役目を終える揮発性の高いデータとして利用されていた。しかし、Office Open XMLのように、最近ではそのまま蓄積されるデータのフォーマットとして使われている。今後、インターネットのデータがXML化すれば、インターネットそのものがデータベースとなっていくだろう。そうなれば、タグ付けされたり、意味づけされたXMLが蓄積されるので、Googleのような検索エンジンは不要になる」と述べた。
小川氏は、「Googleが存在しているから、インターネットがデータベースっぽくみえているが、実はそうではない。XMLが主流になると、本当にインターネットがデータベースになる」と指摘。「XMLによるつながりは、最終的に人と人とのコミュニケーションにまで使われるようになるだろう。好む・好まないにかかわらず、そうした方向に進んでいるのは確かだ。こうした時代が“Web 3.0”と呼ばれるのではないか」と締めくくった。
■ URL
株式会社サイバーテック
http://www.cybertech.co.jp/
( 福浦 一広 )
2008/10/23 00:00
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