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米DellデルCEO、「近代化が進む中国市場は重要な地域」

日本市場にはユニークや要件にあわせたベストな製品を投入

会長兼CEOのマイケル・デル氏
 米Dellは10月22日(現地時間)、中国・上海のフォーシーズンズホテル(上海四季酒店)において、中国メディアをはじめとしたアジア太平洋地域の報道関係者およびアナリスト約40人を対象に、「Dell APJ Media and Analyst Day」を開催。会長兼CEOのマイケル・デル氏をはじめとする同社幹部が、新興国市場における取り組みなどについて説明した。

 前日までの2日間、アジア太平洋地域の約75人のCIOおよびCFOを招いた「Dellによる日本アジア太平洋地区の主要法人顧客懇談会」を開催しており、Dell APJ Media and Analyst Dayは、これに付随する形で実施した。アジア太平洋地域の記者、アナリストを招いたイベントは初めての試み。

 デルCEOは、「この2日間にわたって、主要顧客とのミーティングを持ち、ITをもっと簡素化したい、あるいはもっと効率的なシステムを、安価に構築できないかといった要望をもらった。これはDellの目指すところと同じであり、企業内システムをイノベートすることを支援したい」などと語った。

 また、「Connected Era(接続の時代)が訪れ、これにより世界が大きく変化する。いまや10億人の人たちが、インターネットに接続しており、今後、中国の5億人の人たちが接続することになる。特に、中小企業における接続が増加するだろう。Dellは、こうした時代において、シンプルなITを実現し、データ管理の簡素や効率化、24時間安定した接続環境、仮想化やパーソナル化、グリーン化といった取り組みにも競争力を発揮できる。私は、今年だけで中国に4回も訪れている。これだけでも、この市場に注目しているかがわかってもらえるだろう。ただし、プロダクトだけでなく、ソリューションを伸ばす必要がある。そのためには、会社が、どの程度、その国にいることができるかが鍵になる。Dellには、中国とインドの2カ国に、2万人の社員がいる。中国はITセクターのなかでは、まだ初期の段階であり、近代化をしていくチャンスがある市場だとあると考えている。中国市場はDellのビジネスにおいても重要な地域である」とした。


2015年には中国のPC利用数が5億4900万台に達すると予測
 フォレスター・リサーチの予測によると、2006年には、北米が最大のPC市場であり、2億2500万台が利用されているが、2015年には中国が5億4900万台となり、北米の2億7700万台の2倍の市場規模になると見られている。また、インドが1億7000万台、ブラジルが1億台となり、日本はそれに次ぐ9700万台と予想されている。

 こうした成長が著しい市場に対して、Dellは製品、サービス、ソリューションを投入し、市場の成長にあわせて存在感を高めていく姿勢を示している。

 さらに、「Dellは100億ドルのキャッシュを持っている。これは非常に恵まれたポジションにあるといえる。過去2年間で9つの会社を買収しており、今後は、サービス分野における事業強化などを考えている。経済環境の悪化が懸念されているが、Dellにとっては、むしろチャンスである。また、Dellは、顧客の声をダイレクトに聞くことができるユニークな体制を持っていることも、こうした時代にはプラスに働く」などと語った。


アジア太平洋・日本地区担当上席副社長のスティーブ・フェリス氏

APJの上期成長率
 一方、Dellアジア太平洋・日本地区担当上席副社長のスティーブ・フェリス氏は、アジア太平洋・日本地区(APJ)における取り組みについて説明。「APJは、2009年度上期の業績は、前年同期比17%増の40億7800万ドルの売上高となった。4000のパートナー、5000のリテールストアを通じた販売によって、インドを除くほとんどの地域で、2位となっている。サービス、価格、プロダクト、デリバリーといった観点で、市場の評価を得ているのが、その理由だ。会議に参加した75人のCIOに話を聞くと、中国、インドでも、人件費は2ケタの伸びで上昇しており、これまで以上に生産性、効率性をあげるために、どうITを活用するか、といった点に関心が集まっている。Dellは、新興国において、直販モデルによる展開とともに、新たなチャネルの獲得に取り組むほか、製品、サービス、企業向けソリューションという3つの観点からの参入を図る。製品という観点では、新たに投入したVostroシリーズを、新興国市場、中小企業向けブランドと位置づけており、すでに、新興国においては95%の顧客満足度の高さを得ている」とした。

 また、現在、インドでは95%が、ブラジルでは100%がダイレクトモデルとなっており、「これらの市場では着実にDellがシェアを引き上げており、Dellのビジネスモデルが、成長市場において適用できることを証明している」とした。

 今後、インドにおけるブランド価値を高めるためのキャンペーンを実施する考えで、それにより、現在3位となっているインドにおける市場シェアの引き上げを狙うという。

 なお、日本市場の位置づけについては、デルCEOが質問に答え、「日本はユニークな要件がある市場であり、それに対するベストな製品を用意する必要がある。Latitude E4200は、日本の市場を考慮して投入した製品であり、こうした製品は必要だと考えている。日本では、コンシューマ市場に対しても本格的な参入を図ったこともあり、一貫した成長を続けている」とした。



URL
  米Dell
  http://www.dell.com/


( 大河原 克行 )
2008/10/23 13:35

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