Enterprise Watch
最新ニュース

富士通、2008年度上期は円高の影響を受け減収-通期業績見通しも下方修正

ネットブックの影響を受けPC・HDDが減収に

経営執行役上席常務(CFO)の加藤和彦氏
 富士通株式会社は10月29日、2008年度上期連結決算を発表した。売上高は前年同期比2.4%減の2兆4537億円、営業利益は前年同期比12.3%減の385億円、経常利益は前年同期比2.9%減の290億円。当期純利益は前年同期がマイナス93億円だったのに対し46億円と減収増益となった。

 同社経営執行役上席常務(CFO)の加藤和彦氏は、「為替の影響を受けての減収。為替の影響がなければ1000億円の増収だった」と、急激な円高の影響を受けた結果であると強調した。

 セグメント別にみると、テクノロジーソリューションの売上高は前年同期比174億円増の1兆5249億円、営業利益は前年同期比186億円増の573億円と増収増益。このうち、サービス分野は、売上高が前年同期比139億円増の1兆2041億円、営業利益が前年同期比31億円増の512億円となった。もうひとつのシステムプラットフォーム分野は、売上高が前年同期比34億円増の3207億円、営業利益が前年同期比155億円増の61億円となった。

 SIサービスを中心にサービス事業が伸長。また、携帯電話基地局やキャリア向けルーター装置、サーバー関連などが増収要因となっている。UNIXサーバーに関しては、PRIMEPOWERのラストバイ特需が昨年にあった影響もあり、減収となっている。


 ユビキタスプロダクトソリューションでは、売上高が前年同期比536億円減の5214億円、営業利益が前年同期比129億円減の88億円。携帯電話が販売方式の変更による買い換えサイクルの長期化の影響を受けて伸び悩んだことと、PCもネットブックなど低価格PCの影響による価格競争の激化と企業向け需要の伸び悩みにより減収となった。加藤氏は、「携帯電話に関しては、らくらくホンと同等製品を他社が参入した影響を受けた。継続的にヒット商品を出さないと厳しい市場だ。低価格PCは国内よりも欧州のほうがより大きな影響を受けた。われわれも(低価格PCに)参入するメッセージは出しているものの、利益が出るのかどうか」と、ネットブックがPCの出荷に大きな影響を与えているとした。

 ネットブックによる影響はPCだけでなく、HDDの需要にも影響を与えていると加藤氏は説明する。「HDDは垂直磁気ディスクを上期に投入したことで、大きな赤字にはなっていない。しかし、われわれの商品は高価格帯のノートPC向けであり、低価格PCが伸びるとミスマッチとなってしまう。この影響を受けて、100億円近い赤字になるかもしれない」とした。

 デバイスソリューションは、売上高が前年同期比469億円減の3509億円、営業損益は134億円悪化しマイナス73億円となっている。65nmロジック製品は自社製サーバー用や画像処理用などで売上げが拡大したものの、90nmロジック製品が所要が低迷し減収。「海外はほぼ前年同期並みに推移しており、為替の影響を除くと増収だった」と、ここでも円高が業績に影響していると述べた。


 なお、2008年度の通期業績見通しに関して、下方修正することも発表。売上高は7月公表値に比べて3000億円減の5兆500億円、営業利益は同700億円減の1500億円、経常利益は同650億円減の1200億円、当期純利益は400億円減の600億円とした。

 加藤氏は、「下期については、対ドルで100円、対ユーロで125円の為替レートで想定している。ドルに関しては為替の影響は大きく、1円違うだけで166億円の影響を受ける」と、為替レートの変動がさらに業績に影響するかもしれないと示唆。「とはいえ、テクノロジーソリューションに関しては、現地通貨ベースでは増益を予想するなど、堅調に推移している。この柱がゆらがなければ利益目標は達成できるだろう」とした。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  2008年度第2四半期連結決算概要
  http://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2008h/

関連記事
  ・ 富士通、2008年度第1四半期は増収増益-企業向けPCが好調(2008/08/01)


( 福浦 一広 )
2008/10/30 00:00

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.