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日本アルカテル・ルーセント、モバイルネットワーク向けのIP事業戦略を説明


仏Alcatel-Lucent IP事業部門プレジデントのバジル・アルワン氏

サービスルーティング:ルーティングの第三の波
 日本アルカテル・ルーセント株式会社は10月30日、同社のIP事業に関するプレス向け説明会を開催した。この説明会は、仏Alcatel-Lucent IP事業部門プレジデントのバジル・アルワン氏の来日にあわせて行われたもの。アルワン氏は説明会で、モバイルネットワークに関する市場の状況や、それに対応する同社ソリューションおよび新製品など、事例を交えながら最新の取り組みをアピールした。

 まずアルワン氏は、「これまで、モバイルネットワークは回線交換の技術が中心だったが、今後4~5年をかけて完全にIP化されていくだろう」と指摘。「当社は、約4年前からIPルーティングの事業に力を注いでおり、“ルーティングの第三の波”といわれるサービス・ルーティングにおいて優位性を発揮している」という。サービス・ルーティングとは、音声、データ、動画など、すべてのサービスを共通のIPインフラでルーティングしていくというもの。こうしたIPルーティング事業への取り組みによって、2004年時点で8カ国、11顧客だった同社IP/MPLS製品の販売実績は、2008年には90カ国以上、230以上の顧客にまで急拡大し、市場シェア第2位のベンダーに成長している。


LTE(Long Term Evolution)とは?

LTEのための新しいモバイルコア「Evolved Packet Core(EPC)」
 次に、モバイルネットワークの動向について触れ、「今、モバイルネットワークに関しては、2つの大きな動きがある。1つは、LTE(Long Term Evolution)によるエアインターフェイスの高速化。そして2つ目が、IPへの進化だ。この両方が実現することで、リッチな通信やアプリケーション、エンターテインメントを、非常に高速にモバイル端末上から入手できるようになる」とし、「当社では、このモバイルネットワークの進化に対して、全事業本部を挙げて集中的に取り組んでいく」との考えを示した。

 モバイルネットワークの高速化を実現する「LTE」は、2009年後半から2010年初でのトライアルが予定されている次世代モバイルインターフェイスで、最終的に世界標準技術になることが見込まれている。「LTE」によって、モバイル端末上で光ファイバー並みの100Mbpsの高速通信が可能になるとともに、10ms以下のユーザーレイテンシにより高いレスポンスを実現する。また、エンド・ツー・エンドのQoSによって、シームレスなモバイルサービスを提供することができる。同社では、LTEへのインターフェイスの変革を大きな成長の機会ととらえ、IPと次世代ワイヤレスのベストプラクティスを組み合わせる新しいワイヤレスブローバンドネットワーク戦略を進めていくとしている。

 さらに、LTEが提供する新たなIPベースのモバイルコアである「Evolved Packet Core(EPC)」の重要性を説明。「EPC」は、モバイルコアのエンド・ツー・エンドでのIPへの移行を実現するサービスデリバリーアーキテクチャで、同社では、「EPC」に必要なIPサービスルーティングとTPSDAの専門知識を最大限に活用し、オールIPでのモバイルネットワークサービスを実現していく方針。

 LTEを実現する製品戦略としては、今年9月にIP/MPLSベースのサービス・アグリゲーション・ルータの新製品「7705 SAR-フィクスト・フォーム・ファクタ(7705 SAR-F)」を発表。同製品は、市場をリードするポート密度とフルIP/MPLS機能により遠隔サイトにも高い費用対効果を提供するコンパクトで固定型のサービス・アグリゲーション・ルータで、-40℃から+65℃までの広い対応温度範囲も特徴となっている。

 また、アルワン氏は、オールIP化の導入実績として、テレコムニュージーランドの事例を紹介。「テレコムニュージーランドでは、固定およびモバイルを含めてすべての通信サービスを単一のトランスポートネットワークにまとめることを決断。既存の当社IP/MPLSネットワークを拡張してモバイルオプティマイズアクセスを提供し、モバイルトラフィックをエンド・ツー・エンドのマネージドサービスインフラにシームレスに統合した」という。

 日本においては、10月29日にウィルコムの次世代PHSに向けた機能向上と容量増大に対応するためのコア/エッジIPソリューションとして、アルカテル・ルーセントのIPサービスルータ・ソリューションが採用されたことを発表しており、「現時点で、世界中で70社以上の移動体通信事業者が当社のモバイルバックホールとバックボーンソリューションを採用している」と、IPソリューションにおけるグローバルの実績と市場でのリーダーシップを強調した。



URL
  日本アルカテル・ルーセント株式会社
  http://www.alcatel-lucent.co.jp/


( 唐沢 正和 )
2008/10/30 19:05

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