株式会社日立製作所は10月30日、2008年度上期連結決算を発表した。売上高は、前年同期比1%増の5兆3105億円、営業利益は同62%増の1970億円、税引前利益は同2%増の1381億円、当期純利益は130億円の赤字から、271億円改善した141億円と黒字化している。
「売上高は、デジタルメディア・民生機器の落ち込みを、情報通信システムと電力・産業システムでカバーした。営業利益は、2007年5月の予想と比べて720億円の増益になっているが、デジタルメディアの構造改革に伴って、400億円の営業外損益を計上。また、株価下落の影響でも、100億円の(有価証券評価)損失を計上した」(中村豊明執行役専務)。
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中村豊明執行役専務
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2008年度上期決算の概要
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情報通信システム部門の売上高と営業損益
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HDD事業の状況
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情報通信システムの売上高は、前年同期比2%増の1兆2817億円、営業利益は同479%増の721億円。
そのうち、ソフトウェア/サービスの売上高は前年同期比3%増の6107億円、営業利益は同23%増の462億円。ハードウェアの売上高は同2%増の6710億円、営業利益は前年同期の253億円の赤字から大幅に改善し、259億円の黒字となった。金融機関向けのインテグレーションやアウトソーシング、コンサルティングの各事業が増収。また、「プロジェクトマネジメントの強化で、“毒まんじゅう”(不採算)案件がなくなってきている」(中村専務)こともあり、増益を達成している。
ソフトウェアの売上高は前年同期比2%減の793億円、サービスは同3%増の5314億円となった。
一方でハードウェアは、通信ネットワークやATMが増収。HDDは構造改革の効果が出て、2007年度第4四半期以降、4四半期連続で黒字化した。中村専務はHDDについて、ヘッドとメディアを中心とした大幅な原価改善に加え、競争力のある新製品をタイムリーに市場に投入できるようになったこと、製品構成を最適化したこと、の3点を改善の理由として説明している。
電子デバイスの売上高は、ほぼ前年同期並みの6411億円、営業利益は前年同期比11%増の285億円。
電力・産業システムの売上高は6%増の1兆6938億円、営業利益はほぼ前年同期並みの635億円。
デジタルメディア・民生機器の売上高は前年同期比4%減の6955億円、営業損益は前年同期の508億円の赤字から赤字幅を縮小したものの、266億円の赤字。「薄型テレビは構造改革によって海外事業を絞り込み、赤字幅を縮小したが、まだ赤字が残った。下期から来年にかけてさらに引き下げる」(中村専務)。
高機能材料は、売上高が前年同期比1%減の9211億円、営業利益は同7%増の689億円。物流およびサービスその他の売上高は同7%減の5749億円、営業利益は同8%増の116億円。金融サービスの売上高は同15%減の1899億円、営業利益は同42%減の74億円となった。
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事業部門別売上高
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事業部門別営業損益
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2008年度通期連結業績の見通し
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2008年度通期連結業績見通しに関しては、当初計画を修正した。
売上高は、前年比3%減の10兆9000億円と、7年ぶりに減収となる見通し。
営業利益は同19%増の4100億円、税引前利益は同5%減の3100億円、当期純利益は581億円の赤字から731億円改善して、150億円の黒字となる。課題事業の改善などによって営業利益は当初予想より改善する見込みとするが、「金融市場の動揺はまだ収まらないと認識しているし、株価の急落や円の高騰といった点を織り込んでいる」(中村専務)とした。なお株価下落の影響では、上期に100億円計上した有価証券評価損失を、下期も200億円想定しており、通期では300億円の影響を見込む。
部門別では、情報通信システムは、売上高で前年比5%減の2兆6300億円、営業利益で同49%増の1730億円と、減収増益を見込んでいる。
■ URL
株式会社日立製作所
http://www.hitachi.co.jp/
2009年3月期第2四半期 連結決算の概要
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2008/10/1030.html
業績予想の修正に関するお知らせ
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2008/10/1030a.html
( 石井 一志 )
2008/10/31 00:00
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