Enterprise Watch
最新ニュース

リコー、上期決算は減収減益-通期見通し下方修正で15年連続増収を断念


2008年度上期連結決算
 株式会社リコーは10月28日、2008年度上期連結決算を発表した。

 売上高は前年同期比2.1%減の1兆659億円、営業利益は23.0%減の650億円、税引前利益は30.8%減の588億円、当期純利益は35.4%減の343億円となった。

 地域別では、国内売上高は前年比4.1%減の4838億円、海外売上高は0.3%減の5821億円。海外売上高は為替の影響を除くと、前年同期比5.3%増となっている。

 国内売上高については、プリンタの売り上げが増加したものの、モノクロのPPCやMFP、産業分野およびその他分野における売り上げが低調に推移したことが影響。また、海外売上高については、販売体制の強化やプリンタ事業領域の拡大などにより、各地域でカラーMFPやプリンタの売り上げが増加したが、景気の停滞や円高が減収要因となった。

 米州は、売上高が1.3%増の2189億円、営業損失は52億円の赤字。欧州は売上高が1.0%減の2883億円、営業利益が27.2%増の201億円、その他地域は売上高が4.5%減の1478億円、営業利益が32.8%減の82億円(いずれも内部消去分を除く)。


三浦善司専務執行役員経理本部長
 「営業利益面では、モノクロMFPの不調が大きく影響している。とくに、国内ではその傾向が強い。また、米州は景気の停滞や為替影響などの減収要因はあったものの、プリンタ事業領域の拡大などにより増収となったが、前年実績が低いということもあり手放しでは評価できない。欧州市場は、陰りが見えつつあり、今後の動向が少し心配ではある。いまの経済環境は、92年当時の低迷ぶりに匹敵する数10年に一度の状況という認識を持っている。かなり厳しく見ていたが、予想以上のものといえる。利益は出ているが、グループをあげて改善努力に取り組む必要がある」(リコー・三浦善司専務執行役員経理本部長)との見方を示した。

 事業分野別では、画像&ソリューション分野の売上高が、前年同期比0.5%減の9197億円、営業利益は11.4%減の982億円。そのうち、画像ソリューションの売上高は前年同期比1.6%減の8141億円、ネットワークシステムソリューションが8.7%増の1056億円。

 「為替の影響を除けば、画像ソリューションでは前年同期比2.1%増になり、画像&ソリューション分野全体でも2.9%増とプラス成長になる」とした。

 画像ソリューションにおける複写機の売り上げ構成比は、前年同期の81%から75%に、プリンタは14%から21%になった。

 一方、産業分野は、売上高は11.9%減の701億円、営業利益は72.0%減の7億円。電装ユニット事業の売り上げが前年同期に比べ減少した。

 その他分野の売上高は、9.2%減の783億円、営業利益は36.4%増の15億円となった。デジタルカメラの売り上げが国内外ともに減少したことが、減収の要因となっている。


分野別売上高 事業別売上高 所在地別売上高

2008年度通期業績見通し
 なお、同社では、2008年度の業績見通しを下方修正した。

 売上高は7月公表値に比べて1100億円減の前年比3.2%減の2兆1500億円、営業利益は同300億円減の17.4%減の1500億円、税引前利益は同340億円減の18.7%減の1420億円、当期純利益は210億円減の18.3%増となる870億円とし、増収増益目標から減収減益目標へと一転。15期連続の増収を断念することになる。

 三浦専務執行役員は、「8月に買収契約を締結したIKON社については、足下の状況は順調であり、利益を出している。だが、11月以降の買収作業に伴い一時費用が発生し、IKON社の利益を相殺することになり、トントンあるいは一時的にコスト先行という形になる可能性が高い。だが、2009年以降は、利益に貢献することなる。社員の流出という点を懸念したが、それはない」などとした。



URL
  株式会社リコー
  http://www.ricoh.co.jp/

関連記事
  ・ リコー、第1四半期減収減益もまずまずの出足(2008/07/25)
  ・ リコー、独立系販売会社の米IKONを買収-買収額は1700億円と過去最大に(2008/08/28)


( 大河原 克行 )
2008/10/29 11:00

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.