キヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下、キヤノンMJ)は、2008年第3四半期(1~9月)の連結決算を発表した。
連結売上高は前年同期比4.4%減の6123億円、営業利益は26.6%減の176億円、経常利益は25.3%減の182億円、当期純利益は42.6%減の77億円の減収減益となった。
ITソリューションやデジタル一眼レフカメラの売り上げが増加したものの、半導体露光装置やコンパクトデジタルカメラの不振が影響した。一方、最終利益は、会計処理の変更による過年度永年勤続慰労引当金繰入額やグループ統合関連費用の計上などにより特別損失が増加したことが影響している。
第3四半期(7~9月)の売上高は9.1%減の1937億円、営業利益は、52.9%減の33億円、経常利益は50.7%減の34億円、当期純利益は62.9%減の13億円となった。
キヤノンMJの専務取締役本社管理部門担当の川崎正己氏は、「MFPは、カラー、モノクロともに台数は減少。LBPは、カラーは台数が増加しているものの、モノクロは減少している。また、保守単価が下落しているほか、SI案件の先送りも業績に影響した」などとした。
ビジネスソリューション事業の1~9月までの売上高は、前年同期比0.4%増の3749億円、営業利益は前年並みの113億円となった。
ドキュメントビジネスの売上高は、3.2%増の2505億円となった。
Color imageRUNNERシリーズにおいて、普及機を中心に台数を伸ばしたほか、コンビニエンスストア向けのレンタル機の入れ替え需要があり、カラー機の出荷台数が堅調に増加した。だが、モノクロ機の大幅な減少やレンタル機比率の上昇などが影響。売上ベースでは前年同期を下回った。
また、デジタル商業印刷市場向けのプロダクションMFP「imagePRESS C7000VP/C6000」の商談や、9月に発売したカラー機「imagePRESS C1+」などの貢献のほか、A3対応カラー機による大型商談の獲得などにより台数を伸ばした。大判インクジェットプリンタは、imagePROGRAFシリーズの商品ラインアップの強化もあり、消耗品も含め順調に売り上げを伸ばしたという。
連結対象会社であるキヤノンシステムアンドサポートは、保守サービスの売り上げを堅調に伸ばしたものの、主力顧客である中小規模事業所においてビジネス機器の売り上げが減少。売上高は5.2%減の919億円、営業利益は33.7%減の6億円となった。同社の第3四半期の売上高は、8.6%減の289億円、営業損失は2億円の赤字となった。
キヤノンMJの芦澤光二専務取締役は、「ドキュメントビジネスにおいては、カウンタービジネスとカートリッジの販売が利益の源泉。通期でもカウンターで1%増、カートリッジで2%増が読める状況にあり、景気が悪いなかで、戦える陣形をとることができている。この点では手応えを感じている。ただし、ハードは集約化の方向に進んでおり、これはわれわれの提案事態の方向がそうなっている。ハードの販売増にはあまり期待していないし、依存しているわけではない」などと語った。
ITソリューションの売上高は、8.4%増の1245億円。コンプライアンスや内部統制、情報セキュリティなどの需要増に伴い、オープンプラットフォーム「MEAP」に対応するICカード認証システムなどのセキュリティ関連の売り上げが増加したが、設備投資の減退の影響により、ITプロダクトの売り上げが減少した。
連結会社であるキヤノンソフトウェアの第3四半期(7~9月)の業績は、CAD関連や機器組込みソフトウェアなどのビジネスが順調に推移。売上高は3.8%増の52億円、営業利益は11.1%増の2億円。キヤノンITソリューションズは、金融や機器組込みソフトウェアの分野で厳しい状況があったものの、アルゴ21との統合効果があり、SIサービス部門が増収。また、電子カルテをはじめとする診療所向け商品やセキュリティ商品などのパッケージ商品部門も売り上げを伸ばし、売上高は1.5%増の175億円、営業利益は41.7%減の5億円となった。キヤノンネットワークコミュニケーションズは、ネットワークインフラ構築やインターネットデータセンターのビジネスが順調に売り上げを伸ばし、売上高は20.1%増の23億円、営業利益は25%増の1億円となった。
なお、7~9月(第3四半期)のビジネスソリューション全体の売上高は、6.2%増の1179億円。ドキュメントビジネスの売上高は5.3%減の801億円、ITソリューションは8.0%増の378億円となった。
一方、コンスーマ機器事業の1~9月までの累計業績では、売上高が4.1%減の1838億円、営業利益は47.7%減の46億円。産業機器事業は、売上高が29.1%減の535億円、営業利益は57.5%減の17億円となった。
また、同社では、2008年の業績予想を下方修正した。
連結売上高は、7月23日公表値に対して350億円減少となる、前年比7.2%減の8400億円、営業利益は、40億円減少の同21.8%減の285億円、経常利益は40億円減少の同21.4%減の290億円、当期純利益は45億円減少となる同37.6%減の125億円とした。
ビシネスソリューションは、売上高が220億円減少の5000億円、営業利益は17億円減の147億円。そのうち、ドキュメントビジネスの売上高が70億円減の3300億円、ITソリシューションの売上高は150億円減の1670億円。
コンスーマ機器は、売上高は95億円減の2730億円、営業利益は17億円減の115億円。産業機器は売上高が35億円減の670億円、営業利益は6億円減の23億円とした。
「ドキュメントビジネスでは、ソリューション提案の展開などによりMFPやLBPの需要開拓に努めているが、企業の設備投資の抑制傾向により、ビジネス機器は総じて需要の低迷が懸念される。また、保守サービスも含め価格競争が継続すると見込まれている。一方、ITソリューションでは、金融、製造の分野を中心としたSIビジネスをはじめ、基盤・運用保守ビジネス、ドキュメントやセキュリティなどに関するソリューション提供を強化しているが、こちらも、不安定な経済状況により新規投資の先送りの傾向は続くと見られるため、ITソリューション全体の売上は前年を下回る見通しとなっている。特に、金融分野向けのSI案件での先送りが目立つ」(川崎専務取締役)とした。
■ URL
キヤノンマーケティングジャパン株式会社
http://canon.jp/
決算概要
http://cweb.canon.jp/co-profile/ir/finance/highlight.html
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( 大河原 克行 )
2008/10/24 12:00
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