Enterprise Watch
最新ニュース

MAID機能をコモディティ化する、米AdaptecのグリーンIT戦略とは?


 米Adaptecは9月3日(米国時間)、自社のRAIDコントローラカード「Adaptec RAID 5シリーズ」「同 2シリーズ」に、インテリジェントパワーマネジメント機能を搭載すると発表している。同社が、容易にシステムの省電力化を図れるというこの機能をリリースした理由について、データ保護ソリューショングループ、ブランド・プロダクトディレクターのスレッシュ・パニカー氏に話を聞いた。


米Adaptecのデータ保護ソリューショングループ、ブランド・プロダクトディレクターのスレッシュ・パニカー氏 Adaptec RAID 5シリーズの8ポートモデル「5085」

インテリジェントパワーマネジメント機能の概要

SAS HDD、SATA HDDとも、50~70%の消費電力削減効果が得られるという
 インテリジェントパワーマネジメント機能は、RAIDコントローラが接続されているHDDの回転を制御することによって、省電力化を図る機能。この機能を提供する理由を、パニカー氏は「ほとんどのハードウェアベンダーは、自社製品で消費電力の削減を図っているだけが、当社ではシステム全体で電力消費や冷却の問題を考えている」と話す。実際に、RAIDコントローラ自体が消費する電力はそう大きいものではなく、その製品単体での消費電力を削減したとしても、全体に与えるインパクトは、小さいものになってしまう。しかし、最大256台までのHDDを接続可能なAdaptec RAID 5シリーズで、それに接続するHDDの電力を削減できるとしたら、削減効果は大きくなるというのだ。

 一般的に、SATA接続のHDDは1台あたり10~12Wの電力を消費するが、HDDの電源をオフにし、回転を停止させることで、1台あたり3W前後にまで削減できる。また、HDDが対応していれば、消費電力は回転停止時よりも多めながら、復帰までの時間が早い低回転のスタンバイモードもサポートする。

 いずれにしても、一度回転を止めたり低下させたりしてしまうと、通常のオペレーションに戻るまでは10数秒~40秒程度の時間が必要となるため、アクセスが頻繁に行われるような部分には、省電力機能は利用できない。しかし、「アイドリング時間の多いアプリケーションほど、この機能を効果的に利用できる。身近な例では、ファイルサーバーやプリントサーバーがそうだ」とパニカー氏は説明する。

 「これらのサーバーは、ほとんどの企業では、夜間・早朝や週末には利用されず、75%の時間はHDDが回転はしていてもアクセスはない状況だ。また、アーカイブやDisk to Diskのバックアップは、8割~9割はアイドリング時間だし、フロントエンドのシステムでも、例えばISPが持つ画像や映像の共有サーバーのうち、アクセスが非常に少ない、古いコンテンツが格納された部分には適用できるだろう」(パニカー氏)。


インテリジェントパワーマネジメントの設定はGUIから容易に行える

コスト削減を実現した例
 使われていない、もしくは使用頻度の少ないHDDの回転を止める技術は、MAID(Massive Arrays of Inactive Disks)と呼ばれ、決して新しいものではない。しかし、これまではアーカイブストレージなどの比較的高価な領域で採用されていたため、中小規模のシステムでは、その恩恵は受けられなかった。ところが今回、AdaptecではMAID機能を数万円~数十万円の製品でも利用可能にしたことで、多くのユーザーにメリットを与えられるというのだ。

 インテリジェントパワーマネジメントの設定は、製品共通の管理ツール「Adaptec Storage Manager」から可能。I/Oが一定時間発生しなかった場合やスケジュール設定で省電力モードへ移行させたり、逆にI/Oがなくても省電力モードに移行しない時間を設定したり、といったことを、GUIを用いて簡単に行える。

 なお、AdaptecでHDD消費電力を測定したところ、インテリジェントパワーマネジメントによって最大7割の消費電力削減効果が確認できたとのこと。また実際のシステムとしては、同社のRAIDカードを搭載するSupermicroのストレージ(HDD×8)を8台つなげてRAIDアレイを構成し、アイドル時間が75%として消費電力を計測したところ、約23%の電力削減ができたという。これを年間の電気料金に換算すると、約8861円に相当するとのことで、パニカー氏は、「従来のグリーン対応では、製品を買い替えるとメリットが受けられるというアプローチが多い。しかし当社の場合、すでにAdaptec RAID 5シリーズ/2シリーズを利用しているユーザーなら、ファームウェアの書き換えのみで追加投資なくコスト削減のメリットを受けられる。1つ1つの効果が大きくないとしても、たくさんのシステムがあれば、大きな恩恵を受けられるだろう」と述べている。



URL
  アダプテックジャパン株式会社
  http://www.adaptec.com/ja-jp/

関連記事
  ・ ディスクとテープのギャップを埋めるMAIDテクノロジ(2005/02/28)
  ・ アダプテック、速度と拡張性を強化したSATA/SAS両対応のRAIDコントローラ7製品(2008/03/11)


( 石井 一志 )
2008/10/24 00:00

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.